職種その他2021.06.23

レジスタはスポーツを軸に、持続可能なビジネスで、沖縄の未来の産業作りに挑戦する

沖縄
株式会社レジスタ代表取締役CEO
Yuji Nakamura
中村 裕二

「レジスタ」とはサッカーの世界で、ゲームをコントロールするものの、フォワードのように目立たない“縁の下の力持ち”のような存在です。「株式会社レジスタ」の事業内容も、まさに沖縄のスポーツビジネスにおける「レジスタ」。

代表取締役の中村裕二(なかむら ゆうじ)さんは、元日本代表・高原直泰(たかはら なおひろ)選手率いるサッカークラブ「沖縄SV(エスファウ)」のCMOも歴任しながら、スポーツを主軸にしたさまざまなビジネスを展開。沖縄の未来のために、新たな産業を作るべく動いていたのです。

 

沖縄移住とレジスタ設立の経緯

ご出身は神奈川県の鎌倉と伺いました。なぜ沖縄に移住されたのですか?

大学卒業以来ずっと東京の広告会社で働いていまして、そこで沖縄出身の妻と出会いました。ちょうど40歳の頃、沖縄で40年以上続く「大高商事」という商社を経営していた義理の父が他界し、その会社を継ぐために移住することになりました。

大高商事の社長でもある中村さんが、どのような経緯で「レジスタ」設立されたのですか?

沖縄で働き始めて個人的に感じたのが、沖縄のビジネスシーンでは、よそ者をなかなか、直ぐには受け付けてくれない性質が少々あるなと。

義理の両親が30年以上前から沖縄に移住し商売をしていたので、自分は受け入れてもらえてはいましたが、それでも会社に貢献できているという十分な満足は感じられず、悶々としていました。

また、そもそも商社は自分の中では斜陽産業とも感じていました。丸紅や三菱商事などの大手ならまだしも、地方の中小の商社が今後生き残るのは厳しいだろうと。とはいえ沖縄という限られた市場でシェアを拡大することは、同業他社のシェアを奪うだけで、誰も幸せになれません。

であれば、「今まで沖縄になかった新しい市場を作ればいい」と思い至りました。そうすれば誰も困ることなく、存分に事業を拡大できるはずだと。

そのようなことを考えていた頃、元サッカー日本代表の高原直泰選手が、沖縄で新しいクラブチーム「沖縄SV(エスファウ)」を作るという話が耳に入りました。

高校までサッカー部だった私にとって、高原選手はレジェンド中のレジェンド。そんな憧れの人と一緒に何かできるならと、直接の接点はなかったものの、長年マスコミ業界にいたのでつながりを持つ知人に紹介してもらい、高原選手が沖縄でクラブ設立記者会見をするところから手伝い始めました。

しばらくは大高商事の一事業としてチームのブランディングなどを行っていましたが、あまりに事業内容が違いすぎるため切り離し、「レジスタ」として独立しました。

 

「スポーツ×〇〇」で事業を創造

御社は、スポーツに関するさまざまな事業を展開されていますが、なぜスポーツに特化しているのですか?

その理由は、高原代表が沖縄にクラブチームを作った理由にもつながります。内閣府の出先機関である沖縄総合事務局は沖縄でスポーツ産業を広め、地域振興を発展させられるようなスポーツクラブを作れないかと高原代表に相談していました。そのようなスポーツビジネスの推進は国の基幹事業の一つで、沖縄は特に力を注いでいた地域でした。

なぜ沖縄だったのですか?

温暖な気候の沖縄では、多くの野球チーム、サッカークラブがキャンプを行っていますが、沖縄にはお金やノウハウがあまり落ちていないのが現状です。

スポーツに適した土地ならばもっと産業化できるはずだと、スポーツ産業を「観光産業」「IT産業」に次ぐ3本目の柱にしようと国は考えました。その思いを受けたのが、高原代表だったのです。そして弊社は、そのチームである沖縄SVのPRとともに、地域振興のためのスポーツ事業もお手伝いすることになりました。

どのように事業を作っていったのですか?

まず、沖縄の、地域の課題を見つけて、それにスポーツを絡めて、スポーツ×〇〇といった、スポーツに何かを絡めて仕掛けていくことを考えました。

そこで成功できればチームのブランディングにもなりますし、ファンや応援してくださる方も増える。応援してくれる方が増えれば知名度が上がり、スポンサーも付く。スポンサーが増えればチームも強化でき、またファンも増えるという好循環が生まれます。

先ずはどのようなプロジェクトからスタートしたのですか?

先ずは伝統工芸の活性化からスタートしました。沖縄には、国が指定した「伝統的工芸品」が日本で3番目に多く、16品目もあるにもかかわらず、産業化がなかなか進んでいなく、担い手不足などの問題があるとお聞きしました。それを活性化できたらと。

ほとんどの組合の事業者さんには難色を示されましたが、首里織と、琉球びんがたの組合の方々に協力していただけることに。さらに、沖縄に市場を広げたいと考えていた、大手スポーツ用品メーカーのヨネックスさんの協力も獲得でき、首里織と琉球びんがたでスポーツウェアを作ることになりました。

機能性を重視するスポーツウェアと、高級品である琉球びんがたと首里織を掛け合わせることは本当に大変でしたが、何とか完成までこぎつけました。

15,000円と値が張るウェアでしたが、限定500着が一瞬で完売しました。この成功をきっかけに、さまざまな企業からお声がけいただくようになり、「かりゆしスポーツ」というかりゆしウェアを作ったり、泡盛メーカーや琉球大学と共同で沖縄の地域資源であるもろみ酢を使ったスポーツドリンクを開発したりと、BtoCだけでなく、BtoBも広がり始めたのです。

 

壮大な事業「沖縄コーヒープロジェクト」とは?

その他、取り組んでいるプロジェクトはありますか?

大規模な国産コーヒー豆の栽培を目指す「沖縄コーヒープロジェクト」を、手がけています。高原代表がクラブ設立当初より農業に強い関心を持っていたことから、後継者不足や耕作放棄地が多いといった沖縄の農業が抱える問題を知りました。「コーヒー」を通してその問題を少しでも解決できないかと考えました。

なぜコーヒーなのですか?

日本では気候的に小笠原と沖縄など限られた土地でしかコーヒー栽培ができません。ということは、もし沖縄産のコーヒーを作ることができれば、高付加価値、高収益な農作物となり、担い手も増えるだろうと思いました。

沖縄では多くの農家がコーヒー栽培にチャレンジしていますが、採算をとれるまでに至っていません。そこを、沖縄SVが手伝うことで産業化できないかと考えたのです。

とはいえ、我々は農業のプロではありませんので、誰かの助けが必要です。そこで、高原代表が在籍していたジュビロ磐田時代のメインスポンサーだった、「ネスレ日本」に支援をお願いしました。

高原代表の思いに賛同いただき、永続的に支援を続けることを約束してくださいました。

というのもスイスに本社を置くネスレは、コーヒー豆の栽培から製品の製造・流通・消費まで全ての工程に関与する「ネスカフェ プラン」というプログラムに取り組んでおり、事業活動を通じて社会的な課題を解決する「共通価値の創造(CSV)」というアプローチを実践しています。

世界ではコーヒーの消費量は増えているものの、気候変動による影響やコーヒー農家の数が減少傾向にあることなどから、コーヒー栽培業の持続可能性が脅かされています。

世界で最も多くのコーヒー製品を製造するネスレにとって、高品質のコーヒーを継続的に確保することは非常に重要であり、「ネスカフェ プラン」を通じて、コーヒー農家に品質の良い苗木を提供し、コーヒー豆を栽培する上での技術支援を行い、収穫されたコーヒー豆を適正な価格で購入するなど、世界中のコーヒー生産者に対するサポートを行っています。その「ネスカフェ プラン」を沖縄でもやろうと。

また、沖縄県の気候・土壌に精通する琉球大学の農学部と組むことになり、多くのコーヒー農園を持つ沖縄北部の名護市の協力を取付け、本格的にプロジェクトがスタートしました。

 

人との出会いを大切に、スポーツビジネスで沖縄No.1に

スポーツを軸にしたビジネス展開は今後も広がりそうですか?

もちろん可能だと思います。スポーツは元来ステークホルダーがとても多いものです。つまり、スポーツはハブになり得ます。これからもマスコミや自治体、スポンサー、ファンなど、多くの人々と一緒に沖縄のスポーツ界を盛り上げていきたいですね。

「他にはない、楽しく、創造的で、地球に優しく持続的社会を実現できる、世界品質」という御社が大切にしているキーワードは常に意識されていますか?

「持続可能であるかどうか」は、常に頭にあるかもしれません。近年SDGsが取りざたされていますが、この目標が認知される以前から弊社が取り組んできたことが、偶然にも今の潮流に重なっています。

昔は「デザインがいい」とか、「とにかくブランドものだから」という判断基準で物が買われていましたが、今はそれだけでは売れません。例えば自然環境に優しい素材を使っていたり、誰かを助けるために売上が使われたりといった、その商品の世の中に対する価値があってこそ、買われる時代です。弊社も、その商品独自の「価値」をしっかり見出して、伝えていきたいと思っています。

今後の展望を教えてください。

たくさんの人との出会いが、今の事業につながりました。これからも人とのつながりを大切に、個人的にも大好きなスポーツを軸に進んでいきたいですね。

もちろん、スポーツビジネスでは沖縄で一番になりたいとも考えています。またアジアに近いという立地も生かし、アジアへのスポーツビジネス展開も視野に入れ、沖縄が潤う仕組みを作っていきたいです。

最後に、どのようなスタッフと一緒に働いてみたいですか?

弊社の根幹事業であるスポーツはもちろん、エンターテインメントや観光に興味があり、地域に貢献できる事業に興味がある方がいいですね。また、弊社の主な仕事はプロジェクトマネジメントなので、プロジェクト実施までの一連の流れを担える方にぜひ入社していただきたいと思っています。

取材日:2021年5月20日ライター:仲濱淳

株式会社レジスタ

  • 代表者名:代表取締役 中村裕二
  • 設立年月:2020年7月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:スポーツ、ヘルスケアに関するコンサルティング、ソリューション提供、各種プロジェクトメイキング、プロモーション企画、PR活動、商品企画、販売、イベント企画、運営、講演、セミナーの実施、講師派遣
  • 所在地:〒901-0225沖縄県豊見城市字豊崎3-59トヨプラ4F
  • URL:https://regista-okinawa.com/
  • お問い合わせ先:098-851-3459

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