スペース2016.01.06

木材を活かした住宅デザインで最高の家を作る

福岡
都建設産業株式会社 代表取締役 黒木彰寿氏
昭和30年代、宮崎から福岡へ出てきて、裸一貫、製材所で働き、材木屋として独立。時代のニーズと共に住宅建築会社へと変貌を遂げた都建設産業株式会社。創業者であるお父様と苦楽を共にし、2代目社長に就任後は、自社で住宅デザインを行うように事業内容を変更、常に時代の流れを読んだ経営で会社をリードしてきた黒木彰寿さんに、これまでと今後の展望、若手への思いを伺いました。

2代目社長に就任後 大手住宅会社の下請けから住宅デザイン事業へシフト

御社は、黒木さんのお父様が設立されたそうですね。

はい、私の父は昭和30年頃に宮崎県から福岡に来て、製材所で丁稚奉公となり、木材を運ぶリアカー引きをしていました。それから昭和39年に福岡市で黒木木材を開業。当時、私は4歳でした。しばらくして建築部を立ち上げ、住宅会社の下請建築を始めたそうです。そして昭和59年に「株式会社都住宅」を設立、林木業から住宅建築へとシフトしていきました。「虎男」という名前の通り、勢いのある強い父でした。

黒木さんが、2代目として会社を引き継がれた後から現在までをお話いただけますか?

それまでは、大手住宅会社の下請けとして住宅建築を請け負っておりましたが、私の代に変わり、自社で住宅デザインからお客様と関わって、注文住宅のご提案をしていくよう事業内容を変更しました。デザインで勝負していくのは難しかったですが、時代に応じてお客様のご要望にお答えできるように、これまで何度か事業内容を変更してきています。

歴史の中で、新しい事業を展開する難しさは?

会社を引き継いだ際に、父と長年仕事をしていた人たちが辞めてしまい、職場の人間の激しい入れ替わりが起こりました。時代に応じて、事業の方向転換は必要ですが、それを社内全体に浸透させることは、大変難しかったです。 最近では、ネットの普及により住宅に関するお客さんの知識が増え、多種多様なご要望をいただくことが多くなってきました、そのご要望をいかに形作っていくのかということに注力しています。デザインだけでなく、販促の方法も幅が広がってきているため、社員に様々な研修を行い、時代の流れに対応していきたいと思っています。

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高性能でデザイン性の高いオンリーワンの家

現在の事業内容を教えてください。

新築の注文住宅、建替、リフォームをデザインから手がけています。メインは新築住宅で、今では年間100棟ほどの建築を建設するようになりました。福岡県内はもちろん、佐賀県でも家を建てています。

デザイン性の高い住宅建築へと業務の主軸を移したきっかけは?

平成20年に大手住宅会社のブランド「ソラマド」に加盟したことが大きなきっかけです。 ソラマドは建築家と一緒に楽しみながら家を作るというコンセプトで、センスあふれるデザイン性の高い住宅を提供します。ソラマドの家を建ててみたところ、100組もの見学者が訪れてくださって、デザインが人を弾きつけるのだと改めて実感しました。

御社では、「動間(どうま)」という自社ブランドをお持ちですが、こちらは、はどんな特徴があるのでしょうか?

「動間の家」は間仕切りを必要に応じて取り外しができるので、子どもの成長に合わせて間仕切りを付け替えて子ども部屋を作ったり、なくしたり、家族のライフスタイルに応じて空間を自由に動かすことができるのが特徴です。 「動間」は、完全なフリースタイルで、ご家族のご要望を丁寧にうかがった上で、プロの視点で提案を行い、理想以上のオンリーワンの家を作り上げます。 弊社はもともと材木屋からスタートしたため、木の特性を知り尽くしていることが大きな強みです。ご希望に合わせて最適な木をお選びし、快適な家づくりを実現します。 問い合わせも多く、うれしい限りです。

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家への愛着を育てるイベントや教室を開催 お客様のロイヤリティーを高める

御社では、さまざまなイベントや教室を開催されているそうですね。

はい。5、6年前、もとは住宅展示場で不要になったものを販売するガレージセールが始まりでした。 一番人気の親子木工教室をはじめ、写真、リース作り、ベビーマッサージなどの教室を開催しています。 先日は、西部ガスさんと子どもたちを対象に棟上(むねあ)げ※1体験のイベントを実施しました。小学生がテキパキと動いて、とても楽しんでくれました。毎年、年末には、弊社とご縁のある皆様へ感謝の気持ちを込めて、餅つき大会も行っています。

※1 家を建てるときに、柱や梁(はり)など骨組みができて棟木(むなぎ)を上げること。

棟上げ体験は、住宅建築を行う御社ならではの親しみやすいイベントですね。 他にも、家をテーマにしたイベントは開催されているのですか?

「いえCafé」と題して、施工後に施主様のお宅で私がフランス料理を振る舞わせていただいたり、お茶を飲みながら家づくりや生活についてお話ししたりするイベントも好評です。 また、木材のフローリングを補修する講座や、施主様に自分の家の壁塗りを体験していただくなど、自分の家を自分でメンテナンスできるようになることで家への愛着を増す体験の場を提供しています。

常に改革し、変化し、 大手には真似のできないオンリーワン住宅を提供

今後の展望についてお聞かせください。

まずは、常に改革し、変化していきたいと考えています。 住宅業界は日々変化しており、お客様のご要望も幅広くなっています。それに、応えるため自社ブランド「動間(どうま)」など、弊社の強みである木材に関する知識を活かし、大手にはマネのできないオンリーワン住宅を作っていきたいと思います。そして、快適に健康に、楽しく暮らせる最高の家をお客様と共に作り上げ、夢と喜びと感動を提供できる会社でいるために、これからも果敢に挑戦を続けます。 そして、もうひとつ。若い職人を育てたいと考えています。昔は腕のいいベテランの職人がたくさんいましたが、今は組み立て式の住宅が増え、職人が育たない時代になりました。福岡の工務店が集まって家づくり集団「俺たち工務店ズ」を結成し、さまざまな活動を行っていますが、そこでもどうやって若手を養成していくか話し合っているところです。

常に改革し、変化していきたいとのことですが、最近の変化は?

数年前から、社員の提案でSNSなどのウェブでの集客に力を入れています。時代に合わせて、今後は紙媒体だけでなく、ウェブで販促を行いながら、自社のデザインをどうアピールするか、ちょうど先月から、ウェブやグラフィックを専門とするメンバーも加わったので、しっかりPRをおこなっていきたいと思います。

一緒に働く方に求めるものは、なんですか?

現在、弊社では、私が会社を継いだ時以来の従業員の入れ替えの時期を迎えています。 少人数の会社なので、協調性はもちろん大事ですが、その中で新しいアイディアを考えることができるクリエイティブで、積極的な人を歓迎します。待っていても、お客さんが会社を訪ねて来てくれる時代ではありません。新人のアイディアも取り入れる体制はあります。受動的でなく能動的な人材を求めています。

取材日:2015年12月8日 ライター:佐々木恵美

企業名:都建設産業株式会社

  • 代表者名: 代表取締役 黒木彰寿
  • 設立年月: 1984年7月
  • 事業内容: 新築住宅、建替、リフォーム、集合住宅、店舗ほか
  • 所 在 地: 福岡県福岡市城南区片江1-4-33
  • TEL:092-801-3328
  • FAX:092-863-5506
  • URL: http://www.miyakokensetu.co.jp/
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