ひとりでも多くの人に幸せを届けられる、建築デザインの「遊園地(パーク)」を目指し続けて

京都
株式会社アクシスデザインパーク 代表取締役
Takashi Kawamura
河村 孝士

広告プロモーションから街づくりまで不動産に特化したデザインワークを幅広く手掛けている、株式会社アクシスデザインパーク。「お客様の幸せのため」という軸(アクシス)を持ち、デザインの遊園地(パーク)のような会社を目指し続け、2020年、創業20周年を迎えました。代表の河村 孝士(かわむら たかし)氏に、同社が幅広いフィールドで存在感を放っている理由。今後のビジョンなどについて伺いました。

 

ひょんなことからデザインの専門学校に。“修業”を経て、30代後半で創業

 

建築デザインの世界に入ったきっかけは何でしょう?

学生時代、友人がデザインの専門学校に行きたいと言うので、説明会について行きました。そこで目にしたデザイナーにカッコよさを感じて。その彼は結局入らず、私が専門学校の夜間部に入学し、大学と二足の草鞋で2年間インテリアデザインを学ぶことになったのです。

卒業後は、設計事務所に就職。元来、「みんなと同じ」が大嫌いで、当時の新卒の初任給の4分の1程度ですが修行のつもりで入り、お茶くみや社長の運転手など、何でもやりました。そのうちパースを描かせてもらえるようになりました。自分のアイデアを具体的に表現できる面白さに目覚めました。

分社化したデザイン部門のトップを任されたりもし、当時はまだハシリだったCGを建築デザインに採り入れるなどしました。いろいろあって独立、CGパース制作を軸としたデザイン専門会社である「アクシスデザインパーク」を設立しました。38歳のときです。

 

CGパース使った広告制作が当り、設立2年目から東京進出へ

独立後は、不動産の広告制作から始められたとか?

とにかく稼ぐ必要がありました。なぜなら以前の会社から部下がついてきてくれたからです。それはいいのですが、逆に言えば、給与を出すためにいきなり利益を出していかなくてはならない。

かといって、前の会社のお客様のところへ営業に行くわけにはいきません。それで目先を変えてCGを不動産広告に使ったところ、大当たりしました。まだCGパースを使った広告が少なかったこともあり、建築用パースとは格段に違う利益が出たのです。

以来、現在まで、広告プロモーションは、事業の柱のひとつになっています。広告戦略の立案に始まり、Webデザイン、パンフレット、チラシといったグラフィックデザイン、ノベルティグッズの開発、ドローンを使った映像制作など、不動産に関わるあらゆる広告・販促プロモーションを手掛けています。

設立2年目に東京に進出されていますね。

進出といっても、私が単身で上京し、マンスリーマンションの一室を事務所に構えただけです。会社は順調でしたが、「東京で認められないと」という危機感があったのです。広告代理店や不動産デベロッパーなどをピックアップしては、飛び込み営業の毎日。数十件訪問しても収穫ゼロの日もありましたが、なんとか撤退せずに済み、2008年には今の銀座事務所に移転しました。

その後、建築の外観・内装意匠デザインにも参入していったのですね。

広告事業が軌道に乗ってくると、建築デザインの仕事も舞い込むようになってきました。現在は、おっしゃるとおり建物の外観・内装意匠デザインのほか、プランニング、VRなど最先端のデジタル技術を駆使したハイスペックなCG制作、さらには手書きイラスト、アニメーションまで、仕事は多岐にわたっています。賃貸・分譲マンション、戸建住宅の新商品の開発やコンセプトメイキングから携わっているものも多数あります。

 

いろんなアトラクションがあって楽しい、デザインの遊園地のような会社

サービスの範囲が広がってきた理由は何でしょうか?

お客様に喜んでもらえるなら「何でもやる」が、当社のポリシーです。もちろん初めてやる仕事にぶつかることもあります。それでも、お客様が望むなら「できる」と言って社長の僕が仕事を引き受けてくる。当然、申し訳ないことにスタッフはきついわけですが、実践を積んでいく中でスキルや経験値は高められます。対応できる範囲はどんどん広がってきました。このポリシーは、社名にも関係があるんです。アクシスとは軸、パークは遊園地です。遊園地に行ったら、いろんなアトラクションがあって楽しいですよね。そんなふうに、デザインに関して何でもやりながら、楽しく、笑顔で、お客様はもちろん、自分も仲間もWin-Winでやっていけるような会社。しっかりと物事を見据えて軸をぶらさずに行動・遂行し、喜んでもらいたい。そんな想いを込めたネーミングにしました。

 

仕事はもらうものではなく、お客様の喜びのために、創っていくもの

社名に込めた想いを実現しているのですね。

そうですね。「仕事を発注する、しないは後でいいので、困っていることがあれば何でも相談してください」が基本スタンスです。結果、「相談に来て良かった!」と思ってもらえれば、うれしいです。大切にしているのは、徹底的かつ真剣に相手の立場になって、精一杯+アルファくらいやる姿勢です。仕事を依頼通りにやるだけではダメなんです。言われてもいないことをやるから、お客様が喜ぶ。仕事とはもらうものでなくて、創造していくものだと私は思います。

お客様の喜びにつながる+アルファの仕事の好例とは?

「注文住宅の名前を考えてほしい」という依頼があったとします。普通は、依頼された通りにカッコいい名前を考えて提案しますね。でも、うちはそれで終わりません。「立体にしたら、こんなノベルティができますよ」と、頼まれてもないイラストやキャラクターデザインを描いた提案書を見せると、お客様は目を丸くしてびっくりされます。こういった仕事ぶりが評価され、今、全国規模の大手ハウスメーカーとの取引につながり、仕事をさせていただいています。

 

街づくりのコンセプトメイキング(上流)から、広告制作(下流)まで一手に

その大手ハウスメーカーとはどんな仕事をしていますか。

家のデザインや広告制作のみならず、数百戸規模の街づくりや会社の周年イベントの動画制作、全国の展示場のプロデュースにも携わっています。ある展示場のリニューアルにあたっては、「集客率を上げたい」という要望に対して、スーツ姿だった営業スタッフをエプロン姿にし、カフェテラスの併設を提案しました。リニューアル後、休憩のついでに家を見学する方が増え、集客率は900%アップしましたね。

集客率900%アップとは凄いですね。街づくりではどんな実績がありますか。

戸建住宅、商業施設、集合住宅などを複合したプロジェクトに複数、関わり、外構や共用施設のデザイン、商業施設の配置など、お客様と一緒になってゼロベースから作り上げています。安心・快適に暮らせる街づくりのために、世界の街づくりの事例を研究しました。そこでまず道から入ろうと。生まれた提案のひとつが、歩行者専用道路です。住む人の安心・安全やコミュニケーションの創出に役立ちますし、景観的にも美しい街並みとなっています。街の開発当初から携わっているので、広告もしやすいですね。お客様も別会社に広告を頼む必要がなく、双方にとってまさにWin-Winになっています。

 

とにかくやってみよう!の発想で、時代を先取りする

 

スタッフに大事にしてほしい姿勢はどんなことでしょう?

お客様に喜んでもらうには、アイデアが勝負。アイデアは頭で考えて出てくるものではありません。大切なのは、日頃から世の中の情報や動向をキャッチしておくことです。ですから、スタッフには立ち読みでもテレビCMでも何でもいいので、情報に触れておく意識を持ってほしいと思っています。センスは生まれながら持っているものではないのです。顧客やターゲット層の目線に立ち、マインドに敏感になって気づくことから、「こうしたら喜んでもらえるのではないか」という発想が出てきます。

創業20周年を迎え、スローガン「Try&Spurt’20」を掲げていますね。

これからは若手が中心になって会社を進歩させていかないといけないと考え、スローガンは社員に募りました。「とにかくやってみよう。ラストスパートまで頑張ろう」という意味です。私の役割は、今後、何十年と働いていかないといけない彼ら彼女らが、働きがいを持ち、一生モノの技術を身に付けられる環境を作ることです。そんな皆のアイデアを実現するために、こんなシステム、ツール、機械を導入したい希望があれば、よほどでなければノーとは言いません。

今後、チャレンジしたいことは何でしょう?

すでに着手しているバリアフリー広告に注力していきたいです。広告は言葉ですから、決めたターゲットに理解できるように伝えなくてはいけませんが、枠を超えると言いますか、例えば、子どもが見て面白いと感じる不動産広告があってもいい。私たちは、取引先であるお客様の会社は“家を売るためにある”と考えません。子どもが大人になっても「ずっとあり続けられる会社」のファン作りをしていきたいのです。身体的な条件による障害を排除していく本来のバリアフリーも実現していきたいです。耳の不自由な方には動画で情報を伝えられますし、目の不自由な方には点字という方法がありますね。会社を拡大したいといった思いは全くありません。しかし、今後も時代の先取りはしていきたいですね。その中で得た新しい発見をエンドユーザーの幸せにつなげていけるような「パーク(遊園地)」であり続けたいと思っています。

取材日:2021年3月16日 ライター:佐古 和歌子

株式会社アクシスデザインパーク

  • 代表者名:河村 孝士
  • 設立年月:2001年10月
  • 資本金:1560万円
  • 事業内容:不動産広告プロモーション、不動産総合企画(街づくり、プランニング、外観・内装意匠デザインなど)、ビジュアル制作(3DCGパース、VR、映像制作など)
  • 所在地:〒604-0943京都府京都市中京区上白山町264稲川ビル
  • URL:https://www.axis-dp.co.jp/index.html
  • お問い合わせ先:https://www.axis-dp.co.jp/contact/index.html

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