WEB・モバイル2021.01.27

沖縄県発スタートアップ企業・Know.Ma.Ri、コロナ禍での起業を“チャンス”に代えうる

沖縄
株式会社ノマリ 代表取締役
Yutaka Yoshida
吉田 豊

日本で“最も人口の多い村”として知られる、沖縄県読谷村(よみたんそん)に本社をかまえる「株式会社Know.Ma.Ri(ノマリ)」は、コロナ禍の2020年12月に設立されたばかり。地域に根ざしたポスティング事業、インスタグラムの運用代行、Googleマップ上における店舗や会社情報の最適化(MEO)対策の3本を柱に掲げ、地域集客とネット集客の両輪で、沖縄県からさらに広く羽ばたこうと願うスタートアップ企業です。

立ち上げまでの経緯や将来像について、代表者の吉田豊さん(上記写真の中央)にお話を伺いました。

誰かのために利他的に動ける3人で作った会社

2020年12月に会社を立ち上げた経緯を教えてください。

設立した背景には、父が沖縄県内でホテルを経営していたのも関係していました。コロナ禍でホテル業界が打撃を受けていたのは広くニュースなどで報じられていましたが、つながりのある会社や店舗も例外ではなく、サイト制作やマーケティングを手伝っているうちに、中小規模の事業者は人的リソースが不足していると気付いたので、苦境に立たされている今だからこそニーズがあると思い、起業しました。

会社名は英語表記で「Know.Ma.Ri」となっていますが、どのような意味を込めたのでしょうか?

2つの由来があるのですが、カッコ悪い方から言えば、私とスタッフの金城、知念勇人(ちねん ゆうと)の名前をもとにしています。知念の頭文字である「知る」の英語「Know」と、金城の頭文字はお金「Money」ですが語呂が悪いので「Ma」として、そして、私の名前の「豊か」は「Rich」なので頭の2文字を取り、つなぎ合わせたのです。

ただ、後付けながら別の意味を込めるようにして、現在は「知識がお金に代わって豊かになる」と説明するようになりました。

3人はそれぞれ異なるキャリアの持ち主ですか? また、3人で共感できたのはどういった部分でしたか?

金城と知念とは、2019年に沖縄市内のプログラミングスクールで出会いました。利他的な部分を感じられるのは、私たちの共通点かもしれません。起業しようと思った当初は、一緒にやろうと話し合っていたメンバーが他にもいたのですが、自然とお互いに助け合えると思うメンバーが残りました。

利他的な部分というのは、どういった場面で感じたのでしょうか?

プログラミングスクールが終わり、3月頃から話し合ううちに、目先の損得ではなくお互いの将来の夢やかなえたい目標などに価値を見出していると感じるようになり、徐々にでした。

今も3人で「朝起きたときにワクワクするような世の中っていいし、そんなコミュニティを作りたい」と話していて、そういった部分も共感を覚えたところかもしれません。

ときには自分の身を捧げても誰かのために動くというのは大切です。私は高専出身でエンジニアの傍ら人材教育も経験しています。金城はスタートアップでの就業経験があり、知念は電力関係や自動車学校の教官と、それぞれの歩いてきた道は異なりますが、得意分野を生かして会社としての形を作っていきたいと考えています。

父親の経営するホテルでMEO対策を経験

現時点の会社概要では「ポスティング」「インスタグラムの運用代行」「Googleマップに関するMEO対策(地図エンジン上での最適化)」を事業の柱に掲げていますが、どのように展開されていますか?

ポスティングについてはまだ稼働していないのですが、商圏が2km程度のごく小規模な範囲での集客が必要なクライアントにも対応するためと考えています。インスタグラムの運用代行は2021年1月から稼働しており、県内の大手ホテル事業者様の案件を担当しています。ホテルの魅力をPRして集客に役立てられるようホテル情報(客室、外観、設備情 報など)を掲載しています。

もう一つのMEO対策は、ホテルのチェーン店など店舗ごとに細かく対応させていきます。元々、私自身がコロナ禍で父の経営するホテルのGoogleマップ上にある基本的な情報を整理していき、ユーザーの検索元や扱われていたキーワードを調べるなどして施策を打った体験があったので、生かそうと考えました。

地域集客とネット集客の双方を軸に掲げていますが、それぞれは重なるものなのでしょうか?

別々ではなく、グラデーションのように混ざり合っていると考えています。例えば、ポスティングはローカルでアナログな手法というイメージもありますが、販売促進の手段として古典的ながらいまだに使われている以上は、ポスティングにしかない利点もあり集客に貢献できると思っています。

さまざまな事業が本格的にスタートするのはこれからだと思いますが、現状では、どのように動いているのでしょうか?

3人がはっきりと役割を分担しているわけではないですが、全員が主体的に事業に取り組んでいます。ただ、コロナ禍での創業となったので、取引先の方とのコミュニケーションについては試行錯誤しています。こちらから足を運ぶのは難しく、つながりのあるところからご紹介をいただいているので、県内での足固めをしている最中です。

いずれは教育分野でも貢献していきたい

左から金城さん、代表の吉田さん、知念さん

コロナ禍で、どの業界も先行きが見えない状況のさなかに起業した強みをどう感じていますか?

大変な時期であるからこそ、きちんとした結果を残せれば社会や経済が回復してきたときには強みになると考えています。また、誰もが好調の時期と比べて「事業展開をどうしようか」と困っている人たちも少なくないはずなので、自分たちがサポートしていければと感じています。

今後の事業展開はどのようにお考えでしょうか?

コロナ禍で困っている地元沖縄のホテル業界から需要を広げつつ、県内で一人でも多くの方々に活用して頂けるように展開していきたいです。一方、アジア圏で人にあまり知られていないような地域をいずれターゲットにしたい思いもあり、個人的に中国語も話せるので、海外にも広げていきたいです。

また、事業を広げていく先では教育にも関わっていきたいです。子供たちに限らずですが、例えば、音楽を学びたいと考える人たちや何か新しい仕事を始めたい人たちなど、日本だけではなく海外も視野に入れながら新しく何かに挑戦したいと思う人たちを支えるため、徐々にステップを踏んでいきたいと考えています。

この先、一緒に働きたい人の理想像はいかがでしょうか?

私と金城、知念の3人で理念を構築している段階ではありますが、将来的には同じ方向を目指せる人たちと一緒に組んでみたいです。なかでも例えば、抜群のデザインスキルを持っている方と組みたいという理想もあるため、さまざまな人たちが得意分野を生かせる環境を私たちも作っていきたいと思います。

取材日:2020年12月21日 ライター:カネコ シュウヘイ

株式会社ノマリ(Know.Ma.Ri)

  • 代表者名:吉田 豊
  • 設立年月:2020年12月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:各種マーケティング代行、映像作成・編集、ECサイトやホームページの制作・運営・管理 、インターネットメディアの制作
  • 所在地:<本社>〒904-0302 沖縄県中頭郡読谷村字喜納204−2
  • URL:https://knowmari.com/
  • お問い合わせ先:上記サイトの「お問い合わせ」より
  • Instagram: https://www.instagram.com/know.ma.ri/

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