ゲーム2021.01.06

「東京の人しか楽しめない」をなくす。岡山から世界へ羽ばたくゲーム会社

岡山
株式会社まかねソフト 代表取締役
Kazuhiko Otsuki
大槻 一彦

「株式会社まかねソフト」は、岡山県で17年の歴史を積み重ねてきたゲームスタジオで、2020年7月31日に独立した企業として再びスタートしました。『テイルズ オブ アスタリア(株式会社バンダイナムコエンターテインメント配信)』は、根強い人気のある『テイルズシリーズ』の作品で、まかねソフトが運営中のアプリゲームです。代表取締役の大槻一彦(おおつき かずひこ)さんは、「岡山から世界に、新しいことを発信していきたい」と力強く語ります。

今回は、大槻さんだけでなく、現場で躍動している戸田隆史(とだ たかし)さん、坂中大介(さかなか だいすけ)さん、山﨑有似(やまさき ゆい)さんにも、まかねソフト独自の強みや地方活性化への熱意を、詳しく伺いました。

17年間、岡山で歴史を積み重ねてきた

まずは、「まかねソフト」立ち上げの経緯を教えてください。

大槻さん:

2020年7月31日に設立しましたが、実はとても歴史が長いんです。もともと、2003年に岡山で設立された「メディアインクルーズ株式会社」でした。その後、2012年に「KLab株式会社」の子会社となり、一旦会社としてはなくなりましたが、岡山事業所としてゲーム開発を続けていました。

2020年になり、「株式会社まかねソフト」として再び会社としてスタートしたんです。メディアインクルーズ時代を含めると、まかねソフトの歴史は17年になるんですよ。

本日は社員の方にもお話を伺います。ご出席の皆さまは、メディアインクルーズ時代からのメンバーだそうですね。

大槻さん:

そうです。まかねソフトは離職率が直近3年で7.6%と低く、長く働いている社員が多いんです。蓄積されたゲーム開発のノウハウがあるので、自然に業務が効率化されて、働きやすい環境になっているんだと思います。

裁量労働制を採用しているので、その日の仕事は完璧に終わらせて、1日の後半に映画を見たり、ゲームをしている社員もいますよ。様々な娯楽に触れるのは、ゲーム作りの勉強にもなりますし。ゲーム業界にブラックな印象を持っている方も多いと思いますが、弊社では、ライフスタイルに合った働き方を自分で決めることができます。

同業他社と比べて、御社独自の強みは何だと思いますか?

大槻さん:

ゲーム開発に必要な業務を、一貫して対応できるところが強みです。イラストレーター、デザイナーからエフェクト、演出、クライアントエンジニア、サーバーエンジニア、そしてプランナーと、東京以外のゲーム会社で一通りの職種を揃えるのは大変な事です。

イラストレーターが絵を描いて、演出担当がキャラクターを動かして、UI・UX担当が操作性やユーザー体験を高めていく。業務の8割以上は、社内で対応しています。弊社のメンバーは、野心家が多いんですよ。自ら知識を身に付けて学んで、新しいものを生み出しています。スキルの高いメンバーが在籍していることも、強みの一つだと思います。

「古参」と「新規」、どちらのファンにも楽しんでもらえるアート

アートディレクターの戸田さんから見て、まかねソフトの武器はなんでしょうか?

戸田さん:

メディアインクルーズ時代から、著作権のある作品を多く扱ってきました。ゲーム業界では、著作権のある作品をIP案件(Intellectual Property、知的財産)と呼んでいます。有名な作品だと、『テイルズ オブ アスタリア(株式会社バンダイナムコエンターテインメント配信)』を弊社が取り扱っています。

IP案件にはすでに作品のファンがいますので、イメージをしっかり掴んでキャラクターを描かないと、「このキャラはこんなポーズしない!」とファンにガッカリされてしまうんです。古参のファンの方も納得できるクオリティで、かつ、新しいワクワクを提供できるイラストを生み出せる点は、弊社の武器だと思います。また、版権元に監修と制作の協力を頂くことで、しっかりとクオリティを担保することができています。

イラストを描くときに、何か意識していることはありますか?

戸田さん:

弊社では「このキャラだとこんな感じかな、前回はこうだったし」と、曖昧なイメージのままで描かないようにしています。一枚のイラストで原作のシーンを表現する気持ちで描かないと、説得力の無い絵になってしまうんです。

特にゲームアプリのカードイラストは、長くゲームを運営するほど、描けるポーズが限られます。過去に描いたポーズが、どんどん増えますから。キャラクターらしさがあり、新鮮味もあるイラストにできるよう、日々意識しています。

戸田さんのチームが作成したキャラクターを生かして動きをつけるのが、演出担当の坂中さんですね。

坂中さん:

キャラクターを動かすのは、2Dアニメーション作成用のソフトウェアを使用しています。キャラクターを動かす以外に、技のエフェクトをつけたり、ボタンを押したときの動きをつけることもありますね。

山﨑さん:

坂中さんは、アニメーション制作ソフト「Live2D」開発会社の主催イベントに登壇したこともあるんですよ。「Live2D」の名前が出てきた初期から独学で勉強して、さらにソフトをいいものにするために、開発会社と連携して改良を進めたんです。

広報の山﨑さん、フォローありがとうございます。もともとのソフトを使うだけではなく、ソフト自体のクオリティを上げるために行動したことがすごいですね。どんな経緯で、開発会社と連携することになったんですか?

坂中さん:

スマートフォン初期のゲームは、腕が横にプラプラ動いたり、平面的な動きしかできなかったんです。2Dをもっとリアルに、滑らかに動かしたかったんですよね。画面から手前に腕がガッと伸びてきたら、かっこいいじゃないですか。

そう思っていたときに、2Dを疑似的に3Dっぽく動かせる「Live2D」というソフトが出てきたことを知って。独学で使っているうちに、「こうしたらさらに良くなりそう」と思う部分が見えてきたんです。ソフトの開発会社と連携して改良できたらいいなと思って、こちらから先方に提案したら、快く受け入れてくれました。

行動力がすごいです……! 坂中さんから見た、御社の強みも教えてください。

坂中さん:

IP案件で培ってきたスキルがあるので、原作の再現性にとても長けていると思います。長年のファンには「やっぱりかっこいいな」と思ってもらい、初めて見る人には「これいいな、原作を読んでみようかな」と思ってもらう。その技術が、まかねソフトにはあります。

会社規模は大きくないですが、その分大手企業と比べて機動力もある。僕が「Live2D」をもっと良くしたいと行動できたのも、社内の風通しの良さがあったからだと思います。

大槻さん:

坂中さんが「新しくこれが必要だ」と言うなら、止める理由もないですから(笑)。基本的に、現場の意見優先で進めていきたいんです。

クリエイターが集中できる環境を整えてくれているのが、山﨑さんです。必要な資料をまとめたり、広報や採用、事務や経理や労務まで、多様な業務をほとんど対応してくれています。

山﨑さん:

弊社には、ゲームを真剣に作りたい人が集まっているんです。作業に集中してほしいので、私にできることがあれば、「それは私がやります!」「こっちで巻き取ります!」とサポートしています。

現場を思うからこその行動ですね。UI・UXに関しても、本日は山﨑さんからお話を?

山﨑さん:

本日はUI・UX担当が不在なので、事前に聞き取った内容をお伝えします! この職種は、異業種から入社してきた人が多いんです。「ゲームのUIって何?」のレベルから始めて、実務経験を通して、実力を身に付けてきました。

ボタン一つをとっても、押した感じがあるかないかで全然違いますよね。動きが必要な場合は演出チームとタッグを組みながら、ゲームのクオリティを高めています。

確かに、魅力的なイラストと演出があっても、「何となく使いにくいな」と思ったらゲームをストップしてしまいそうです。

山﨑さん:

そうですよね。ゲームの楽しさを途切れさせないためにも、特にUXは重要なんです。「バトルする」「キャラクターを強化する」「シナリオを楽しむ」など、すべてをスムーズにつなげなくてはいけないですから。

ゲームをしながら、「あれもやりたい、これもやりたい」とユーザーをワクワクさせるために、今後もUX面をさらに強化していこうと思っています。

「東京の人しか楽しめない」をなくしたい

今後、会社がさらに発展していくために、どんな人に加わってほしいですか?

大槻さん:

ゲーム業界で生き残るには、人々の「新しいものが欲しい!」という欲求に合わせて、技術を取得していく必要があります。5年後には、スマートフォンでゲームをすることもなくなって、全く違うゲームが普及しているかもしれないですよね。

大変な面はあるけど、「新しいものが好き」「ゼロから開拓していきたい」という人には、ぴったりの業界だと思います。「こんな新しいことができるんだ!」とワクワクしてくれる人が、仲間になってくれたらうれしいです。

最後に、新たに実現したいことがあれば、教えてください。

大槻さん:

これからは、地方からの発信がどんどん増えていけばいいと思います。岡山から世界に、新しいことを届けていきたい。エンターテインメント業界は、今はどうしても東京に集中しています。ゲーム関連のイベントも、東京で開催されることが多いですよね。

僕は、「東京にいないとできない」「東京の人しか楽しめない」を減らしていきたいんです。そのために、この岡山の地で、まかねソフトをさらに盛り上げていきたい。 クリエイターが中国・四国地方でゲームを作りたいと思ったときに、「あ、まかねソフトがあるな」と思い出してもらいたいんです。まかねソフトが、地方で活躍するクリエイターのよりどころになれたらと思っています。

取材日:11月25日

株式会社まかねソフト

  • 代表者名:大槻 一彦(おおつき かずひこ)
  • 設立年月:2020年7月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:ゲーム開発、運用
  • 所在地:〒700-0902 岡山県岡山市北区錦町5番10号
  • お問い合わせ先:086-212-0707

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