WEB・モバイル2007.06.01

JWDA―日本WEBデザイナーズ協会

vol.26
日本WEBデザイナーズ協会会長 株式会社イクリプス代表取締役社長日野水穂さん 日野水穂さん
現在、日本に10万人いるとも15万人いるとも言われるWEBデザイナー。しかしこれまで、その正確な数字や活動実態を把握する団体はなかった。2005年6月、そんな混沌を打開すべく有志が集い設立されたのが非営利団体JWDA――日本WEBデザイナーズ協会だ。 活動の柱は2つ。ひとつは、WEBデザイナーの職能に関するガイドラインづくり。そしてもうひとつは、JWDAアワードによる優秀作品の顕彰だ。特に前者は、これまで個別の主観的判断に委ねられていたWEBデザイナー、WEBクリエイターのスキルの基準を確立することで、市場における安定的活動とスキル向上をめざす、きわめて意欲的なもの。2年間の検討と半年間のカリキュラム開発期間を経て、いよいよ2007年6月29、30日に第1回「JWDA WEBデザイン検定」が実施される。 一方、「JWDAアワード」は2007年2月に第2回受賞作発表が終了し、年とともに意義ある賞に育ちつつある。ちなみに第2回JWDAアワードでグランプリを受賞したのは、当サイトの「風雲会社伝其の24」に登場している株式会社エイトさんである。 同協会会長/日野水穂さんが、インタビューに応じてくださった。

取材対象者 face026 日本WEBデザイナーズ協会会長/ 株式会社イクリプス代表取締役社長: 日野水穂さん URL: http://www.jwda.jp/ E-MAIL: jimukyoku@jwda.jp

 

WEBデザイン検定は、業界が健全に、次のステップを 踏むために不可欠なもの。多くの制作者に参加して いただきたいですね。

WEBデザイン検定のスコアレポート。レーダーチャートが視覚的で分かりやすい

WEBデザイン検定のスコアレポート。レーダーチャートが視覚的で分かりやすい

2007年は2回。2008年以降は、いつでも受検できる随意制度に。

これは、資格試験ではありません。英語力を測るTOEICのように、獲得スコアで受検者が自らの現在のスキルを知ることが第一義。「WEBデザイン概論」「デジタル素材の扱い」「マーケティング」「スクリプト・プログラミング」「ビジネス・スキル」「インターネットの仕組み」という6つの分野についての獲得スコア――つまりスキルの高さを、レーダーチャートのスコアレポートとして返します。初年度の2007年は計2回開催ですが、2年目以降は随時受検となりますから、いつでも受けたいときに検定を受けて、スキルの上昇度合いを知ることができます。

WEBの世界にこそ、検定が必要なのだと思います。

この世界は日進月歩。しかも、必要となる知識とスキルの幅が、異常に多岐にわたっています(笑)。もちろん、独学や持って生まれた感覚だけでトップを走る天才もいますが、それはほんの一握り。今自分がどれくらいの技量を持つか、今後どんな方向をめざすべきか。それを知る手がかりは絶対に必要ですし、これまでそれがなかった。必要なものがない混沌のもとでもなんとかなったのは、まさに黎明期がゆえ。業界として、黎明期を脱するには、WEBデザイン検定が絶対に必要――というのがJWDA参加者全員の共通認識です。

JWDA公式 WEBデザイン検定テキスト

JWDA公式 WEBデザイン検定テキスト

あらゆるWEB制作関係者に受検してほしい。それが業界の振興、発展となる。

この検定は、WEBデザイナーのためだけのものではありません。WEB制作にたずさわっている方すべてを対象に、その知識とスキルを測ることができます。ぜひ多くの方に参加、受検していただき、たった今のご自身のスコアを知ってほしい。もちろんより高いスコアを獲得しようという気持ちが、仕事への向上心につながることも期待しています。 もうひとつ期待するのは、この検定が業界標準に育つこと。それによってWEB制作の業界にスキルの基準が形成され、WEBデザイン産業のさらなる振興と発展につながると思います。

誰に仕事を任せるかの基準となる。ゆくゆくは、発注側のスキル確認にもなっていく。

これまで、特に発注者側から見たとき、どんな案件を、どんな方にお願いしていいかを知る手がかりが少なかった。「えいや!」と目を瞑って誰かに任せた経験を持つ発注者さんは、かなり多かったはずです(笑)。「WEBデザイン検定で××のスコアを持っています」「それならば、この仕事お願いできますね」というやり取りが、スタンダードになる。これまで、個別の主観的判断に委ねざるをえなかったことが明確な基準のもとに判断できる。ゆくゆくは、発注者側の関係者の皆さまにも受検していただけるようになってほしいですね。

WEB制作業界の未来を考える人に、どしどし参加して ほしい。JWDAは、常に新しいメンバーを求めています。

ボランティアに支えられる非営利団体。今後は地方支部網も広げる予定。

JWDAは非営利団体。近々、有限責任中間法人となり、2008年には一般財団法人となる予定になっています。この協会は、業界の未来になんらかの貢献をと考えた有志たちによって支えられ、運営されています。制作会社経営者等が、手弁当で、ボランティアで参加している団体ですので、いつでも新規メンバーを募っています。ぜひ、多くの業界関係者に参画していただきたいです。来年からは地方支部づくりも始まる予定で、その第一弾は仙台市、あるいは宮城県となりそうです。

業界の発展に、制作者の向上心に――つながることをあまねく。

WEBデザイン検定が制作者の向上心をサポートするものであるなら、制作者の業績を評価するのがJWDAアワードです。優秀なWEBデザイナーの発掘や新しいチャンスの創造につながる賞に育てたいと考えています。もちろんWEBデザイン検定も年を追って発展、進化させなければなりません。冒頭に申し上げたように日進月歩の世界ですから、それをキャッチアップした内容であることが必要不可欠ですからね。将来的には各分野をより深く掘り下げた内容になるはずですし、デザイナーの検定、プロデューサーの検定、コンサルタントの検定というような細分化も進むはずです。とにかく、いつの時代にも、必要最低限の基本を確認できる検定でありたい。基本があってこそのテクニックという、もの作りの根本を支えていけるような検定に育てたいと思っています。

JWDA WEBデザインアワード受賞者

JWDA WEBデザインアワード受賞者

Webderの様子

Webderの様子

第一線で活躍する人が集まれるよう――クラブイベントも開催

JWDAは、WEB制作にたずさわる人たちにとって良いと思える活動には積極的に取り組んでいきます。これまでご紹介した「JWDA WEBデザイン検定」「JWDA WEBデザインアワード」のほかにも、ウェブダー(Webder)と呼ばれるイベントも催しています。月次(第二火曜日夜7時より)で行っているレギュラーミーティングでは、主にWEB制作にかかわる業界関係者の意識向上、交流の場としてご活用いただいておりますが、ウェブダー(Webder)ではクリエイター自身の情報交換の場、ご交流の場と位置づけています。アワードとは別に年次イベントとして毎年開催予定です。昨年は土曜日の夜に渋谷のクラブで開催し、約200名のWEBクリエイターが集い、交流しました。今後も年1回ペースで開催する予定ですから、ぜひ多くの方に参加していただきたいと思っています。

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