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其の七十八 : 株式会社アイラボ

株式会社アイラボは、スマートフォン向けアプリケーション開発を主な事業としています。
2008年、日本で「iPhone 3G」が発売。その後GoogleのOS「Android」を搭載したスマホも加わり、今年2011年秋冬は、各キャリア(携帯電話会社)とも新発売ラインナップの過半数をスマホが占めるまでになりました。スマホの普及にしたがって、それにインストールするアプリの市場も著しい成長を遂げています。
いま、もっとも注目すべき業界と言っても過言ではないスマホアプリの企画、開発にまつわるお話を、同社代表取締役の伊藤剛さんに伺いました。

会社設立までの経緯を教えてください。

もともと学生時代から会社をつくりたいと思っていました。そこで、1995〜96年頃に大学を中退し、バイトをしていた秋葉原のパソコン店のメンバーと会社をつくりました。ただ、会社をつくったものの何をやればいいのかわからず、「とりあえず」という感じでホームページの制作などをしていました(笑)。
「上場すれば一獲千金」のような時代でしたが、残念ながらそううまくはいかず、会社運営には一区切りをつけることになりました。結局、秋葉原のコネクションを利用して、サーバーの製造・販売をする秋葉原界隈では有名な会社に就職しました。この会社の業績が非常に好調で、ついには上場までしてしまいました。私は、その会社ではECサイトの運営を一手に引き受けていて、会社がどんどん大きくなり、部下がじゃんじゃん入ってくる状態でした。

順調なサラリーマン時代だったようですね。

死にそうなほど忙しかったですね。その会社には4年ほどいたのですが、社内の情報システムを扱う部署にいたので、あくまで社内のことしかできない。それに物足りなさを感じていたところ、ちょうど「i-mode」がスタートしました。とても夢がある世界だと感じました。そこで、友人が3人でやっていた会社に取締役で転職し、受託の開発部門を立ち上げました。この会社も業績好調でどんどん大きくなり、合併をへて社員も30人くらいの規模になったのですが、そうなると意見の違いも出てきます。会社として、PC向けの業務を行う方針になったのですが、私はモバイルをやりたかった。そこで2006年に独立してつくったのが株式会社アイラボです。

2006年は、まだスマートフォンが普及する前の時代ですね。

当時、モバイルは、「i-mode」「EZweb」などキャリアがネットサービスを提供するのが中心でした。それらに対応したコンテンツの供給を目論んだのですが、収益が期待したほど上がらず苦労しました。そこで、広告代理店の下で受託の業務を引き受けるようになりました。“●●が当たるキャンペーン”とか、“スロットがくるくる回ってマークがそろうと着メロがもらえる”というようなサイトを、たくさんつくっていましたね。ところが、2008年にリーマン・ショックが起こると、あっという間に広告系の仕事が、文字通り全部なくなってしまったのです(笑)。途方に暮れかけていたときに登場したのが、「iPhone」でした。

iPhone向けのアプリをつくったのですね?

はい。「なんだか面白そうだ」、「とりあえずつくってみよう」でできたのが、腹筋エクササイズのための“腹筋励ましアプリケーション”「i-fukkin(http://www.i-fukkin.com/)」です。iPhoneを手に持って腹筋すると、iPhone内部の加速度センサーがユーザーの腹筋の回数をカウントします。これがテレビをはじめいろいろなメディアでとり上げていただいて、かなり話題になりました。おかげで弊社がiPhoneアプリをつくっていることが業界に広まり、アプリ開発依頼の案件が方々から来るようになりました。今、事業の中心はスマホのアプリ制作で、これまでに自社制作や受託制作で合わせて50数本ほどつくっています。おかげさまで、業績は右肩上がりで来ています。

「i-fukkin」は、たいへん話題になったアプリでしたね。相当、稼いでくれたのでしょうか?

残念ながら知名度ほど売上は伸びてくれず(笑)、1万本ほどですね。1本100円で1万本だと売上は100万円。決して悪い数字ではないですが、「儲かった!!」というほどでは…。“大ヒット”の目安は10万本程度で、無料アプリでダウンロード数ランキングのトップを獲るのには1日2万本くらいダウンロードが必要ですから、なかなか厳しい世界ですね。

もともとiPhoneアプリで参入されたわけですが、Androidアプリも手掛けているのですか?

はい。最近の受託する案件の数は、iPhoneとAndroidが同じくらいです。中には、その両方ともつくる案件もあります。iPhoneはアップルからしか発売されていないので問題になりませんが、Androidは対応機種が複数のメーカーから発売されているので、仕様にばらつきがあります。こうなると、アプリを走らせて見ないとうまく動くかどうかわからないのですが、だいたいメモリが少ない機種が問題になりますので、それに合わせてつくるのが定石です。また、機種ごとに画面のサイズも違い、かつ縦横比も違いますので、画面のレイアウトが崩れてしまうケースも出てきます。複数のパターンの素材を用意しなければならないので、本当にたいへんですね。全機種を試すことは難しいので、典型的な機種を3〜4台ほど購入して試してみています。

「i-fukkin」のほかに、どんなアプリがありますか?

よくネットで見かけるバナー広告に似たフレームを合成するカメラを使ったお遊びのアプリ「パレ子カメラ(http://www.i-labo.info/photo_frame.html)」のような、カメラフレームアプリもつくっています。広告を組み合わせた無料のアプリで、広告をクリックしてもらえると1件●●円の収入があるというモデルですね。
また、最近、おふざけのようなアプリなのですが、試験的に無料のAndroidアプリをひとつつくってみました。その名も「はし置き」。20種類くらいのはし置きが画面に出てきて、ただ表示するだけ、それでスマホがはし置き代わりになるというアプリ(笑)。けれども、実はただのおふざけではなくて、のちのち写真集のようなアプリの基本にして、ほかで応用して使うことも考えています。実際にアプリをリリースすることで、リリースの際に必要な情報や画像の準備をしたり、ダウンロードしてくれた方からコメントを頂いたりするので、そういう情報をフィードバックして経験値を積んでいくことも兼ねています。

今後はどんなアプリをつくっていきたいですか?

広く普及するもの。気がつけば、誰もが当たり前のように持っていて利用しているといったアプリをつくりたいですね。電車の中で、みんながそれを話題にしているシーンを目撃できたら最高の気分でしょうね。もちろん、なおかつ、それでちゃんと収益が出るものでなければならない。たとえば、「i-fukkin」も月額100円だったらまだまだ稼いでくれるのですが、あれは売り切りなのでそこがつらいところです。月に100〜200万円くらい稼いでくれるアプリが5本くらいあって、その中身を少しずつ入れ替えるようなメンテナンスをしていくスタイルが事業としては理想的です。あとは、アプリ制作のノウハウが蓄積されてきましたので、社内でつくっている独自のツールを同業他社さんに販売するようなことも考えています。

アプリのマーケットはどんどん大きくなっていますが、それとともにアプリ制作に参入してくる人たちも増えています。競争も厳しくなりそうですね。御社はどんな展開を考えていますか?

ひとつアプリを出せば、いろいろな反応が返ってきます。それを蓄積し、次の開発に生かすのが基本姿勢です。たとえば、「i-fukkin」は画面にチアガールが登場して腹筋エクササイズを応援してくれるのですが、女性のユーザーから「男性が応援してくれるバージョンもつくってほしい」というコメントが多数寄せられました。
そのような反応を開発に生かす際に大切なのは、たとえば男性の考える「かわいい」というイメージはかなり共通し、類型で語れるのですが、対して、女性の考える「かっこいい」はもっと細分化している点です。そのような事柄が開発の際のハードルになると同時に、アイデアの端緒にもなります。着眼点や創意や工夫の、少しの差が何乗にもなる。それがこの世界の面白いところです。アイデア勝負でまだまだ行けるところもありますし、流行っているアプリを分析してそれを活かしたり、また日本だけでなく広く世界の市場へ出て行けるチャンスもあります。

(取材日:2011年9月)



株式会社アイラボ

代表取締役:伊藤 剛
事業内容:
●自社コンテンツの企画・開発・運用●コンテンツの企画・受託開発・コンサルティング等
設立:2006年12月
資本金:750万円
所在地(本社):〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-3 千代田ビル6階
TEL:03-6272-9374
FAX:03-6272-9375
URL:http://www.i-labo.info/
問い合わせメール:info2007@i-labo.info






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