グラフィック2021.08.10

デザインの可能性をプロデュース力へ昇華! 株式会社ネオスは新潟県長岡市から全国へ「喜びを伝える」

新潟
株式会社 NEOS(ネオス)代表取締役
Atsushi Yamamoto
山本 敦
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「ココロを動かすデザイン」をスローガンにした地域密着のデザインプロダクション

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毎月、自社で携わった地元の広告宣伝・ブランディングの事例を発信しています

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オリジナルブランド「ふくら

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「ふくら」は長岡市小国地域の伝統工芸「小国和紙」を使ったおめでたいカタチの小物入れ

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「長岡市錦鯉養殖組合」さまと長岡市栃尾の酒蔵「越銘醸」さまがコラボした日本酒のパッケージデザイン(*1)

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小千谷へぎそば「わたや」さまの創業100周年記念ロゴマークと告知ツールデザインのお手伝いをしました(*2)

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患者さまに寄り添う地元の歯医者さんのロゴマークを始めとするトータルブランディングのお手伝いをしました(*3)

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公益財団法人にいがた産業創造機構さまの「百年物語パンフレット」の制作を担当しました(*4)

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新潟味のれん本舗さまの個装パッケージのリニューアルを担当しました(*5)

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新潟工科大学さまの校内サインリニューアルとしてデザインから施工管理までお手伝いしました(*6)

約30年前に新潟県長岡市で設立された、株式会社ネオス。今なお「ココロを動かすデザイン」を通して地域に貢献し、新潟県内外へクライアントの想いを伝え続けています。

16名のスタッフを抱える歴史あるデザイン会社に成長するまでの紆余曲折のストーリーを、代表取締役・山本敦(やまもと あつし)氏にうかがいました。

 

プロダクトデザインから広告デザインへ。最も自分らしくいられる場所を求めて。

山本さまのご経歴を教えていただけますか?

出身は新潟県小国町(※現・長岡市/合併前は刈羽郡小国町)で、長岡工業高等専門学校の機械工学科を卒業後、シチズン時計株式会社に入社し、時計の外装の設計をしていました。西新宿にあったプロダクトデザイン室との関わりから、改めてデザインの魅力を感じ、シチズンに勤めながら渋谷にある専門学校「桑沢デザイン研究所」に通いました。 その後、赤坂の個人デザイン事務所に転職し、さらに築地のデザインプロダクションに勤務。29才で新潟市のデザイン会社に勤めた後、30才で独立しました。

東京都、新潟市を経て、独立された場所は?

長岡市です。やはり出身地が心地良く、働きやすいと感じたから。しかし、地元での実績がないのでお客様もいない。印刷会社に営業した際も「デザインの仕事なんてない」と一蹴されて……。最初に手掛けた仕事は、叔父が経営する会社のロゴマークでした。会社名を変更するタイミングで、企業案内パンフレットやCI(コーポレートアイデンティティ)に関するツール一式を担当したのが契機となり、ネオスデザイン事務所がようやくスタートしたのです。

個人事業主としてお一人で始められたのですか?

はい。独立して1年後に1名雇用し、独立2年後に事務所を移転して法人化。しかし、直後にバブルが崩壊したので経営的には大変でしたね。「NEOS(ネオス)」の会社名は、CI・ブランド、事業戦略デザインなどで有名な中西元男(なかにし もとお)氏の世界的なデザイン会社「PAOS(パオス)」に憧れてネーミングしました。

その後、どのように営業を拡大されてきたのでしょうか?

1994年に長岡造形大学が開学したタイミングで大学イベントに参加させていただきました。デザイン工房部門を担当した際、長岡市の産業と深い関わりを持てたことが大きなステップとなりました。2000年に事務所を移転したとき、社員は6名に。地元の印刷会社をはじめ、多くの地元企業からデザインを依頼されるようになり、ビジュアルは「創る」だけでなく、魅せる、売るなど「伝える」力に変えていくのが重要だと実感しました。

その時代…2004年の新潟県中越地震が避けては通れません…。当時のエピソード、影響などを教えてください

事務所が被害にあって、長岡市三和に移転しました。しかし地震被害の大きさ以上に地元とのつながり、絆が増したことが印象に残っています。その結果、今まで以上にデザインの力で「購買に結びつける」テーマに挑戦したい気持ちが高まり、小国和紙とのコラボレーションブランド「わらぶ」を立ち上げました。伝統技術や地域資源を活かしながら現代のライフスタイルに合ったインテリアを提案するブランドとして、現在も商品開発から販売まで一貫して自社で行っています。振り返ると時計のプロダクトデザインから始まり、広告デザインを経て、インテリアのプロダクトデザインへ。広義の「デザイン」の魅力が多くの出会いをもたらしてくれたのだろうと感じています。

 

総合力を高めて、目標達成!お客様とともに成長する喜びを実感。

オリジナルブランド「ふくら」⇒https://walove.theshop.jp/

現在に至るまでのターニングポイントはあったのでしょうか?

設立から約30年経ちますが、業績は山あり谷あり。広告デザインはまさに時代の流れと一心同体ですから、バブル崩壊もリーマンショックも、もちろん現在も、時勢の影響は大きいですね。一方、グラフで表せない小さな出来事も会社の成長につながるターニングポイントのひとつと考えています。

御社のスローガン「ココロを動かすデザイン」の考え方を教えてください

単なる表層的なデザインではなく、企業や商品の本質を理解し、課題を解決するためのデザインであることが大切です。ターゲットが共感する、感動する、ワクワクするデザインを提供したい! と考えています。自社の取り組みのひとつとして、ニュースレター「デザインの力」を月1で発行し、広告宣伝やブランディングの観点からさまざまなトピックスを地元企業、地域の皆さまへ情報発信するつもりで。デザインが持つパワーで、すべての人を幸せにする。地域ブランドの「未来」を作ることが我々の使命ですね。

「山古志 棚田棚池あかりのページェント」
イベントプロデュース&プロモー ションを担当しました
(http://yamakoshi.org/akari/)(*7)

最近、手応えを感じた案件をご紹介ください

弥彦神社の「重軽(おもかる)の石」をモチーフとしたお菓子のパッケージデザインをはじめ、「山古志 棚田・棚池あかりのページェント」の広告デザインほか、地域に貢献できる仕事はいずれもありがたいですし、特に手応えがあります。また近年は、SNSでの発信方法によりリアクションが素早く、ダイレクト。マーケティングやプロモーションの一環としてSNSの影響力が欠かせないと感じています。

「重軽の石」をモチーフにした「弥彦おもかる石」のブランディング(*8)

地域の魅力、地元への思い入れについてお聞かせください

やはり地方で仕事をさせていただいているからには、地域との連携が欠かせません。地域貢献の視点では、まだできることがたくさんあると思っています。今後も地域資源を活用し、デザインを通してより良い提案を行って地域活性化に努めます。

「新潟の妖怪」 NADC 2019 審査員特別賞 鈴木直之賞(*9)

多数の受賞歴がおありです。選ばれるクリエイティブについてどのようにお考えでしょうか?

NADC(新潟アートディレクターズクラブ)が発足してから、新潟周辺のデザイナーの気運が大きく上向きました。受賞そのものよりも、出品して評価される機会こそが貴重であると考えています。今後は自主制作のデザインよりも、実際に受注した作品での出品・受賞を増やしていき、デザイナーのモチベーションアップにつなげていきたいですね。

会社として大事にしていることは?

「お客様との協力体制」です。2004年に「脱・下請け宣言」をして、8割方「直クライアント」の仕事にシフトしてきました。弊社は4名の営業がいて、お客様との信頼関係を強固にする役目を担っています。お客様のお話を直接聞いて問題解決に努め、実際に商品が売れていく…その積み重ねが今につながっていると。紙媒体だから、Webだからではなく、デザインの「総合力」を重視していきたいと思います。これからもクライアントと共に仕事ができる幸せをかみしめていきたいです。

会社経営と並行しながら長岡造形大学の教授をされることになった経緯を教えてください

長岡造形大学では非常勤としてお世話になっていたので、大学公立化のタイミング(6年前)で「視覚デザイン学科」の教授に就任しました。大学生の感性をリアルに受け取れるのは、新鮮ですし、とても刺激になります。もちろん私のこれまでの経験が、学生の今後に多少なりとも役立てばうれしいですね。

多くの団体に所属されています。人とのつながり、ネットワークについてどうお考えですか?

会社設立当初は、同業種のつながりを重視していましたが、バブル崩壊後、異業種の交流も大切だと感じました。人脈こそ宝です。仕事の幅がぐんと広がりましたし、社員のワークライフバランスを考えるきっかけにもなりました。他社の取り組み、経営者の在り方、社員に対する考え方など、あらゆる面に人との出会いから得たものを活かしてきましたし、今後もそうしてやっていきたいです。

 

長岡市から全国へ元気を伝えるために。環境整備でさらなる挑戦を!

今後の事業展開のビジョンを教えてください

弊社は2020年7月に30年を迎えました。記念イベントを予定していましたが、残念ながらコロナ禍ということもあり行うことができませんでした。

しかし、この節目を1つの契機に、社内でインナーブランディング委員会を発足し、ミッション・ビジョン・バリューを新たに制定しました。社員たちから自発的に声を上げてくれて、1年近くかけて自主的にワークショップを重ねながら取り組んでできたものが以下になります。

MISSION
地域ブランドの「未来」をつくる

VISION
デザインの力で、すべての人を幸せに。

NE0S 7 VALUE

  1. ココロをこめて寄り添う
  2. プロフェッショナルである
  3. 地域の未来を考える
  4. 成果をつくる
  5. チームであり続ける
  6. スピードを意識する
  7. 挑戦を止めない

引用:https://www.neos-design.co.jp/about/principle/

1人で立ち上げた時から30年の紆余曲折を経て、今はありがたいことに、一緒にネオスという会社を成長させたいと思ってくれる社員が増えてきたことも大変嬉しいことです。そんな社員が増えたことにより、いろいろなアイデアや知恵も出てきて、チャンレンジしたいこともたくさん増えてきました。新しいスタイルでデザインの可能性をどんどん試してみたいと夢も広がってきています!

とは言え、まだまだ苦しい状況も続いています。当面の目標は、コロナの影響を受ける以前の業績に回復させること。3年後のビジョンとしては、売り上げ3億円を目指しています。ただ数字の目標を掲げるだけでなく、お客様と継続的なお付き合いができるプロセスが重要です。ターゲットにしっかりと届く、伝わる、売れる仕組みを構築していく。これまでのやり方にとらわれず、新しい取り組みを提案する「プロデュース力」が鍵になると思います。

共に働く16名のスタッフへの想いもお聞かせください

弊社は離職率が低く、最も長く勤めている社員は創業当時から活躍しています。社員にも家族があるので、公私ともに充実した日々を送って欲しいと願っています。仕事の喜び、やりがいをさらに感じてもらうための環境整備を行うことが私の役目ですね。

社員、学生を育ててきた山本さんは、クリエイティブ業界における人材育成をどのように感じていますか?

地方では厳しい現実があります。長岡造形大学でも、斬新な発想を持つ、優秀な学生がたくさんいます。しかし専門職として地元で就職するにあたり、間口が狭くなり、夢を諦めざるを得ない状況になってしまうのが歯がゆい…。 今後は、人材育成の次、優秀な人材を地元・長岡市にとどめる雇用の仕組みづくりを行っていくことが必要です。

クリエイティブ業界で働く方、志す方へメッセージをお願いします

まずは、その人らしさ、クリエイターの個性を大事にして欲しい。そのうえで、クリエイティブの技術だけでなく、お客様や地域が抱える課題・問題をいかに解決すべきか?という視点を忘れずに活動して欲しい。地方のクリエイターに言いたいのは、地域の持つ魅力を全国へ発信することは、想像以上の経済効果&パワーになるんです。昨今、なかなか厳しい現状ではありますが、お住まいの地域から活気を創生し、お互いにクリエイティブの無限の可能性に挑戦していきましょう!

取材日:2021年6月21日 ライター:本望 典子

 

≪本文に掲載されている制作物に関わってくれた自慢の社員たちを紹介します≫

*1:「長岡市錦鯉養殖組合」と長岡市栃尾の酒蔵「越銘醸」がコラボした日本 酒のパッケージデザイン
   AD/D:山本拓志  D:西山美智雄  PL:村上敦子
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/377/

*2:小千谷へぎそば「わたや」さまの創業100周年記念ロゴマークと告知ツール デザイン
   AD:巻淵章郎  PL:村上敦子
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1695/

*3:河内歯科クリニックさまのトータルブランディング
   AD/D:山本拓志  PL:村上愛
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1652/

*4:益財団法人にいがた産業創造機構さまの「百年物語パンフレット」制作
   CD:山本敦  AD/D:佐藤ミチオ
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1705/

*5:新潟味のれん本舗さまの個装パッケージのリニューアル
   AD/D:山本拓志  PL:村上敦子
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1699/

*6:新潟工科大学さまの校内サインリニューアル
   AD:巻淵章郎  D:永井一臣・西山美智雄  PL:加藤雄吉郎
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1323/

*7:「山古志 棚田棚池あかりのページェント」イベントプロデュース&プロ モーション
   AD:山本拓志  D :小林南穂・西山美智雄  WD:宮未尋
   P :山本敦   PL:中澤嵩・村上敦子
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1712/

*8:「弥彦おもかる石」のブランディング
   CD:南雲和子  AD:山本拓志  D:佐藤ミチオ・小林南穂・岩下真愛子
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1706/

*9:「新潟の妖怪」 NADC 2019 審査員特別賞 鈴木直之賞
   AD/D:山本拓志
   ⇒https://www.neos-design.co.jp/works/1534/

※略号
AD:アートディレクター
CD:クリエイティブディレクター
D :デザイナー
WD:ウェブデザイナー
P :プロデューサー
PL:プランナー

 

NEOS(ネオス)

  • 代表者名:山本 敦
  • 設立年月:1990年7月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:デザインコンサルティング、商品開発デザイン、販売プロモーション、Webコンテンツ制作
  • 所在地:〒940-0084新潟県長岡市幸町1-3-10
  • URL:https://www.neos-design.co.jp/
  • お問い合わせ先:0258-33-8836 https://www.neos-design.co.jp/contact/

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