グラフィック2016.07.06

クリエーターはヒーローである。 お客さまに常に頼られる存在に。

仙台
ハイクリエイティブ株式会社 代表 畠山 創氏
ハイクリエイティブ株式会社は、今年4月に起業したばかりのスタートアップ企業。グラフィックを軸に、ウェブプランニングやブランディングなどを事業ドメインとして、質の高いクリエイティブを提供しています。代表を務める畠山 創(はたけやま そう) さんがクライアントとのコミュニケーターとしての役割を担い、得意分野の異なる3名のデザイナーがクリエイティブを支えています。

「今やりたいことをひたむきにやる」 バイトで、22の職種にチャレンジ

ハイクリエイティブ株式会社

畠山さんご自身は、これまでどんなお仕事をされてきたのでしょうか。

高校在学中、いつも頭にあったのは「今やりたいことをひたむきにやる」こと、でした。それこそ勉学ではなく(笑)。毎日のようにバイトに明け暮れ、友達と遊び、時間を持て余すことなく活動的な青春時代でしたね。 バイトについては、今しか経験できないと思い、22の職種にチャレンジしました。サービスやセールス、パワーワークなど何でもやりました。若いときに様々な職種を経験したことで、「知識と技術を備えた人間になろう」と心に決め、大学は建築学科に進みました。大学卒業後は、東京で商業施設のビジュアルプレゼンテーションを提案する空間プロデュース会社に入社し、昼夜のない仕事漬けの毎日を過ごしていました。商業施設が夜の8時に閉店して、次の日の朝10時に開店するまでに、売り場を全く別空間に変える仕事ですから、残業は当たり前の毎日でした。そうして4年働いた時に、とうとう体を壊して入院しました。無理をした、と自覚したので、入院を機に退職し、仙台に戻ってプロダクションでプランナーとして働いてきました。

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)※1から広告プランナーに転職されたのですね。

そうです。プロダクションのスタッフは皆デザイナーです。そこで私は営業に専念し主に新規開拓をミッションに仕事をしていました。前職では、既存のお客さまが多く、大手広告代理店さまともお仕事をさせていただきましたが、広告代理店からの仕事はクライアントの声を直接聞くことができません。ですから、直接営業に伺いお取引できるクライアントを増やして、クライアントの風土や文化を肌で感じることで生まれる提案に重きを置いていました。

※1 お店やブランドの価値を視覚的に伝える「マーケティング活動」のこと。

「デザイン」で、クライアントの思いを伝え 地域社会に潤いや希望をもたらす

開業されて間もない御社ですが、クライアントにはどのような企業が多いのでしょうか。

仙台圏に拠点を持つクライアントがほとんどで業種はさまざまです。商社、ICT企業、コンサル会社、教育機関などで、会社設立後に新規でいただいてる案件は7割を占めます。 仙台以外での案件は、新規事業のスタートアップに携わる仕事が主です。

地域のクライアントとはどのような関係を築かれているのでしょうか?

常々考えているのは、「地元のクライアントと共に成長する」ということです。例えば、経営的には優良企業でもクリエイティブを経営資源として活用していないケースがほとんど。そこで我々は、ヒアリング、インナーブランディングを経て、これからのビジョンを踏まえたプランを立てます。この過程で次第にトップの意識が変わってくるのがわかります。その後「自社が地域にどう思われているのか」、「ユーザーからどう思われたいのか」という風に視野が広がり、トップ自ら社員へ働きかけ、社員を巻き込む流れを創ります。こうなると、クライアントが次の展開を想像し期待するようになり、次フェーズにおいては、制約が少なくなりクライアントとのコミュニケーションが深まります。そうなってくると、提案にもご意見をいただけるようになり、成果に向けて具体的行動を双方が行えるようになるのです。そうやって、我々はデザインでただ表面的なことを変えるのではなく、どう経営に活用できるのか、クライアントと共有していきます。

具体的にはどのようにデザインで課題解決するのでしょうか。

『三方良し』という言葉がありますよね。いい商売は売り手も買い手も満足し、その上、世間も良くなるものです。これに尽きると思います。経営上は達成されていても、外部とのコミュニケーションが取れていない場合があります。我々の「クリエイティブ」は、クライアントの思いを正確、かつ迅速に伝え、企業の向こうにある地域社会にも潤いや希望がもたらさせるような「見せ方」を提案します。情報を整理し、優劣をつけ、その会社がどんなミッションを持ち、ユーザーメリットを訴求し、社会とどう関係しているかを近接的に感じてもらえるようにします。

提案型で自由度の高いデザインコンサルファームとして

ハイクリエイティブ株式会社ロゴ

ともに働くデザイナーに求めることはどんなことですか。

お客様の前でクリエイティブのコンセプトを語れることが大前提です。 私が目指しているのは、コンサルティングに重点を置いたデザインコンサルファーム。クリエイティブな企画を一緒に作り上げられるスキルを身につけている人を求めています。 弊社は、残業は不要、と考えている企業なので、基本、土日出勤も、深夜作業も行っているスタッフはおりません。

職場環境を整えることに力を入れていらっしゃるようですが。

継続していくために一番大切なことは、働きやすい会社を作ることだと思っています。ですので、弊社の公休は135日に設定しました。有給は入社時に10日あります。できるだけ残業を減らし、休みを沢山つくることも私の仕事だと思っています。

フィーの少ない仕事ほど社会との接点がある ソーシャル化で上がる、会社の価値

最近力を入れているプロジェクトを教えていただけますか。

街づくりの分野のとあるプロジェクトに取り組んでいます。震災があって、海岸部の居住エリアや街のありさまが変わったことで、東北では今、街づくりが注目されていますが、実は震災以前から取り組んでいました。丘陵エリアの住宅地が高齢化や少子化によって「住みにくい街」へと変わりつつありました。そこに危機感を覚えた有志が街の活性化のために東北大学や近隣駅、住民を巻き込んだプロジェクトを行い、コミュニティを作っています。これらは、全く報酬の発生しないソーシャルな取り組みですが、社会や地域を知り、その街の流れや人の想いに触れることができる、貴重な地域社会との接点だと考えています。

企業のソーシャル化も重要と考えていらっしゃるのですね。

ええ。営利企業だと言っても、今はソーシャルビジネスとのボーダレス化が進んでいます。どんな人でも、会社・組織人としての活動と、個としての活動に境目が無くなってきているんです。また、地域社会への貢献度も重要ですね。フィーの少ない仕事ほど、企業としての価値を高めてくれるのではないかと考えています。

今後、どのような企業に育てていかれたいですか。

私たちの会社にどんな価値があるかはお客様が決めることだと思います。一企業として継続していくためには、いつでも社会から必要とされなければならない。ヒーローのように、困ったときに頼りにされる会社でありたいと思っています。助けが欲しいときに思い出してもらえるような会社ですね。クライアントの期待を裏切ることのないプロフェッショナル集団であり続けたいと思っています。

取材日: 2016年6月9日 ライター: 影山祥子

ハイクリエイティブ株式会社

    代表者名(よみがな): 畠山 創(はたけやま そう)
  • 設立年月: 2016年4月
  • 事業内容: ブランディング、グラフィック、VI・CI、パッケージ
  • 所在地: 仙台市青葉区大町2-14-11-303
  • TEL: 022-797-1328
  • URL: http://hi-cre.jp/
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