映像制作を発展させ、新しい動画の活用法を提案 「動画」×「◯◯」の“クロスメディア”で人を幸せにする

新潟
クロスメディア・ピクチャーズ株式会社 代表取締役
Ryu Imai
今井 竜
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動画編集室 チェック時、エンドユーザー目線で確認できるように設備が整っている

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会社の広告塔・顔としても活躍中

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自身のクリエイターとしての活動は多岐にわたる

 

新潟県の映像制作会社「株式会社サンビデオ映像」で代表取締役を務める今井竜(いまい りゅう)社長は2022年4月、動画をベースとしたプロモーション戦略を提案する「クロスメディア・ピクチャーズ株式会社」を立ち上げました。「人生でつながった人たちをとにかく幸せにしたい」という思いから、企画や撮影、編集、ナレーションまでみずからこなして動画制作に関わってきた今井さん。自身のキャリア、新会社のねらい、理想の人材像などを伺いました。

「お前は感覚を生かした方がいい」 先生の一言でクリエイティブの道へ

映像業界を目指したきっかけは何でしたか?

高校時代もけっこうとがっていまして(笑)。当時、将来を心配してくれる先生がいたのですが、卒業を控えていた頃、その先生が私の前に短大や専門学校のパンフレットをズラリと並べて、「お前は感覚を生かした方がいい人間だと思っている」と言ってくれたんですよ。自分でもそう感じていたので、先生が出してくれたパンフレットの中で、音楽や映像を扱うクリエイティブ系の専門学校へ入学を決めたのが原点でした。

学校イベントをプロデュース 原動力は「思っているものを何でも形にしたい」という思い

作り手としての原点はありましたか?

元々、何かを作り上げたいという気持ちは、人一倍強かったんだろうと思います。例えば、音楽はそのうちの一つです。幼い頃からピアノを習っていて、学生時代には友だちとバンドを組み、自分でも曲を作っていました。
専門学校時代には1年生でいわゆる文化祭のようなイベントの全体の進行など、プロデューサーのような役割を任せてもらったこともあります。ディレクターの役割も兼任して、現場を仕切っていました。また、イベントを締めくくるライブでは、バンドのヴォーカルまで担当しましたね(笑)。今も、裏方兼演者としてコンテンツに関わる機会が多いですが、とにかく「思っているものを何でも形にしたい」という考えは、昔から変わっていません。
専門学校へ入学してからは、興味が音楽から映像へ広がっていきました。

根性を認められた就職面接
入社直後、30分番組のディレクターに

現在の親会社、サンビデオ映像へ入社したきっかけは?

専門学校2年目で、就職を考え始めた時期に誘われたのが、現在の親会社であるサンビデオ映像でした。担任の先生が創業者と知り合いで「ディレクターを募集している」という話を聞いて、面白そうだなと思って。
ただ、当時の面接を振り返ると変なヤツだっただろうなと…。普通は、リクルートスーツで行くじゃないですか。でも私は、エメラルドグリーンのスーツでバッチリ決めていったのですよ(笑)。まあ、今となっては恥ずかしいですけど、型にハマりたくないという若さゆえの気持ちというか、爪跡を残してやろうみたいな思いがあったんでしょうね。
のちに聞いたことですが、会社側は面接で私の根性を認めてくれたようでした。当時私は、専門学校の卒業制作に専念していましたが、面接では「来月から毎日会社へ来られるか?」と聞かれたんです。「はい」と答えれば平日は毎日仕事で、卒業制作にかける時間は土日のわずかな時間を使って進めることになってしまいます。でも、私は迷わず「どちらもやり切ります!」と答えました。その言葉を聞いて、面接を担当してくれた創業者や2代目の社長が「根性があるし、めげないだろう」と思ってくれたようで、入社が決まりました。

学生生活と並行して、テレビマンとしての人生もスタートしたのですね。

インターン扱いでしたけど、学校側が制作の仕事自体を卒業制作の単位として認めてくれたのですよ。学生時代からADを経験していたので、映像業界としてはイレギュラーな流れかもしれませんが、専門学校卒業後に正社員として入社した時点で、私はディレクターからスタートしました。
ですから、正式に入社した翌月、入社1年目の5月にはすでに30分番組を担当していました。「お前ならできるよ」と任せられて。地元の新潟県にある伝統的なお祭り「三条祭り」の歴史を紐解く番組でした。経験の少ない中で、色々な方々の力を借りながら作り上げました。

ナレーション、イメージソングも自分で 予算を問わずクライアントのために奔走

制作へ関わるだけではなく、ナレーターも担当されると伺いました。

現在も、制作だけではなくナレーションも担当することがありますね。先ほど述べた「思っているものを何でも形にしよう」という考えにも通じますが、私たちのいる新潟のような地方では、映像を作るにも予算が少ない場合が多いのです。でも、クライアントさんからの要望にはできる限り応えたいと考える中で、自然と自分でナレーションまで担当するようになりました。
また、ナレーションだけではなく、過去には「イメージソングを作りたい」とおっしゃるクライアントさんの案件で曲を作ったこともあります。また、番組の合間で使うサウンドロゴも自分で作っています。クライアントさんにとって大切なお金を預かって制作へ関わるわけですから、やはり、何らかの形で思いを実現したいと考えています。

“一度使って終わり”なんてもったいない 動画の活用法を提案

2022年4月には、新会社のクロスメディア・ピクチャーズを立ち上げました。

クロスメディア・ピクチャーズは、「動画」を核としたコンテンツのコンサルティング会社として設立しました。クライアントさんの持つ動画コンテンツを活用するための方法を提案しています。
母体となるサンビデオ映像でずっと映像を制作してきましたが、せっかく予算をかけて作った動画を一度使って終わりにしてしまってはもったいないと感じたのが、設立のきっかけです。
先ほども述べましたが、クライアントさんは大切なお金を費やして映像を作っているので、完成したコンテンツの生かし方を提案するのも、私たちの仕事だと思いました。
サンビデオ映像は映像制作の工房として形を残して、新たに別の会社として立ち上げれば、たがいに相乗効果が生まれるとも考えました。

相手の幸せを願って広がる人とのつながり

案件としては、地元の新潟県が中心となるのでしょうか?

地元の新潟に絞っているのではなく、自分が関わっている人たちに「幸せになってもらいたい」と考えるうちに、地元を中心に仕事の輪が広がっていったのです。人とのつながりは大切にしようと考えています。中小企業経営者が集まる全国組織の新潟支部「守成クラブ新潟」にも所属していまして、そのつながりから地元を中心に、動画を使ったプロモーションの相談を受ける機会もあります。
動画をベースとしたプロモーション戦略を提案していますが、テレビやYouTubeに限定しているわけではありません。要望があれば、動画と組み合わせた形でのイベントも企画していますし、雑誌やアプリを駆使したプロモーション方法を提案することもあります。動画をからめられるのであればネットでも雑誌でも、チラシでも何でも、社名にもある「クロスメディア」を実現できるようサポートしていきたいと考えています。

現在、会社として新たに取り組んでいることはありますか?

AIとビッグデータを組み合わせた、広告代行サービスを提供しています。SNSなどのユーザーごとの特性を見極めて、それぞれの趣味嗜好に合わせた広告を表示できるシステムです。
クライアントさんに「無駄な時間やお金を使わせないためにどうするべきか」という思いが発端です。広告を検討している段階でどれほどのユーザーへ届けられるかが分かるのもメリットですし、同じようなサービスを今後も提案していきたいです。

五感を刺激できることが動画の魅力

こだわりを持つ「動画コンテンツ」ならではの利点は?

映像も音も文字も、すべてをひっくるめて表現できるところかなと思います。例えば、ラジオですと声や音ですべての情景を伝える必要がありますし、雑誌では文字や写真での表現はできても、音を扱うことはできませんよね。もちろんどのメディアにも利点はありますが、動画であれば画面内で五感を刺激できると考えているのです。かつてはテレビが主流でしたが、現在は動画の活用も広がっていますし、いまだ可能性はあると考えています。

仕事で「自分の人生に関わってくれた人たちへ恩返し」

今後の展望は?

会社というより個人的な思いになりますけど、自分の人生に関わってくれた人たちへ恩返ししていきたいと思いますね。これまでのつながりが、仕事へつながることも本当に多いのです。最近では、これまで関わってこなかったラジオCM用の「キャッチコピーを考えてくれ」とお願いされて、そこから発展して、キャッチコピーと共にそれを上手く伝えるための放送で流れるサウンドロゴまで提案し、実際に作ったこともありました。
私自身、誰かに頼られると「120%で応えたい」と考えてしまう人間です。人生でつながった人たちをとにかく幸せにしたい一心なんです。過去には、取材先で知り合った小学生の子が大人になってから、立派な音楽クリエイターとなりお礼を伝えてくれたこともありました。メディアに関わる人間にとって、人とのつながりはやはり大切にするべきだと考えています。

自分から提案して、会社を愛してくれる人を求める

この先、どんな人たちと一緒に働いてみたいですか?

何事も好奇心を持って取り組み、自分から提案できる人と一緒に働きたいです。サンビデオ映像の話になりますけど、スタッフが自由に提案できる環境を作っています。「この撮り方はどうでしょう?」とか「この機材を使えば、こんな映像も撮れます」と言ってくれるスタッフもたくさんいますし、私たちもできる限り提案を受け入れるようにしています。
以前、ダイビングを趣味にするスタッフから「自分のスキルを仕事に生かせないでしょうか」と提案されたときは、海中を撮影するためには潜水士の免許が必要だったので、資格取得を会社側で全面的にバックアップしました。
また、会社を愛してくれる人たちを迎えたいとも考えています。東日本大震災が発生した当時、売上げの大半を占めていた番組制作とCM制作の仕事が一気になくなってしまったのですが、スタッフが全員で一致団結して仕事をした結果、その年は決算の時点でなんと創業以来、最高の売上げとなりました。当時のような経験を一緒に重ねていけるような人たちを求めたいです。

取材日:2022年6月27日 ライター:カネコ シュウヘイ

クロスメディア・ピクチャーズ株式会社

  • 代表者名:今井 竜
  • 設立年月:2022年4月
  • 資本金:150万円
  • 事業内容:動画広告活用・運用コンサルティング
  • 所在地:〒950-0986 新潟県新潟市中央区神道寺南2丁目1-27(サンビデオ映像 スタジオ棟内2F)
  • URL:https://cross-media-pictures.com/
  • お問い合わせ先:上記サイト「お問い合わせ」フォームより

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