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CREATIVEクリエイティブ好奇心

いいめもプロジェクトの挑戦、あるいは冒険。

Vol.57
いいめもプロジェクト 鶴羽佳秀さん、北村孝之さん
「いいめもプロジェクト」とは、「いいめも おこづかい帳」、「いいめも ウォーキング」なるネットサービスを提供するプロジェクトであり、集団。コアメンバーである鶴羽佳秀さん(30歳)、北村孝之さん(28歳)、古川大輔さん(31歳)の3人は、「大手町ビジネスイノベーションインスティテュート(OBII)」と呼ばれるビジネス研究会の開発合宿で意気投合し、「いいめも おこづかい帳」のアイデアに行きついたという。

「いいめも おこづかい帳」、「いいめも ウォーキング」は、ネットサービスではあるがWEBサービスではない。つまりは携帯のメール機能だけで簡単に登録でき、おこづかいや1日の歩数を確認、管理できるのが特徴。
空メールを送ると使い方を記したテキストが返信され、すぐに利用可能。使い方のノウハウは、毎回、送った支出データの返信メールで問いかけるようにメッセージされる。そんな簡単明瞭な使い勝手がネット社会ではちょっとした話題になっていて、「いいめも おこづかい帳」は2009年12月現在、登録者数約2万5000人になっている。
今回は、鶴羽さんと北村さんをお招きしてのインタビューとなった。
■いいめもプロジェクト http://www.ememo.jp/

出会った3人が意気投合したのは
「自分たちがほしいネットサービスをつくろうよ」、そして
「お母さんや小学生が、簡単につかえるものにしよう」だった

鶴羽さんはマーケティング、北村さんはIT系企業の企画担当、古川さんはシステムエンジニアと、背景も職業も違う3人が出会ってすぐに意気投合したのは、「自分たちがほしいネットサービスをつくろう」だった。

いいめもプロジェクトは、法人格は持っていないようですね。

鶴羽 今のところ、会社にする予定はありません。2年前からサーバ会社の支援を得て、サーバは無償提供いただいていますので、支出はドメイン管理費用程度で済んでいます。プロジェクト発足もそうでしたが、ここまでの運営は「メンバーの手弁当」でまかなえています。

収益は?

北村 一切、ないです。広告も取っていないし、課金もしていませんから。

収益目的でないということは、趣味?

鶴羽 そう考えてもらってもいいと思います。メンバーは全員本業を持っていますし。

北村 趣味ですね。ですが、遊びではないです(笑)。

鶴羽 趣味だからこそ、楽しめるし、つづけられるんでしょうね。

プロジェクトは、どんな風に運営されている?

鶴羽 古川が現在、大阪在住なので、3人でのミーティングはスカイプを使っています。日常の打ち合わせはメールベースです。

北村 デイリーな運営は、技術的な対応が古川の担当、問い合わせメールへの対応は僕という感じで役割分担しています。問い合わせメールは全員に転送されています。

鶴羽 プロジェクトへの提携等の企業などからの問い合わせには、僕や北村が休日を使って対応しています。

で、このプロジェクトの発足の発端は?

北村 「大手町ビジネスイノベーションインスティテュート(OBII)」の開発合宿で、この3人が「自分たちがほしいネットサービスをつくろう」と意気投合しました。

鶴羽 僕が「いつでもどこでもメモできて、それを自由自在に取り出せるツール」というアイデアを出したのが、「いいめも おこづかい帳」の発端でした。

とてもシンプルな、プライベートネットサービス
ネットで個人的で、閉じたツールとして使いこなす視点が
新鮮で、受け入れられた

会員登録、パスワード設定、毎回のログイン――やるか? やらないよね。面倒だよ。そんな会話が積み上げられ、究極にシンプルで、使い勝手のいいサービスが組みあげられた。ソーシャルネットワークサービスが隆盛する時代だからこそ、ネットを、簡単に使えて誰ともつながっていない「パーソナル」なツールにしてしまうアイデアが、輝いた。

なるほど、ネット上にすぐ使えるメモ帳があるのは、便利ですよね。

北村 それで、目標は究極のシンプルさをと。たとえば自分の母親でも簡単に使えるようにするにはと考えていくと、携帯メールを送るだけの仕組みがいいとなった。

鶴羽 アイデアの骨格はすぐにできあがったけれど、サービス設計には時間がかかりましたね。1~2か月かかったはずです。

お母さんにも簡単に使える仕組みと、手順がいいですね。実際には、小学生のおこづかい帳として使える! という評判もあるようです。

鶴羽 具体的なターゲッティングとしては、地方在住で、PCもほとんど使わない人という想定をしました

なるほど、それでこの簡潔さになった。

北村 問い合わせメールには、「難しい」というクレームは一切ないです。むしろ、「もう少し高度にしては?」という、アドバイスがよく寄せられてきます。

鶴羽 WEB上で使えるようにしてほしいとか、だね。でも、このサービスの命はシンプルさですから、複雑化、高度化へ踏み出すつもりはないです。このシンプルさの上で、ユーザーがどんな工夫を凝らすかが面白いところだとも思うし。

北村 そうそう、だからこれはソーシャルネットワークサービスの真反対のプライベートネットワークサービスなんだ。

鶴羽 実は僕は今、「いいめも おこづかい帳」をクレジットカード限定の支出管理に使っていて、これがなかなかにいい。カードはついつい使いすぎてしまいますから。その使い方は、ユーザーの方が編み出した方法を教えていただいたんです。月ごとにまとめた集計データをエクセルに落として管理しているなんていうユーザーも、いらっしゃいます。

北村 そういう工夫が、楽しいんだよね。

技術的には、ぜんぜん高度じゃないから、プログラムはすぐに
でも組める。でも、サービス設計は、誰にでもできるものでは
ないし、いいめもプロジェクトのオリジナルな強み
その点が、今後の可能性だと思っている

意気投合して組みあげて、趣味として運営して多くのファンを獲得した、いいめもプロジェクト。彼らは目先の収益にはまったく興味を示さないが、この経験を通して、サービス設計のノウハウとソリューション提供のプロセスを着実に蓄積している。

聞けば聞くほどシンプルで、だからこそ使いやすいサービスとわかります。でも、仕組みが簡単すぎて、真似されるリスクも高いのでは?

鶴羽 プログラム的には、すぐにできちゃいます(笑)。でも、真似されるリスクについては、まったく心配していません。先ほども触れましたが、サービス設計にはとても時間がかかりましたし、そこで考え出した仕組みやプロセスの組み合わせは一朝一夕にコピーできるものではないですから。

北村 もっと言えば、思いついてもやるかやらないかの問題ですから。似たようなアイデアを持っていた人が、日本だけでも何十人、何百人といたはずですが、その中で、僕たちだけが実際にやった。やる、そしてやり始めた入り口で、いろんな課題を克服する。日々の運営をつづける。それが大事なんです。

<インタビュー対象者> 左:鶴羽佳秀さん(いいめもプロジェクト) 右:北村孝之さん(いいめもプロジェクト)

<インタビュー対象者>
左:鶴羽佳秀さん(いいめもプロジェクト)
右:北村孝之さん(いいめもプロジェクト)

このプロジェクトを通して、みなさんが得たものは?少なくとも、金銭は得ていないようだ。

鶴羽 「いいめもプロジェクトの鶴羽」という認識を持ってもらえるようになっているのが、最大の財産になっているような気がします。

北村 僕も、同じ感想です。このプロジェクトのおかげで、いろんな方にお会いして、お話させてもいただいていますしね。

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