プロダクト2020.12.23

武器はクリエイターのこだわり!ブランチ・アウトが「好き」のパワーで作るアパレルとは

東京
株式会社ブランチ・アウト 代表取締役社長
Shinichi Oya
大谷 真一

服の製作だけではなく企画提案からPRに至るまで、一貫して行うアパレルメーカー「株式会社ブランチ・アウト」。日本国内だけではなく、中国にも現地法人を持ち、グローバルに事業を展開しています。2次元キャラクターを使用した商品、強み、商品開発、過去の失敗体験、今後の展望まで、代表取締役社長の大谷真一(おおや しんいち)さんにお話を伺いました。

自分の価値を必死に探した新人時代

代表取締役社長・大谷真一さん

ブランチ・アウトのコーポレートサイトに、「私たちは服づくりが大好きなアパレルエキスパート」と書いてあるのが印象的でした。大谷さんは、昔からファッションへの関心が強かったんですか?

私の実家が、服の販売をしていたんです。服に囲まれて育ったので、ファッションがいつも身近にありました。高校を卒業してすぐに、自然とアパレル業界に入ったんです。働き始めた頃は、正直、あまり仕事が面白くありませんでした。出荷作業で大量の段ボールを運んだりして、肉体労働も多くて。3年ほどかけて仕事を覚えて、自分で企画営業するようになってから、少しずつ仕事の楽しさを感じるようになりました。

ブランチ・アウトの現会長とは、当時働いていた会社で出会ったんです。現会長が独立し、ブランチ・アウトを立ち上げて数年後に声を掛けて頂きました。今は中国にも現地法人を作っていて、日本のメンバーと合わせると100人を超えていますが、当時はまだ5人くらいの会社でした。

私にとって、現会長はすごく偉大なんです。「声を掛けてもらって入社したけど、会社に貢献できることがあるだろうか?」と不安がありました。だから自分にできることを必死に考えて、新規の取引先を開拓したりしていましたね。

会社での自分の価値を、探していたんですね。

まぁ、やるしかなかったんです(笑)。自分が入社したことで、会社に何もプラスにならなかったら、声を掛けてもらった意味がないから。今はありがたいことに、代表として、ブランチ・アウトを引っ張る立場で働いています。さらに会社を盛り立てて、「任せてよかった」と思ってもらいたいですね。

基盤を固めることの重要性を痛感

V字回復の苦労を語ってくれた

今まで「これは大変だった!」と記憶に残っていることはありますか?

社員の人数が少ないときに、急に増員をして基盤が固められないまま、勢いだけで進んでしまったことがありました。私も含めて皆若くて、「会社を盛り立てていこう!」と熱意だけで走ってしまったんです。売り上げはすごく伸びましたが、結果、肝心の品質管理や納期管理で問題が多発してしまって……。

右肩上がりだった売り上げが、一気に落ち込んで、先行きが見えないと思ったのか、辞めていく人もいました。

その問題を、どのように乗り越えたんですか?

「今まで自分たちの目で確認していなかったところを、すべてチェックしよう」と皆で決めたんです。販売する服はすべて自分たちで管理をして、細かなところまで徹底するようにしました。

すでに中国の工場ともやり取りをしていたので、私は1年の半分以上中国に行き、品質管理に努めました。今までにないくらい、大変な時期でしたね。

その労力のおかげで、下がっていた売り上げは2年ほどで元通りになりました。基盤作りの大切さを、身に染みて感じた出来事です。

基盤が不安定なまま進んでしまう怖さが、ひしひしと伝わってきました……。中国に進出しようと思ったのは、どうしてですか?

今までは、「取引先(小売店)」と「服の製造工場」との間に、私たちのようなアパレルメーカーが入ることが多かったんですが、海外の工場と直接やり取りをする小売店が、どんどん増えて、「自分たちの会社の様な中間業者が不必要になるなら、海外により川上の会社を作って、日本の会社と直接取引ができるようにしよう」と思ったんです。

飛ばされるなら、飛んだ先に自分たちの会社を作ってしまおう!ということですか?

そうです。他の企業と差別化するために、依頼通りに服を作るだけではなく、川上から企画提案もできるようにしました。勿論日本での取り組みは国内で商談できる仕組みも作ってあります。

どんな方向から依頼が来ても、社内ですべてカバーできるようにしたいんです。孫の手みたいに、「かゆい所に手が届く企業」を目指しています。

一つのことを極める、プロ集団

 

ブランチ・アウトが展開しているアイテムの数々

他に会社独自の強みを教えてください。

弊社は、一つのことを極めた人が集まったプロ集団です。「この分野なら誰にも負けない!」と熱意を持った人が、たくさん揃っています。

例えば、グラフィックデザイナー。社内のデザイナーは、最初は服の知識なんてなかったんです。美術大学出身や、絵を描くのが大好きな人たちに「服に絵を描いてもらう」という発想で、後から服飾の知識を覚えてもらいました。勿論服飾の学校出身のデザイナーも多数います。絵も服も好きだからこそ、ゼロからアイデアを生み出せる。それが強みです。

専門性の高い方が、それぞれの武器を使って働いているんですね!

もうひとつ、2次元コンテンツを強化するために、専門部署も作ったんですよ。弊社が契約しているライセンスコンテンツは、サイトでも公開していますが、ありがたいことに非常に多く、好調です。

アニメや漫画のキャラクターがプリントされているTシャツ、見たことありますよね?あれも、2次元に興味がある人と、興味がない人が作るのでは、柄のクオリティーが全然違うんです。2次元が好きな人は、「このキャラなら、このシーンの、この表情を使うべきです!ファンはここに感動したんです!」と、細かなところまで指定ができる。

コンテンツ自体に愛がないと、そこまでこだわれないですから。

「ファッションが好き」「絵を描くことが好き」「二次元が好き」と、それぞれの好きのパワーを会社の武器にしている印象です。

そうしないと、弊社以外にも、アパレルメーカーはたくさんありますから、独自の武器を持っていないと、コスト勝負になり、安く服を作れるかどうかで勝負が決まってしまう。価格で戦うと、規模の大きな会社には勝てません。

じゃあ何で勝とうかと考えたときに出てきたのが「企画力」だったんです。メンバーの強みを生かすことはもちろん、販促方法を提案することもありますよ。インフルエンサーに依頼して、コーディネートの提案をSNSで発信してもらったり。どなたに依頼するかも、社内で協議して決めています。

最近では日本にはまだ入ってきていない海外SHOPとライセンス契約して、国内で販売もしています。今はコロナの影響でストップしていますが、海外に実際に調査に行って、各国のブランドとやり取りすることも多いです。

海外飲食店との契約によるレアなアイテムのひとつで、ピザの箱のようなユニークなパッケージも魅力

 

企画力で会社を盛り立てるなかで、業務で意識していることはありますか?

自分たちで販売した服の実績検証は、会社を立ち上げた頃から必ずしています。企画を考えるうえでも、実績の数字は大切ですから。売れているデータの傾向で、新しく販売する服のカラーやデザインも決めていきます。

勿論それに限らずチャレンジする商品も多数あります。 店舗に服を置いてもらうために、売れた実績は必須なんです。売れない服をずっと置いてくれる店舗はありません。他社で売れた服の傾向もすべて分析して、自社の企画に反映できるところがないか、日々情報収集しています。

華やかに見えるアパレル業界ですが、地道な分析と検証が重要なんですね。これからのブランチ・アウトに、「こんな人が入ってきてほしい」という希望はありますか?

私たちは新しいことに挑戦し続けたい会社ですから、同じように自分が興味があることにチャレンジしたいと思える人がいいですね。

未知の領域に踏み込むのは、怖さもあると思います。ときには、自分の未熟な部分と向き合わなくてはいけない。だけど、自分の足りない部分を自覚してこそ、人は成長していけると思うから。

新しいことにチャレンジしたいけど、失敗するのが怖いという方もいると思うんですが、大谷さんは部下が失敗したときにどう対応しますか?

ブランチ・アウト全体が、チャレンジしたからこその失敗には寛容です。もちろん、同じミスを繰り返したら注意しますよ。でも挑戦した熱意は、しっかり認めます。

トライしたことで、会社の売り上げに損失を出しても……?

そんな人なんて、社内にたくさんいますよ(笑)。私だって、今までたくさん失敗しました。新しいことを10個やって、成功するのは1個か2個くらい。

失敗したからこそ、気付けたことも多いです。失敗の内容や数字は、ちゃんと理解してもらいますが、失敗から学んでくれたら、トライしたことを責めはしないですし、次の目標に向かってまたチャレンジしてもらいます。

最後に、今後の会社の展望を教えてください。

国内での努力を今まで以上しつつ、今後は海外にも事業を拡大していきたいです。特に、海外での人気が高い2次元コンテンツは、ブランチ・アウトだからこそ個性的に、おしゃれに展開していけるはずだと確信しています。

2次元のキャラクターをプリントした服は、海外でたくさん販売されていますが、キャラクターをペタッと貼り付けただけのものも多いんです。

社内にプロのデザイナーがいる強みを生かして、弊社でしか買えない洗練されたデザインを発信していきたいです。

取材日:2020年11月5日

株式会社BRANCH・OUT(ブランチ・アウト)

  • 代表者名:代表取締役社長 大谷 真一
  • 設立年月:1997年7月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:婦人服・紳士服・子供服の販売、企画・デザイン・仕様書・制作全般(グラフィック、キャラクター、イラストレーション、ロゴ作成)
  • 所在地:〒150-0012東京都渋谷区広尾1-13-7恵比寿イーストビル5F
  • URL:https://www.branch-out.jp/
  • 電話番号:03-3445-0003/
  • お問い合わせ先:https://www.branch-out.jp/

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