WEB・モバイル2015.10.14

スマホで拡張?AR搭載の学研の図鑑 LIVE(ライブ)がすごい!

Vol.122
「学研の図鑑LIVE」編集長 松下清さん
「図鑑」が進化しています。単なる標本にとどまらず、新たな視点で編集がされたり、DVD付きで映像が見られたり、ついにはAR(拡張現実)を取り入れた図鑑が登場しました! 図鑑出版社の老舗・学研から出版された新シリーズ「学研の図鑑LIVE(ライブ)」は、スマホやタブレットと連携して3DCGや映像を見られる仕掛けを取り入れています。 「学研の図鑑LIVE」編集長の松下清さんに、出版の経緯やシリーズの今後についてのお話を伺いました!

ARを取り入れた新シリーズ「学研の図鑑LIVE」 動物園や博物館では見られない3DCGや動画が楽しめる!

クリステ編集部に出現したティラノサウルス。恐竜とツーショットの自撮りも可能。

クリステ編集部に出現したティラノサウルス。恐竜とツーショットの自撮りも可能。

新シリーズ「学研の図鑑LIVE」は、ARを取り入れた編集が話題ですね。

スマートフォンやタブレットを図鑑にかざすと、3DCGや動画が見られるARを取り入れました。専用アプリをダウンロードし、データが埋め込まれているページをスキャンすると、3DCGや動画を見ることができます。3DCGなので、動物や昆虫の真上から見た背中や、下から見たお腹を見ることもできるんですよ。動物園や博物館では見られない絵を見ることができます。

「学研の図鑑LIVE」を企画した経緯は?

学研の2,000円台の図鑑には、1999年に発売がスタートした「ニューワイド学研の図鑑」シリーズがあります。図鑑は発行から10〜15年ほど経つと、情報が古くなることもあって新しいシリーズの発刊を検討し始めます。「ニューワイド」よりも後に発刊がスタートした他社の同価格帯の図鑑シリーズは、DVD付きだったので、まずはDVD付き図鑑の企画検討が始まりました。

確かに、DVD付きが出たり、新しい視点で編集されたものが出たり、図鑑は面白くなっていると感じます。

図鑑市場が活性化していることは確かだと思います。その中で存在感を出していくため、DVDだけでなく、学研の図鑑ならではの特典としてスマホやタブレットと連携できるARを取り入れることにしました。

「本物を見せる」がコンセプト 精巧さと動作性のバランスを考慮しながらアプリを開発

ARを見るには専用無料アプリのダウンロードが必要ですが、このアプリを採用した理由は?

3〜4年前に開発会社からプレゼンを受けたのがキッカケです。他の図鑑で採用してみたところ、再現性に優れてストレスなく動いたので、今回のLIVE用にカスタマイズしてもらいました。

カスタマイズのポイントは?

当初はスキャンに時間がかかっていたので、時間をかけずにスキャンできるようにお願いしました。複雑で精巧なCGにすることはいくらでも可能なのですが、そうするとデータが重くなってスムーズに動かなくなります。そのあたりの精巧さと動作性のバランスも難しかったですね。

動画はどのように読み取る仕組みなんでしょうか?

動画は3DCGとは別のアプリですが、ページのデザイン内にQRコードのような認識ポイントを埋め込み、かざして読み込むと動画が立ち上がる仕組みになっています。3DCGも動画も、一度読み込んだものはアプリ内に保存されるので、好きなときに見ることができるんですよ。

読者の反応は?

子どもに見せると「おおっ!」と驚いてくれますね。とても楽しんでくれているようで、うれしいです。

写真が多いことが学研の図鑑の特徴 実物大の写真も多数!

「学研の図鑑LIVE」のターゲットは?

他社も同じですが、この価格帯(2,000円台)の図鑑シリーズのメインターゲットは小学校低学年で、男女比で言えば圧倒的に男子ですね。ですが、未就学児も「見て」楽しめますし、大人も十分に楽しめる情報量になっています。図鑑は、夏休みの7〜8月と、クリスマス商戦の12月に売れるんですよ。

「学研の図鑑LIVE」」ならではの魅力や楽しみ方は?

ひとつは「LIVE」だけでなく学研の図鑑全体に言える特徴ですが、写真が多いことです。お父さん・お母さん世代の図鑑はイラストが多かったので、「今の図鑑はリアル!」と驚かれることが多いんですよ。また、代表的な動物や昆虫などの写真は実物大を載せています。毛の1本1本までわかる様子は、ここまで近づけない動物園や博物館では見られないものです。 もうひとつは、イギリスのBBCが制作した貴重な生態映像のDVDです。「本物を見せる」ことをコンセプトにしているので、演出はしていないんですけど、実は自然界のリアルはかなりハードなんですよ。昆虫の動画を見て、泣き出してしまったお母さんもいるようです(笑)。

写真を多用しているなど、図鑑としてのクオリティはパラパラとめくればある程度わかりますが、ARの魅力を店頭で伝えるのは難しいですよね。

そうですね。「実際に体験してみないとわからない」ことが課題です。まずは体験してもらおうと、3DCGと一緒に記念写真を撮れるイベントなどを開催しています。簡易的に楽しめるリーフレットも書店に配布しているので、店頭で見かけたらぜひ試してみてください。

超アップの画像で、普段は気が付かない毛など、細部までじっくり観察できる。

超アップの画像で、普段は気が付かない毛など、細部までじっくり観察できる。

標本的な役割から、視点の提案、問題提起まで。 子どもはもちろん、大人でも新たな発見が!

「学研の図鑑LIVE」シリーズでオススメはありますか?

もちろん、どれもオススメなんですが(笑)。「危険生物」は、学研の図鑑のキラーコンテンツなんです。「危険生物」のタイトルを付けて編集した図鑑は、「ニューワイド」が初めてなんですよ。テレビ番組などにも頻繁に取り上げられました。 また、情報の進化が早いものは、大人にとっても発見があるのでオススメですね。「宇宙」「恐竜」は、読み応えがあると思います。

学研の図鑑のキラーコンテンツ「危険生物」。

学研の図鑑のキラーコンテンツ「危険生物」。

「宇宙」はわかりますが、古い時代の生物である「恐竜」が、情報の進化が早いとは驚きです!

恐竜は新たな化石が発掘され、新事実が次々と明らかになっていて、情報がどんどん更新されています。今回の表紙のティラノサウルスには毛が生えているんですよ。

「宇宙」「恐竜」だけでなく、他のテーマも情報量が豊富で、大人も十分に楽しめますね。

以前は図鑑といえば標本的な役割でしたが、今は視点の提案があったり、問題提起をしたり、編集方針によって個性が出るようになってきました。親世代にとっての図鑑のイメージとは大きく異なり、情報量も多いですね。

インタヴューにお答えいただいた「学研の図鑑LIVE」編集長の松下清さん。

インタヴューにお答えいただいた「学研の図鑑LIVE」編集長の松下清さん。

今後の「学研の図鑑LIVE」はどのように展開していくのでしょうか?

前シリーズの「ニューワイド」は26冊あるのに対し、「LIVE」はまだ9冊ですから、残っているテーマでDVD映像やARに向くものを発売していきたいですね。また、大人も楽しめる図鑑とはいえ、メインターゲットは小学校低学年です。「小学校低学年の時には、必ず通過する本」として、「学研の図鑑LIVE」が定番になっていけるよう、魅力を高めていきたいです。

株式会社 学研教育出版さまより、メルマガ読者のみなさまに、「学研の図鑑LIVE」をご提供いただきました。 ※ご応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました!

取材日:2015年9月9日 ライター:植松織江

学研の図鑑『LIVE(ライブ)』

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各 2,200円+(税) ハイクオリティな写真や最新の情報はもちろん、イギリスBBC制作のDVDと、スマートフォンやタブレットをかざして見られるAR動画で、生き物などの動く姿が映像で見られる、本物よりも本物を観察できる図鑑です。

 

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