スペース2021.07.21

飽くなき探求心により、デザイン性の高いローコスト住宅を実現! カナディアンホームプラスの家づくり

大阪
カナディアンホームプラス株式会社 代表取締役社長
Motohiro Yamanaka
山中 基裕

「1軒の家が建つまでに関わる会社の数は、どのくらい?」そう聞かれたら、皆さんは何社くらいを想像するでしょうか。何と“25社”ほどにも上るそう。

住宅の建設やリフォーム、土地開発など、家づくりに関するあらゆる業務を一手に引き受ける、カナディアンホームプラス株式会社・代表取締役社長の山中基裕(やまなか もとひろ)さんによると、家づくりには、不動産の知識、建築技法や素材の知識、現場での経験、そしてデザインセンスと、非常に幅広い分野のスキルが求められているとのこと。

ローコストでありながらデザイン性と性能が高い家を建てるためには、技術の進化と工夫が欠かせません。山中さんの飽くなき学びの姿勢と、それを活かした家づくりの手法を伺いました。

 

「弁護士になろう」から始まった資格試験へのチャレンジ

 

起業に至るまでの経緯をお聞かせください。

25歳のときに「司法試験を受けて、弁護士になろう」と思い立ったことが、すべての始まりです。僕は高卒で、勉強はむしろ嫌いなほうでした。それでも資格に興味を持ったのは、独立して自分自身の力で仕事をしたかったからです。当時は若くして起業する人は珍しかったし、生意気だと思われることも多かった。それなら、資格を取ってできる士業に就けば、自分の好きなように仕事ができるんじゃないか、と思ったんです。

もともと、独立して働きたいという意識が強くおありだったのですね。

スクールに通って必死に勉強しましたが、司法試験の壁はさすがに高くて。途中で司法書士試験に切り変えましたが、こちらもなかなか芽が出ず…。

最後にせめて宅地建物取引士(宅建)だけは受けておこうと受験してみたところ、2週間くらいの勉強期間であっさり満点合格してしまいました(笑)。必死にずっと法律の勉強をしていたおかげで、必要な知識が身についていたのはもちろんですが、ここで運も向いてきたんでしょう。宅建だって合格が厳しい資格ですから。

宅建の資格試験に合格したことが、不動産との最初の出会いだったわけですね。その後すぐに起業を目指されたのでしょうか?

いいえ、独立を目指して資格を取ったものの、宅建だけでは士業に就くことは叶いませんでした。せめて資格を活かせる仕事を、と思い、建築会社の営業職に就職したんです。しかし、これが完全な勘違いで。宅建は不動産全般に使えるものだと思っていたんですが、僕が担当していた建築の分野では何の役にも立たなかったんですね。資格による手当すら付きませんでした。

せっかく取った資格を活かせず、投げやりな気持ちにはならなかったのでしょうか?

いえ、気持ちを切り替えて、営業の仕事に全力で取り組みました。入社して最初に担当したお客さまの案件は、かなり複雑でした。

たまたま皆が出払っているときに僕が電話を取ったのがきっかけで、その案件の担当になったんです。初めはどこに行って何をすればいいか全く分からなかったので、同僚に相談し、自分で調べて考えて、を繰り返すうちに、必要な知識が身についていきました。

先ほどからお話を聞いていると、学びへのフットワークがとても軽いようにお見受けします。

勉強は決して好きではないですよ。でも、自分の中に分からないことがあるほうが気持ち悪くて嫌なんです。初めて担当したお客さまにも、「僕は正直、ど素人なので何にも分かりません」と素直に言いました。「ただ、“分からないこと”はすぐに訊いて調べられます。それでもよかったら、ぜひ僕に担当させてください」と。

お客さまに対して、分かったふりをしたくなかったんです。嘘をつかない姿勢が信頼につながったのか、入社して2年後には、社内でトップセールスを獲得できました。滋賀の支店長を任されるまでになったんです。

未経験からトップセールスへ、2年間で大きく成長されたわけですね。

その後、同じ会社を出て独立された方に、営業部長としてヘッドハンティングされました。その会社は不動産の業務も扱っていたから、やっと宅建の知識が活かせるようになったんです。土地の仕入れから、開発、建築まで、すべて自分1人で手掛けられることが自分の強みになりました。経験を積んだのち、2019年、自身の会社「カナディアンホームプラス」の立ち上げに至りました。

 

工夫しだいで、ローコストでもいい家は作れる。

 

家づくりにおいて、心がけている点はありますか?

20代には、結婚や出産など、お金がかかるイベントがたくさんありますよね。でも、収入が多いわけではないので、住宅ローンで借りられる金額も上限が決まってくる。家を建てたくても建てられない若い世代の方がたくさんいます。僕は、そんな方の夢を叶えるために、手の届く範囲の値段で家づくりをしたかったんです。しかも、住み続けられる確かな品質の家を。品質の悪いものを使えば、もちろん、安価で家を建てられます。でもそんなことはしたくありません。「いいもの」でなければ意味がないんです。

どうやったら、手頃な値段で高品質の家づくりが可能になるのでしょう?

柱1本とっても、加工方法を少し変えることで、品質を保ったまま値段を下げられます。どんな工夫ができるか、建材屋に出向いて一緒に相談して。1軒の家を建てるときには、おおよそ25もの会社が関わっています。電気設備工事店、水道工事店、大工さん、そのほかの職人さん…関わる全員との信頼関係づくりが必要不可欠なんです。創業当初は、その関係づくりにずいぶん苦労しました。

「お客さまに対して、“無理”という言葉を決して言わない」それが僕の信念です。限られた予算の中でも、できる限り希望を叶えるのがプロの仕事ですから。どんなに難しい要望も、切り口を変えれば、きっと可能性が拓けます。そこには、宅建の勉強で得た法律の知識や、これまでの仕事で身につけてきた経験が活きているんです。不動産、法律、建築まで、広い目線で家づくりに取り組めるのが、我々の最大の強みですね。

さまざまな案件に関わってこられた中で、目線の変化はありましたか?

昔はお客さまのこだわりや希望を叶えるのが最優先でしたが、今は、プロとして「10年後のかたち」をアドバイスしなくては、と考えるようになりました。住む人のライフスタイルが変化していくと、求めるものも変わってくることが分かったからです。

できたばかりの家は当然綺麗でも、日差しや雨にさらされて劣化していきます。少しでも劣化しにくい素材を提案したり、間取りを変えられる設計を提案したり…変化に対応できる家づくりを心がけるようになりました。

ほとんどのお客さまは、家を建てる経験なんて人生で1回きりですからね。たくさんの事例を手がけている僕らが、先を見据えた提案をしてあげなくては、と思っています。

社員の皆さんに対しては、どのような想いをお持ちでしょうか。

僕がいっしょに働きたいと思う人の条件は、「仕事を楽しめるかどうか」です。ただし、難しいのは、“楽しさ”の意味を取り違えない、です。

入社時にはスキルは必要ありません。僕は、仕事はスポーツと同じだと思っているんです。始めてすぐは当然うまくプレーできないけれど、何度も同じことを繰り返し、時間をかけて少しずつ上達していく。できることが増えていくほど、プレーが楽しくなっていくでしょう? 仕事も同じです。

「ラクをする」ではなく、「プロとしてできることが多くなってくる」、これが本当の“楽しさ”だと思うんです。僕が社員に言っている「楽しみなさい」とは、「プロになりなさい」ということ。どんな案件が来ても対応できるような知識と能力を身につけられたら、仕事はもっと楽しくなるはずですから。

 

1軒でも多く家づくりを手がければ、見えてくるものがある

 

これからチャレンジしてみたい事業の構想があれば教えてください。

時間はかかるかもしれませんが、「自社商品」がひとつの夢です。お客さまとお話していると、「こんな柄のものがないか?」とご相談いただくことがあります。

また建築の現場でも、「こんな部材があれば効率が良くなるのに」というのが結構あるんですね。既製品では対応できないものを開発できたら、もっともっといい家づくりができるはずです。将来的に、自分たちが建てる家の主要部分には、自社の部材や素材を使いたい、という想いがありますね。素材から施工、そして建てたあとのアフターフォローまで、家づくりのすべてに責任を持てるようにしたい。

ただ、商品開発には莫大な費用がかかりますから、力を蓄えてひとつずつチャレンジですね。将来的には、特許を取れるような部材の開発を視野に入れています。

大阪本社のほか、滋賀にも事業所を立ち上げられました。今後も会社を大きくしていきたい気持ちはありますか?

全国で名前を知られるくらい会社を大きくしたい、という目標はあります。それは、1人でも多くのお客さまの家づくりを手がけるためです。

会社として手がける案件が多くなればなるほど、色んな事例を経験できますよね。100軒の家を建てれば、100通りの要望が聞けるわけです。多様な要望にどう応えられるか、現場で検証して学べます。先ほどお話しした自社商品の開発もそうです。より良い家づくりをするために、ひとりでも多くのお客さまの意見を聞き、現場を手がけたいんです。

1軒1軒の家に対して、かなりの責任感を持って臨まれていると感じます。

家は、その人にとって生涯で一度あるかないかの“大きな買い物”です。登記をして相続の対象になるくらい財産的価値のあるものですから、適当な仕事は絶対にできません。

学ぶことに終わりはないですし、少しでもいいものを作るための努力を惜しんではいけない、と思っています。

 

取材日:2021年5月12日 ライター:土谷 真咲

カナディアンホームプラス株式会社

  • 代表者名:山中 基裕
  • 設立年月:2019年12月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:木造戸建・賃貸アパート・リフォーム等の建築、建築請負業務、宅地造成
  • 所在地:〒583-0011大阪府藤井寺市沢田2丁目9番31
  • URL:https://c-home.plus/
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より

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