おもしろそうだぞ、ヨコハマ国際映画祭2009

Vol.54
ヨコハマ国際映像祭2009-International Festival for Arts and Media Yokohama 2009-ディレクター 住友文彦さん
10月31日、横浜市内の3つの会場を舞台に、ヨコハマ国際映像祭2009-International Festival for Arts and Media Yokohama 2009-が30日間の会期で開催される。 メディアアート、CG、アニメーション、映画、写真など様々な映像を対象とした国際的な、かつ、映画祭でも現代美術展でもない新しい映像フェスティバル。国内外の約40名の作家が臨海都心部の会場で様々な映像作品の展示・上映を行う。

横浜開港150周年を機に企画された意欲的なイベントに、ぜひ注目してほしい。 同映像祭のディレクターを務める住友文彦さんに、お話を伺いました。

ヨコハマ国際映画祭2009――
今だからこそできる、意欲的な取り組み。ジャンルも
プロ・アマも問わない、映像作品の可能性を探り、楽しむ。

横浜国際映像祭2009の開催テーマは、CREAM (Creativity for Arts and Media )。多くの人々が映像を使って社会に参加していくために、多用な個人のあり方が反映される表現と記録について考え、体験するフェスティバルをめざしている。住友さんが、開催に際して発表したコンセプトの一文から抜粋しよう。

この地球上で映像とまったく無縁に住むことは難しくなりつつあり、私たちは映像によって世界とつながっていると言っても過言ではないでしょう。とりわけ、近年の技術発達によって一部の人だけではなく、多くの人にとって一般に生活する中で映像を見る、作るといった機会は急速に増えています。(中略)
つまり、物事や出来事の表層にとどまるものではなく、私たちの間に横たわり、そのなかに身体を差し入れるような深みのある、海のような存在として映像をみなすことを提案したいと考えています。
<「コンセプト:DEEP IMAGES ――海としての映像」より>

<インタビュー対象者> 住友 文彦さん 1971年生まれ(38歳) 金沢21世紀美術館建設事務局学芸員、NTTインターコミュニケーションセンター学芸員などを経て06年~ 08年まで東京都現代美術館事業企画課企画係長。 日中韓の若手アーティストを紹介する「アウト・ザ・ウィンドウ展」(国際交流基金アジアセンター/東京/2004)、「Possible Futures:アート&テクノロジー過去と未来」展(ICC/東京/2005)などを企画。’07年に中国を巡回した「美麗新世界展」などで、日本の現代美術を海外へ紹介する企画にも関わる。 主な共著に、「身体の贈与」(『表象のディスクール6 創造』、東京大学出版会、2000年)、「映像の中へ」(『21世紀の出会い?共鳴、ここ・から』、金沢21世紀美術館、淡交社、2004年)、「キュレーターになる!」(フィルムアート社、2009年)がある。 特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウの副理事も務める。

<インタビュー対象者>
住友 文彦さん
1971年生まれ(38歳)
金沢21世紀美術館建設事務局学芸員、NTTインターコミュニケーションセンター学芸員などを経て06年~ 08年まで東京都現代美術館事業企画課企画係長。
日中韓の若手アーティストを紹介する「アウト・ザ・ウィンドウ展」(国際交流基金アジアセンター/東京/2004)、「Possible Futures:アート&テクノロジー過去と未来」展(ICC/東京/2005)などを企画。’07年に中国を巡回した「美麗新世界展」などで、日本の現代美術を海外へ紹介する企画にも関わる。
主な共著に、「身体の贈与」(『表象のディスクール6 創造』、東京大学出版会、2000年)、「映像の中へ」(『21世紀の出会い?共鳴、ここ・から』、金沢21世紀美術館、淡交社、2004年)、「キュレーターになる!」(フィルムアート社、2009年)がある。
特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウの副理事も務める。

このイベントの生まれた経緯は?

【住友さん】
横浜市では、文化芸術、経済の振興と横浜らしい魅力的な都市空間形成というソフトとハードの施策を融合させた新たな都市ビジョン「文化芸術創造都市―クリエイティブシティ・ヨコハマ」の形成をめざしており、そのひとつのプロジェクトとして「映像文化都市づくり」を進めています。
「映像文化都市づくり」は、今後の成長が見込まれる映像コンテンツ系産業の集積を図ることにより、新産業の創出や雇用の拡大といった経済の活性化とともに、横浜がアジアの映像拠点となることをめざしたビジョンです。これまで、東京芸術大学大学院映像研究科をはじめとする教育機関、映像コンテンツ系企業の誘致や様々な映画祭の開催支援、「ヨコハマEIZONE」といったイベントの開催などの取り組みを行ってきましたが、次のステップとして企画されました。

映画祭でも現代美術展でもない。これまでにないイベントですね。

【住友さん】
たとえばこれまで、映画というジャンルで発表の場を用意されている映画監督と、アマチュアの学生映像作家がまったく同じステージで作品を発表する場は皆無でした。
デジタル技術の進展により、個人がつくる映像作品のクオリティは飛躍的に上がった。現代アートの作家たちが、美術展だけでなく映画祭や映画館で作品発表する機会が増えているのもそのためです。
私たちは今、映像を通して幅広く多彩な分野の方々が、同じ土壌で同じ想像力を見せ合える時代にさしかかっている。横浜国際映像祭2009は、そのような認識のもとに企画され、実行されます。

イベントの特徴は?

【住友さん】
映画祭のように、席に座って鑑賞するプログラムと展覧会形式で展示されるプログラムが大きな2つの柱です。国内外の研究者やエーティストが集い、議論を重ねるフォーラムも開催されます。ほんとうに普通のおじさんやおばさん(笑)が参加して独自の番組制作などにチャレンジした「市民プロジェクト」の発表もあります。
イベントに先がけて実施されたコンペティションの受賞作品も、随時公開されます。

クリステ読者に向けて、ヨコハマ国際映像祭2009のアピールを!

【住友さん】
まず、この試みと取り組みは、継続を視野に入れることで意義が増すと考えています。第2回、第3回と何年かに1度定期開催されることによって、現代に生きる私たちの「映像」へのリテラシーが深まることに期待しています。今回、コンペに応募された1000点近い作品を見るだけでも、映像の裾野の広がりと、きらりと光る才能の存在を確認できました。私たちのめざした「映画祭でも現代美術展でもない」映像祭の企画は、確かなものだったと確信しています。まずは、10月31日~11月29日の会期中に、ぜひ会場に足を運んでみてください。

イベント情報

■名称
ヨコハマ国際映像祭2009
■テーマ
CREAM [Creativity for Arts and Media]
■会期
2009年10月31日(土)~11月29日(日)【30日間】*会期中無休
■開場時間
11:00~19:00(土日祝は10:00~19:00)
■会場
新港ピア、BankART Studio NYK、東京藝術大学大学院映像研究科馬車道校舎、 他サテライト会場
■入場料
一般 1300円(前売1000円)、学生・専門学校生 1000円(前売800円)  
  高校生500円(前売300円)、中学生以下無料 *全ての会場共通
■前売券
9月16日(水)-10月30日(金)(各プレイガイドにて販売)
■当日券
当日券の販売は、下記の場所にて行います。
<チケット販売場所>新港ピア、BankART Studio NYK、各プレイガイド
■主催
横浜国際映像祭2009実行委員会(横浜市、(公財)横浜市芸術文化振興財団)
  ■事務局所在地
横浜国際映像祭2009実行委員会事務局
〒231-0002横浜市中区海岸通2-8 第二吉本ビル4階B TEL:045-212-5661 FAX:045-212-5630
■後援
経済産業省、文化庁、神奈川県、財団法人デジタルコンテンツ協会、神奈川新聞社、NHK横浜放送局、株式会社テレビ神奈川、東京国立近代美術館フィルムセンター、CG-ARTS協会(財団法人 画像情報教育振興協会)、財団法人 横浜観光コンベンション・ビューロー、アメリカ大使館、インドネシア共和国大使館、ブリティッシュ・カウンシル、オランダ王国大使館、カナダ大使館、スイス大使館、スペイン大使館、ベルギー王国大使館、駐日ポーランド大使館
■協賛
東京工芸大学、相鉄グループ、株式会社ファンケル、川本工業株式会社、コカ・コーラ セントラル ジャパン株式会社、株式会社横浜銀行、横浜信用金庫、東京ガス株式会社、キリンビール株式会社
■助成
モンドリアン財団、スイス・プロ・ヘルベティア文化財団
■協力
アドビシステムズ㈱、AVIX、株式会社INAX、エルメスジャポン株式会社、特定非営利活動法人黄金町エリアマネジメントセンター、寿オルタナティブ・ネットワーク、SHIFT、CINRA.NET、全日本空輸株式会社 、東京芸術大学大学院映像研究科、野毛Hana*Hana、特定非営利活動法人BankART 1929、FACT[Foundation for Art and Creative Technology]、フォステックスカンパニー、財団法人 横浜市緑の協会、横浜市立野毛山動物園、横浜美術館
■サテライト会場特別協力
ブルームバーグ.L.P

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