グラフィック2022.06.22

沖縄県で25年。徹底的にお客さまに寄り添う心 × 総合設計力で支持されるデザイン会社

沖縄
有限会社ブランニュー プロデューサー
Seigo Shidama
師玉 清悟

「クライアントに寄り添い、デザインによって真の課題解決をする」 25年間沖縄に根ざし、映像、グラフィック、Webサイト、SNSコンテンツまでをトータルで設計してプロモーションを行う会社が、師玉清悟(しだませいご)さん率いる「ブランニュー」です。創業から長きにわたり、デザインで沖縄の多くの企業を支援し活躍し続ける師玉さんのデザイナーとしての取り組みや仕事への想い、今後の展開について紐解きます。

一人で上京してデザインを学び、プロモーションの全体設計を任されるまで

会社設立までの師玉さんのキャリアを教えてください。

子どものころから図画が好きで、勉強は二の次でした。中学では遠近法の課題を10分程度で仕上げて、先生に驚かれたこともあります。デザイン科のある沖縄の高校に進学したのち、上京して日本初のデザイン教育機関、桑沢デザイン研究所へ入学してグラフィックデザインを専攻しました。卒業後は4年ほど東京のディスプレイやサインを制作する会社に勤め、沖縄に帰郷しました。印刷会社やプロダクションに勤務したり、フリーランスとしてグラフィックデザインの仕事を手がけたりしていましたが、30歳ごろにお付き合いのあった沖縄県内大手の広告代理店からお声がけいただき、制作部署のチーフに就任することになったんです。
それまでは一個人のデザイナーとして請けられる範囲の仕事をしていましたが、その会社ではプロモーション全体を設計してディレクションする立場になり、本質的な課題解決のために一気通貫してサービスを行う現在の基盤を築けたと感謝しています。その会社で4年ほど経験を積んだのちに「ブランニュー」を設立しました。

以前から起業したいと考えていたのでしょうか?

代理店に入社する前は、やりたいことができる環境にいれば、会社員でもフリーランスでも構わないというスタンスでした。入社した代理店で、デザインを総合的に設計する手法やディレクターとしてのスキルが身に付いたため、「仕事には困らないだろう」という自信が出て、独立を決意したんです。

8割が直営業。お客さまの本質的な課題解決へのこだわり

(上段左)多良川IMUGEパッケージ&販促POP

(上段右)おもろダインイング山葵 販促チラシ
(下段) ひめゆり平和祈念資料館 モノレール中吊り広告

すぐに会社運営は軌道に乗りましたか?

幸い代理店や印刷会社とのお付き合いがあり、仕事が途切れることはありませんでした。ただ以前より目指していたクライアントから直接請ける仕事の割合は少なかったんです。自分たちがやりたいことの幅を広げるため、コネクションを使って少しずつ企業とのお付き合いを広げ、直に請ける仕事を増やしていきました。

お客さまから直接仕事を請けたいというこだわりの理由をお聞かせください。

弊社とクライアントの間に代理店などが入ると、どうしても認識に齟齬が生まれてしまうものです。また、直接クライアントと話をできない状況では本当の課題が見えず、本質的な解決策を提示できません。そのようなサイクルを繰り返し、単に代理店に言われたままのデザインを制作し続けていたのでは事業の幅は広がらず、経営が先細りになってしまうと危機感を持っていました。お客さまの課題の本質に寄り添えず、依頼されたことをそのままデザインするのでは、仕事としての面白みに欠けています。
会社を設立したからには長く続けたいですし、仕事には常に興味と意欲を持って臨みたい。だからこそ、クライアントと顔を合わせて話し合い、解決すべき課題を明らかにし、適切なプロモーションを提案したいんです。
今では案件のおよそ8割がクライアントから直接請ける仕事となりました。業種は幅広く、飲食業界や不動産関係、泡盛メーカーなどもあります。
代理店を介していないためコミュニケーションを密に取ることができ、クライアントからも気軽に相談していただけていると感じています。立場に関わらずトップの方から社員さんまで、頻繁にご連絡いただきますよ。私もできるだけフットワークを軽くして、直接会って、ご相談に応えるようにしています。

総合的に広告のデザイン設計をすることで、より強いプロモーションとなる

グラフィックデザインから映像、Web制作まで、広告にまつわることはほとんどのジャンルを網羅して制作・デザインを手がけられています。このような体制を築かれている理由を教えてください。

私が広告代理店出身ということもあり、設立当初は紙媒体やCM制作が中心でしたが、時代の流れを受け、Web用の映像制作を強化してきました。ただ、デザインのジャンルを制限して特化するより、映像、グラフィック、Webサイト含めトータルで設計することがクライアントの課題解決につながると考えています。総合的にデザインをすることでトーンマナーを統一でき、より強いプロモーションになるのです。媒体の枠に囚われず、最善を尽くしたいと常に思っています。
例えば、長いお付き合いがある泡盛メーカーの多良川酒造の、「IMUGE(イムゲー)」という新しい芋のお酒のプロモーションに携わりました。ラベル制作から始まり、YouTube用の映像やポスターなどの販促品まで、トータルでデザインしたことで、統一感のあるプランニングができました。

クライアントの課題解決の本質は変わらない。未経験業界の仕事も積極的に請けることで世界を広げる

業界を問わずプロモーションのデザインをされていますが、未経験業界の仕事を請ける時に抵抗感はありませんか。

特に抵抗感を持ったことはありません。むしろ、知らないジャンルだと新しい学びがあり、楽しみが広がります。また、弊社だけで実現できない案件だった場合は、頼りになる外部の業者やスタッフが一緒に案件をやり遂げてくれるので安心です。彼らも弊社と同様、新しくチャレンジすることに意欲的なんです。
最近では、有名な資料館の特別展の、展示パネルやディスプレイデザインに合わせた映像の制作に携わりました。今までやったことがないジャンルでしたので、とても勉強になり、やりがいがある案件でした。
業界の経験未経験問わず、クライアントは何を伝えたいと考えているのか理解し、そのためには何が必要かをしっかり設計することで案件を遂行し、成功させることができます。本質的な全体の設計がないと、いくらチャレンジ精神旺盛なスタッフでも動きづらいと思うので、プランニングには特に力を入れます。

御社は設立から25年と、沖縄県内の制作会社の中では長い歴史をお持ちです。長く続けられている秘訣は何だと思われますか?

クライアントと共通認識を持つことを大切にしているからではないでしょうか。常にクライアントと同じ認識、フィールドに立って仕事をしています。小型リーフレット、フライヤー、チラシひとつでも、何か目的があって依頼されているわけですから、仕事のボリュームの大小に関わらず、そのスタンスは必要です。
この共通認識を持つために、密にコミュニケーションを取るようにしています。何度も顔を合わせて話を聞くことで、隠れた課題が見えてくることもありますし、なにより信頼感を築くことができます。その成果か、弊社は10年以上の長くお付き合いをしてくださるクライアントが多いです。

社員一人ひとりが“心を動かすデザイン”を生み出すスキルをつけるため、妥協せず考え抜くことを教える

ブランニューの目指す将来像についてお聞かせください。

社員一人ひとりが、Webを含めた販促設計ができ、表現計画まで担えるような人材に育ち、より強い会社になっていきたいですね。
この業界はデザインだけでずっと食べていくのは、よほどのスキルがないと難しいんです。また、クライアントが求めるものは単純にアウトプットとしてのデザインだけではありません。例え商品パッケージを作ってほしいと依頼されても、その奥にはそれだけではない課題が隠れているものです。
課題を拾い上げ、真のニーズを満たすことができる力を持ったデザイン集団になっていきたいですね。

そのために、社員さんには行っている教育や仕組みはありますか?

クライアントとの打ち合わせに同席し、積極的なコミュニケーションを取るよう促しています。机上で考えるよりも直接会って話した方が、数倍の情報が入ってきますし、クライアントの想いを知ることができますから。また、自分一人では考えつかないアイデアが拾える可能性が広がります。
そのうえで、何が必要か、どんなものが作りたいのか妥協することなく考えぬくように教えています。今の時代は必要な情報はすぐ手に入り、またさまざまなデザインがフォーマットされているために、簡単に情報を集めて安易にデザインすることも可能です。しかしそれでは、オリジナリティのある表現はできませんし、人々の心を動かすものは生み出せません。
だからこそ頭を使って作り込み、オリジナリティを追求する姿勢が大切で、それを続けていれば自ずとスキルアップにつながるはずです。

デザイン会社として、本島の7割程度しかない沖縄の収入問題へ取り組む

他に、会社として取り組みたいことや達成したいことがあれば教えてください。

社員の年収の向上について取り組みたいです。沖縄県の平均年収は本土の7割ほどです。この現状に対して、自社でできることは何か、常に考えています。
定価がないデザインに対していただく料金を上げるためには、弊社のブランド力の向上が必要です。そのためにはクライアントからの信用を得なくてはなりません。本日お話したようにクライアントの本質的な課題に寄り添い、相手が求める以上の提案をし続けていくためにも、トータルでプランニングするスキルを高め、ブランド力を向上していきたいです。

取材日:2022年5月20日 ライター:仲濱 淳

有限会社ブランニュー

  • 代表者名:師玉 清悟
  • 設立年月:1997年7月
  • 事業内容:アートディレクション、グラフィックデザイン、ブランディング、CI、ロゴデザイン、広告企画制作、パッケージデザイン、Webデザイン、映像企画制作、ドローン撮影
  • 所在地:〒900-0012 沖縄県那覇市泊2-13-1 山里アパート1B
  • URL:http://brandnew-okinawa.com/
  • お問い合わせ先:098-864-5132

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