映像2018.03.07

amazonアレクサが声を失う!?キアヌ・リーブスがSquarespaceをPR!など、今年のスーパーボウルCM

Vol.112
Dig it! NYC 藤井さゆり

あああ、1年が早い!今月は、毎年恒例となっている「スーパーボウル」のCM特集です。

 

「スーパーボウル」とは、NFL(ナショナルアメリカンフトボールリーグ)の優勝決定戦のことで、第52回目となる今年は、2018年2月4日(日)、ミネソタ州のミネアポリスで行われました。

 

テレビで放映されるスーパーボウル中継は、毎年1億人以上が視聴するほどの全米最大のスポーツイベント。その中継で放映されるCMの広告料も注目を集めるのですが、なんと30秒の広告料は500万ドル(約5.3億)。高額ながらも多くの人にリーチできるということもあり、スポンサーとなるほとんどの企業はスーパーボウル用に特別なCMを制作します。

 

と前置きしたところで、正直な感想。

 

…今年は不作!!

 

去年は、トランプ大統領が就任してまもなくということもあり、政治的なメッセージが込められたCMが多く、スポンサーも攻めてる感があったんですが、今年はそういった勢いを感じませんでした。「今年は穏便に…」という、上の方からのお達しでもあったのでしょうか。

 

それに、前半戦と後半戦の間に行われるハーフタイムショー。今年はジャスティン・ティンバーレイクが出演したのですが、昨年のガガと比べると盛り上がりに欠けたんですよね…。

 

Justin Timberlake’s FULL Pepsi Super Bowl LII Halftime Show! | NFL Highlights

NFLーYouTube

 

そんな中でも、個人的に素晴らしい!面白い!日本ではあり得ない!と思ったCMもありましたので、いくつかご紹介したいと思います。

 

Good Odds | Toyota

Toyota GlobalーYouTube

 

生まれた時から左腕と両膝下がないながらも、パラリンピックでこれまでに6個の金メダルを獲得したカナダ人アルペンスキーヤー、Lauren Woolstencroftさんに焦点を当てたCM。“Start your impossible(不可能なことを始めよう)”というテーマに沿った感動溢れるものとなっています。

 

Toyota 2018 Big Game Ad: One Team (Extended Cut)

Toyota USAーYouTube

 

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教と見られる異教徒の聖職者たちが車に乗り込んで行った先は、スーパーボウルの試合会場。友人のシスター達と落ち合い、軽口を叩き合う。宗教をネタにしたアメリカでしか通じないジョークですが、“We’re all one team.”ー(信仰は違っても)私たちは全て一つだ、というテーマを表現したもの。

 

Alexa Loses Her Voice – Amazon Super Bowl LII Commercial

amazonーYouTube

 

「amazonのAIアシスタント、アレクサが声を無くす?!」という設定で作られたコメディタッチのCM。毒舌のセレブシェフのゴードン・ラムゼイ、人気ヒップポップシンガーのカーディB、ぽちゃかわコメディ女優のレベル・ウィルソン、実力派の怪優アンソニー・ホプキンスがアレクサの代わりを務めるとどうなるか?

 

Tide | Super Bowl LII 2018 Commercial | It’s All The Tide Ads

TideーYouTube

 

Tide(タイド)は、P&Gが販売する洗濯用液体石鹸。元ネタが分からないと、このCMは面白くないかもしれませんが、毎年多く見られる典型的なスーパーボウル用CM(車、ビール、車の保険、ダイヤモンド、髭剃り、そしてamazonアレクサまで!)のパロディを繋げて作ったもの。

 

Super Bowl 2018 Commercial | Make It With Keanu Reeves

SquarespaceーYouTube

 

今年のSquarespaceは、キアヌ・リーブスを起用。オートバイの上に立ち乗りし「Make it happen(実現させよう)」と口ずさみ、SquarespaceをPR。このCMはシリーズとなっていて、他には、砂漠で自身のオートバイブランドであるArch Motorcycleのウェブサイトを作るべきか悩んだりするお茶目なキアヌが見られます。

 

DORITOS BLAZE vs. MTN DEW ICE | Super Bowl Commercial with Peter Dinklage and Morgan Freeman

Mountain DewーYouTube

 

トルティーヤチップスのドリトスと清涼飲料水のマウンテンデューによるキャンペーン。ドリトス側からは、小人症の名脇役、ピーター・ディンクレイジ、マウンテンデュー側からは、名優モーガン・フリーマンが登場し、それぞれラップを披露。シリアスからコメディまで演じ分ける素晴らしい両俳優ですが、タイプが違う二人によるコラボが面白い。

 

M&M’S Super Bowl Commercial 2018 (featuring Danny DeVito) – ‘Human’ :30

mmschocolateーYouTube

 

M&M’Sの一粒である俳優ダニー・デビートが、人間の姿になり「ラッキー!」と思ったのも束の間、車に体当たりをされてしまうシチュエーションにバカバカしいと思う反面、「72歳で大御所俳優なのにこの扱いでいいの?」と心配にもなるCM。これのティザー広告もあるのですが、ここまでやるのかと尊敬してしまいます。

 

最後に、日本では放送できないだろうと思われるCM。

 

E*TRADE Commercial — This Is Getting Old

E*TRADEーYouTube

 

ニューヨークに本部を置く証券取引会社、E*TRADE(イートレード)による、退職貯蓄商品をPRするCM。CMに高齢者の方をこのように使うことは、恐らく日本ではタブーのような気がします。最初の方に出演している高齢者は前向きな印象ですが、最後の方の消防士になっているおばあさんがただ痛めつけられているだけに見えてしまい、やり過ぎでは?と心配になります。

 

#GuacWorld :60 | 2018 Big Game Commercial | Avocados From Mexico

Avocados From MexicoーYouTube

 

ある閉鎖された会場で、アボカドのプレゼンテーション?が行われている。人々は「アボカドにはトルティーヤチップスが一番」と思っているので、チップスが会場外にあるのを発見するや否や、人々は会場の外に出ようとして攻撃的に。主催者側がアボカドトーストなどチップス以外の食べ方を紹介すると落ち着きますが、Wi-Fiがないとわかるとまた外に出たいと攻撃的になってしまうという設定。これだけ攻撃的なシーンがあるCMは日本ではダメでしょうね。

 

いかがでしたでしょうか。

 

こうして見ると、今年はインパクト勝負なCMが多いと思います。ネットで拡散してもらいたい、というねらいがあるのでしょうが。

 

しかし、有名俳優やセレブを使っても、心に残るほどのインパクトがあるかどうかと言われると、それほどではないと思います。昨年放映された、建築資材を供給する「84 Lumber」によるメキシコ人母娘がアメリカへ渡る旅を描いたCMは、社会的にも議論を呼びましたし、個人的にも心に残りました。コカ・コーラや、バドワイザー、Squarespaceなども去年の方が良かったと思います。(昨年のスーパーボウルCM特集

 

ちなみに、歴代初のバイラルとなったスーパーボウルCMは、1984年に放映されたAppleのMacintoshだそうです。このCMは、何週間にも渡りニュースチャンネルで取り上げられ、当時、3週間でMacintoshの売り上げは1億5千万ドルになったとのこと。実際に放送されたMacintoshのCMは下記リンク先から見ることができます。これは伝説的なCMと言えそうですね。個人的にAppleのCMとして心に残っているのは、今から20年前くらいに放送されていた、Think DifferentのCMです。ドキュメンタリーフィルムっぽかったのを覚えています。

 

引用元:

These are the most unforgettable Super Bowl commercials of all timeーBusiness Insider

 

来年のスーパーボウルCMはどうなるのでしょうか。今年は個人的にイマイチだったので、来年に期待!といったところです。

 

参考:

All the ads that ran during the Super Bowl, in orderーBusiness Insider

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
Foxylilly.com
facebook.com/foxylilly
instagram.com/foxylilly

続きを読む
TOP