WEB・モバイル2021.10.13

バリューデザイン京都の課題解決はクライアント目線。グラフィック、動画からドローンまで多角的なアプローチが光る

京都
株式会社バリューデザイン京都 代表取締役
Makiko Kotani
小谷 真貴子

グラフィックデザインからWeb制作、映像制作、動画配信まで、幅広い事業を手掛ける「株式会社バリューデザイン京都」。近年では、ドローンを駆使したダイナミックな映像やSNSを活用したプロモーション事業にも力を入れています。

広い分野にまたがる事業展開を可能にしているのは、さまざまな技術を組み合わせて新しいものを生み出す力。そこには、「クライアントの課題に対して最善のアプローチをしたい」という代表取締役小谷真貴子(こたに まきこ)氏の考えがありました。

 

一般企業からデザインの仕事へ

ご自身のキャリアについて教えてください。

大学卒業後は一般企業に就職し、経理の仕事をしていました。業務の中でチラシやDMなどのちょっとした制作物を頼まれることが多く、そこで初めて、デザインに興味を持ちました。私は芸術系の大学や専門学校出身ではありませんでしたので、デザインの知識はすべて独学です。当時は必要な知識を調べながら手探りで作っていました。

また仕事以外にも、友人が営業している飲食店のメニューなどを作ったりしていました。何かをデザインして形にする作業が、すごく楽しくて。これを職業として続けていきたいな、と思ったんです。

そこからデザインのお仕事に転職されたのですね。

はい、デザインの仕事を本職にしようと決意し、制作会社に転職しました。その会社では、フリーペーパーのデザインやパンフレット、チラシ、ロゴなど、幅広い制作物を手掛けていました。デザインの技術を本格的に身につけ、責任ある立場も経験したのもこの頃です。

転機となったのは、入社して5年ほど経った時。

会社の方針で制作部門がなくなってしまうと聞き、デザインの仕事を続けるために独立を決意しました。ただ、その時は起業しようとは思わず、フリーランスとして活動する道を選びました。

フリーランス時代はどのようにお仕事をされていたのでしょうか。

今のようにネット経由で仕事を探せなかったので、最初は仕事をもらうのに苦労しました。知り合いの方に紹介してもらい、ひとりで営業に出向いたのです 。

フリーランスになって1年くらいは厳しい状況でしたが、徐々にリピーターのお客様が増えていき、仕事が軌道に乗るようになりました。

京都という土地柄もあるのかもしれません。 お客さまからの紹介で新しいお仕事をいただけることも多かったですね。

 

人との出会いで、会社の立ち上げを決意

フリーランスで順調だったようですが、そこから「会社」に形を変えようと思ったのはなぜですか?

「一緒に会社を作りたい」と思える人たちと出会ったからです。2013年10月、飲食店の経営者でコンサルタント、カメラマン、そしてデザイナーの私、この3名が中心となって「株式会社バリューデザイン京都」を立ち上げました。

ひとりでデザインの仕事を続けていくのだったら、私は「会社」という選択はしていなかったと思います。会社よりもフリーランスのほうがずっと柔軟に働けますから。

でも、当時の私は、これまでとは違うジャンルの仕事に手を広げて、もっと先の展望を持ちたかった。“次”につながる何かが欲しかったんです。そんな時に出会ったのが、先ほどの3人です。それぞれの得意分野を組み合わせたら、きっと新しい事業にも挑戦できる。ひとりではできなかった仕事も、誰かと一緒だったらできるかもしれない、と考えました。

 

創業当初はどのような体制をとられていたのでしょう? 

一般的に、デザイン会社の立ち上げ時には、即戦力となるデザイナー2、3人で始めるケースが多いと思います。しかし、私たちの場合はまったく違いました。

会社を立ち上げてすぐに、デザイン系の専門学校や美大生など、即戦力となる学生のアルバイトを何人も採用したんです。社員が夕方まで作業し、夜からは学生が来て入れ替わりで作業する。1日中いつでも作業できる体制を整えて、大型案件をこなせるだけの人手を確保しました。

今考えると、立ち上げからいきなり何人もスタッフを入れるなんて無謀だったな、とも思いますが…あの頃は少しでも仕事をこなして会社を大きくしたかったし、ひとりで仕事をしていた時にはできなかった規模の 仕事に臨んでみたかったんです。

いきなり何人ものスタッフを抱え大変だったのでは?

そうですね、会社を立ち上げてからしばらくは、やることが多くて毎日必死でした。自分自身のデザインの仕事もこなしつつ、経理や資金繰り、営業、一気に増えたスタッフの教育もすべて並行して進めなくてはいけなかったので。でも、学生たちとワイワイ仕事をしていたから、職場はいつも賑やかで活気がありました。皆でクリスマスパーティーをやったり、誕生日パーティーをやったり…大変な日々でしたが、とにかく楽しかったのを覚えています。

 

「どうしたらいいだろう?」を、クライアントと同じ立場で考える

御社の事業内容について教えてください。

パンフレットやチラシ、ロゴなどのグラフィックデザイン全般のほか、Web サイトの制作やSNS等を使ったプロモーションも手掛けています。また、ここ最近、急速に需要が伸びているのが、動画制作や配信の依頼です。

もともと技術を持ったカメラマンが社内におりましたので、動画事業にはスムーズに参入できました。京都の観光PR動画や、大学、専門学校、企業の紹介動画、オンライン面接や講演会なども手掛けています。

私たちにはグラフィックデザインの技術がありますから、グラフィックを制作して動画に差し込んだり、エフェクトにこだわったりもできます。ちょっとした工夫ですが、ただ映像を切り貼りしただけの動画とは、完成度が全く違ってくるんです。また、イラストを描けるスタッフがいますので、動画の絵コンテもすぐに用意できます。動画事業には、これまで持っていた技術をうまく活かして参入できたな、という印象です。

御社の動画制作には、ドローンも活用されていらっしゃるとか。

はい、ドローンは日本に入り始めた頃から扱っています。 社内のメンバーが「一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会」で代表理事を務めており、 私も理事のひとりです。

このドローン撮影クリエイターズ協会は、「社会でドローンをどのように活用していくか」を考え、より多くの方が安全に楽しくドローンを扱えるよう、さまざま な活動を行っている団体です。一般の皆さん や企業への講習はもちろん、消防庁や自治体と災害時運用協定を結んで、災害時のドローン活用にも積極的に取り組んでいます。

ドローンは 扱い始めた当初から、面白い商材だという意識はありました。 今は想像以上に動画制作の役に 立っています。京都の観光PR動画では、嵐山の上空からの風景や、渡月橋の下をくぐり抜けるダイナミックな映像を撮影しました。ドローンには、まだまだ皆さんに知られていない魅力があります。ドローンの撮影技術を活かした美しい映像を、より多くの方に提供できたらと思います。

 

デザインのお仕事をする上で心がけている点は何ですか?

クライアントの 中には、「PRをしたいけれど、どんな方法が一番いいのかわからない」「どんなものを作ったらいいのかがわからない」という方が多くいらっしゃいます。コロナ禍ではメディアの在り方も大きく変わりましたので、なおさらです。

私は、「どうしたらいいか?」という疑問に向き合うところからがデザインの仕事だと思っています。どのようなものを作って、どのように活用するべきか、というスタート地点から、クライアントの目線で考えます。

私はもともと美術系の出身ではないですし、昔からデザインの仕事を志していた訳ではありません。ただ、クライアント様の要望を汲み取って形にするスキルは、これまでの多くの経験を通して培ってきました。「このデザインどうですか?いいでしょ?」とセンスを主張するよりも、自分たちが持っているさまざまな技術をうまく組み合わせて、クライアントの要望に合った提案をしたいんです。

何事もクライアント目線で考える点が、御社の強みなのですね。

クライアントとの話 は、本当に“自分ごと”に感じています。「少しでも役に立つ提案をしたい」という想いでやっていますから、最初から予定している着地点はありません。お話していくうちに新しい案が出てきて、スタート時には思いつきもしなかったゴールに辿り着いたりもします。

世の中には優れたクリエイターさんがたくさんいますから、価格や見栄えだけで競おうとは考えません。クライアントと同じ側に立って、いいものを作ろうという想い。それが私たちの一番の強みだと思っています。

 

何かを作りたくても、具体的なイメージを持てないケースは多いと思います。意向を汲み取って形にしてもらえるのは心強いですね。

何より、仕事をしている私たちが楽しいのかもしれませんね。クライアントと一丸となってやっているので、でき上がった時には大きな達成感があります。 それが、長く楽しく仕事を続けるための秘訣かもしれません。

相談頂いたことからヒントが出てきて、新しい事業を思いついたりもします。ひとつひとつのプロジェクトを通して、こちらも学ばせていただいている、という実感があります。

 

困難を乗り越えた先にある楽しさに、出会ってほしい

これまで 多くのスタッフの方々の採用に関わってこられたと思います。採用の基準として見ているポイントはありますか?

採用の基準…何でしょう?逆に訊きたいくらいです(笑)。さっきもお話したように、会社を設立した当初は何も考えず、「ちょっと来てみたら?」と気軽に学生を集めてワイワイやっていました。案外、その頃のほうがうまくいっていたのかもしれないですね。

今は、採用については悩み通しです。こんなスキルがある人材がほしいとか、長く勤めてくれるだろうかとか、リーダー候補になれるかとか…色々考えすぎてしまって。それだけ会社がしっかりしてきた、ということなのでしょうが。

デザインというのは“人”ありきの仕事なので、働いてくれるスタッフの存在はとても重要です。何年やっていても、採用は難しいなあ、と思いますね。

では「こんな方といっしょに仕事がしたい」というのはございますか?

あえて挙げるとするなら、仕事を通して新しい挑戦をしてみたい人、でしょうか。一緒に働くスタッフには、仕事で色々な経験をし、自分のやりたいことを見つけてほしいと思っています。

やりたいことをやるには必ず責任が伴います。大切なのは、周りに左右されず、自分の選択に責任を持つ姿勢。環境や他人 に結果をゆだねてしまったら、成功した時の喜びも少ないし、成長できませんから。

失敗や困難があっても、自身の力で乗り越えるからこそ、その先の楽しさに出会えると思うんです。そんな経験をして「もっとがんばろう」と思える、そんな人たちがたくさん集まってくれたらいいなと思います。 

クライアントに対してもスタッフに対しても一貫して、人との関わりを大切にする姿勢を感じます。

私が会社を作ったきっかけこそが「人との出会い」でした。さまざまな視点を持った人たちと協力しながら、常に新しい取り組みをしていきたい、という考えは今も変わりません。

自分以外の人と仕事をするのは、確かに大変です。でも、ひとりで完結する仕事より誰かとする仕事のほうが、喜びは大きい。私はそう思っています。

取材日:2021年8月20日 ライター:土谷 真咲

株式会社バリューデザイン京都

  • 代表者名:小谷真貴子

  • 設立年月:2013年10月

  • 事業内容: 広告・販促デザイン制作、Web制作、映像制作、撮影・空撮、SNS&プロモーション

  • 所在地:〒601-8005 京都市南区東九条西岩本町10-2 イリアスオフィス2階西
  • URL:https://www.vdk.co.jp/

  • 問い合わせ先:https://www.vdk.co.jp/

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

風雲会社伝をもっと見る

TOP