WEB・モバイル2015.07.22

「デザインしないデザイン」で お客様の思いを叶える

東京
株式会社ノーデザイン 代表取締役 伊藤斉氏
今回ご紹介する株式会社ノーデザインは、WEBサイトの企画・制作、グラフィックデザイン、DTPなどを手がけている会社です。社名の「ノーデザイン」は「デザインしない」という意味で、とてもユニークです。その理由には、代表取締役の伊藤斉様のポリシーが反映されていました。子供の頃から漠然とした独立志向があったこと、社名に込めた思い、今後目指していることや、仕事をする上で大切にしていること、一緒に働く人に求めることなど、さまざまなお話をお伺いしました。

子供の頃に憧れていた、一国一城の主。 いずれは独立を、という思いでデザイン業界へ

「ノーデザイン」を設立されたきっかけをお教えください。

設立以前は、2社ほど制作会社で仕事をしていました。1社目は50人ほど、2社目は10人ほどの規模の会社を経験しまして、ある程度、この業界での仕事の仕方=どういう流れで仕事が来てどう納品するのか、それをひと通り覚えられたかなという感覚がありました。それぞれ3年ずつ在籍していました。 元々、この業界に入った動機は、独立しやすいという点でした。現実的に考えていたわけではありませんでしたが、ゆくゆく独立できればいいな、という感じでした。

2社での経験を経て、独立できそうだなと思われたのですね。

そうですね。できるんじゃないかな、と結構気楽に考えていましたね(笑)。独立を考えていた友人がいましたので、当初は2人で立ち上げました。

元々、独立志向をお持ちではあったのですね。

憧れていた面はありました。子供の頃は、ラーメン屋を開きたいと思っていました(笑)。「一国一城の主」感がありますよね。「小さいけれど自分の城」のようなイメージでした。サラリーマンでなく、そういった職人になりたいと漠然と思っていました。修業して独立という過程はラーメン屋もデザイン業界も同じですね。 以前の会社でグループ長として少人数のチームをまとめていて、予算管理から制作まで任された経験があります。そういったことに向いていたのだと思います。大変でしたが、いいシミュレーションになりました。予算とクリエイティブのバランスを身に付けられたことが良かったなと思いました。

その経験は自然と今につながっていますね。子供の頃からデザイン等への興味はありましたか?

わりと好きだったと思います。パソコンなども好きでしたし、建築やプロダクトも好きで、興味がありましたね。 この業界に入る前は、Webデザインのスクールに通いました。その前はインテリアグリーンの仕事をしていまして、ちょうどデジカメが普及した頃でした。デジカメで撮った店舗とグリーンを合成して提案する作業をして、面白いなと感じました。その経験がデザインの仕事を続ける動機として強かったなと思います。

主観的でなく、 常にお客様とその先のユーザーを見据えたデザインを目指して

制作者主体のデザインでなく、お客様第一のデザインを、という思いが込められた社名。

制作者主体のデザインでなく、お客様第一のデザインを、という思いが込められた社名。

「ノーデザイン」という社名の由来についてお聞かせください。 「デザインしない」という意味ですが、ユニークですね。

デザインというと、派手なものや見た目がキレイなものに関心が行きがちだったり、主観的なイメージが強くなってしまいがちです。制作会社である以上、「もっとお客様のコンセプトを大事にしたい・客観的でありたい」という思いがあります。お客様の思いを本当に叶えられるものなのか、業種に合っているのか、そういったことを大事にしたいと思い続けています。たとえば、シンプルなデザインがふさわしいのに派手にしてしまうと、お客様の向こうのユーザーもそういう志向ではないなど、その辺を勘違いしないように、常に意識しています。

逆に派手な方がいいのに、シンプルなものを作ってしまう場合も考えられますね。

そうですね。業種によっては派手なデザインが合っているのに、おしゃれなデザインではユーザーにも響きませんから、お客様のコンセプトを常に大切にしています。「デザインという概念にこだわらないようにしたい。だけど意味は大事にしたい」と考えまして、「デザイン」のスペルも英語の「DESIGN」でなく、日本語読みの「DEZAIN」にしました。間違えたわけではありません。(一同笑) 「デザインしないデザイン」と言いますか、機能的であり、使いやすいものを提案したいという思いがあります。芸術家ではありませんので、あくまでも「お客様あっての」という思いですね。

人と人のつながりで広がる仕事。 多くの人に支えられ続けていることへの感謝

現在の仕事についてお教えください。

代理店からの案件を中心に、直接のお客様も徐々に増えている感じです。業種はいろいろでして、通信系、学校関連、建築系、IT系から、飲食系、個人経営の方まで幅広く手がけています。

設立して苦労したことをお教えください。

2008年秋のリーマンショックと、2011年の東日本大震災の頃に、仕事が減ったことですね。リーマンショックの頃は設立したばかりでしたので、こんなものなのかな?とあまり実感はなかったのですが、今思うと、仕事が少なくなっていましたね。震災の時は逆に分かりやすく、プッシュ系の広告が全部なくなりました。春のキャンペーン用LP(ランディングページ)等は納品寸前に全部お蔵入りしましたね。

逆に良かったことはどのようなことですか?

人に助けられたことですね。以前の会社でお世話になったお客様とも仕事が続いています。お客様に対してはもちろん、以前の会社も快く了承してくれているので、すごく感謝しています。今も仕事やプライベートで交流があります。 あとは、スタッフを介して仕事が来たり、お付き合いのある会社から別の会社へ移った方が声を掛けてくれたり…そういった形で取引先が増えていますので、すごくありがたいなと思っています。仕事ではデジタルを使っていますが、人と人のつながりで仕事をしているので、僕のやり方はアナログ的だと思います。

伊藤様が人を大切にしいてる姿勢が、周りの皆さんに伝わっているのだと感じます。

そうだといいと思います。

「いいものができる・安心して任せられる」と、 クオリティ面で頼られる会社でありたい

伊藤様が常に大切にしている「明るい雰囲気」を感じられるオフィス。

伊藤様が常に大切にしている「明るい雰囲気」を感じられるオフィス。

会社を運営する中で、特にどういった考えを大切にしていますか?

お客様に対しては、誠実でありたいと思います。自分たちでできることは、できる限り誠意を尽くして、一生懸命取り組むことですね。また、会社の中で大切にしていることは、コミュニケーションですね。ワイワイと仲良くしている姿はいいですよね。以前在籍していたスタッフと今も交流が続いています。

今後の展望・抱負・夢などをお教えください。

制作会社として、ひとつずつ階段を昇っていきたいですね。基本的な考えとしては、困った時に「あっ!」っと思い出してもらえる会社でいたいですね。これは難しそうだけど、どうしようという時、「そうだ、ノーデザインに相談してみよう」となるような、そういうスタンスでいたいと思っています。 それだけでなく、「ノーデザインだったら、いいものができる・安心して任せられる」とクオリティ面も含めて頼られる会社でありたいですね。たとえば、Webの仕事をしている人から「ああ、ノーデザインさんね」と言われるようになるなど、もっと露出をして、知名度を上げていきたいですね。

一緒に働く人に対して、会社としてどのようなことを求めますか?

明るい人・ポジティブな人がいいですね。あとは仕事に対しての責任感があれば、何とでもなるとのではと思っています(笑)。重視するのはスキルより人間関係ですね。話していて合う人かどうか、そちらの方が強いですね。前向きな人ですと、スキルは教えればどんどん吸収していきますから。

ポジティブなことが第一ですね。

デザイン作業はお客様へ提案しても採用されない場合も多くあります。それはデザインスキルだけの問題でなく、さまざまな要因があります。そんな時でもガッカリしたままでなく、社内では癒されて欲しいですね。 落ち込み過ぎると次に進みませんから、気持ちを切り分けられる強さも必要だと思いますね。ポジティブな人たちだと、ガッカリしたままでなく、「ここはこうした方がいいんじゃない?」「これでいけるんじゃない?」という流れになりますから、乗り越えていけるような空気、チームワークを作っていける人がいいと思います。

取材日:2015年7月7日

株式会社ノーデザイン

  • 代表取締役: 伊藤 斉(いとう ひとし)
  • 設立年月: 2008年8月
  • 資本金: 3,000,000円
  • 事業内容: WEBサイトの企画・制作・運営/DTP/グラフィックデザイン
  • 所在地: 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-8-10外苑アビタシオン301
  • URL: http://www.nodezain.com
  • お問い合わせ先: 上記HPの「CONTACT」より
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