WEB・モバイル2012.03.07

最近気になったCMベスト5

Dig It! NYC Vol.41
Dig It! NYC 藤井さゆり

アメリカでよく見るテレビCMと言えば、車、薬、保険もしくはクレジットカード。これしかやってないんじゃないの?っていう位、よく見るのですが、お菓子や食品のCMって日本ほどそんなに見ません。アメリカのCMは、直接的な表現が多かったり、薬のCMはみんな似ていて副作用の説明がやたら長すぎだったり、ブランドイメージを示すものだと何のCMかわからない!です。それはたぶん、私が日本人なのでテイストや文化の違い(あるいは言葉の理解能力不足)があるからなのでしょう、きっと。

今回は、そんな中でも、最近、私的に面白いなーと思ったアメリカのCM5つをご紹介したいと思います。(テレビCMではないもの、グローバル向けのものも含まれています)

1.クライスラー:スーパーボウル2012用CM

アメリカ最大のスポーツイベントでありNFLの優勝決定戦、スーパーボール。ゲームのハーフタイムに流れるCMは、毎年このためだけに作られるものがほとんどであるにも関わらず、30秒間広告枠は平均で350万ドル(約2億8千万円)。その中でも、アメリカの自動車会社クライスラーのCMは秀逸。クリント・イーストウッドが渋く力強く語りかける「今、アメリカもハーフタイムだ。これから後半戦が始まろうとしている。今こそカムバックの時が来た。人々が一丸になって再び戦う時が来たのだ。」というメッセージが多くのアメリカ国民の共感を得ました。

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2.グーグル:クロームグローバルキャンペーン

このビデオプロジェクトのため、ウェブ上でレディ・ガガが呼びかけをするとともに、ファンからのたくさんのビデオがユーチューブにたちまちアップ。ガガの呼びかけに応えるファンの勢い、つながりがほとばしる映像となっています。ウェブは今最高に勢いのあるメディアだなあと実感させられる、躍動感あふれるCMです。

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こちらはジャスティン・ビーバーバージョン。アメリカのティーンから絶大な人気を誇る若干18歳のスーパーアイドルは、もともとユーチューブ出身。彼のキャリアは、ユーチューブに自分で演奏したビデオを投稿したことから始まりました。これからもユーチューブ出身のアーティストはどんどん増えていきそうですね。

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3.グーグル:グーグルプラス ハングアウト

もう一つグーグル。グーグルのCMって前は全然見たことがなかったですけど、最近はよくやってますよね。このCMには、アメリカで大人も子供も大好きなマペットというキャラクターが出ているのですが、グーグルプラスのビデオチャット、「ハングアウト」の楽しさが伝わるCMです。前回のコラムで、オバマ大統領がハングアウトで有権者とビデオチャットをしているのを書きましたが、個人的にはこれで同窓会みたいなことをやってみたいなーと思わせてくれました。

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4.ナイキプラス:フューエルバンド

ナイキとアップルのコラボ、ナイキプラスは、専用ランニングシューズに入れたセンサーをアイフォン、アイポッドにリンクさせると、走った時間、距離、ペース、消費カロリーを表示してくれるガジェット。このフューエルバンドは、これらスポーツやエクササイズ時だけではなく、日常の運動量も計測(カウント)してくれるというバンド。商品のカッコよさもありますが、このCMに出てくる有名人や映画のワンシーンの使い方がニクい。

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5.チポーレ:Back to the Start

メキシカンのファーストフードチェーン店、チポーレの企業イメージCM。マクドナルが資本だった時もありましたが、マクドナルドから買い戻され、数年前にリブランドされた会社です。チキン、ポーク、ビーフはホルモン増強剤や抗生物質など薬を使わず、ローカル農場で育てられたものを使用しているヘルシー志向のファーストフード店。CMでは薬で太らせた家畜が狭い小屋で管理されていたものから、屋外で自由に育てる環境に変わっていく流れを、実際のパペットを使って表現しています。素晴らしいショートムービーを見ている感覚です。

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いかがでしたでしょうか。最近、日本のCMは見ていませんが、日本人が作るCMもとってもクリエイティブだと思います。個人的に70年代、80年代、90年代初頭までのCMが好きで、ユーチューブでよくチェックしますが、すごく完成度が高くて、その時代をよく反映していますよね。ちなみに私の心に残っているCMは、サントリーローヤルの「ランボオ編」です。子供ながらにあの音楽とナレーションに引き込まれたのを覚えています。今見てもゾクゾクするCMです!

今は経済状況、東日本震災の影響で自粛せざるを得ない状況が一時あったり、ブログ、SNSなど口コミ的なメディアが台頭する中で、昔のように広告に経費がたくさんかけられる時代ではないのかもしれませんが、それでも多大な影響力がありますし、CMは素晴らしいクリエイティブワークだと思います。今は、新聞・テレビといった<マスメディア向け>のものから、より特定の消費者に届きやすい<ウェブ主体>になっていっているのだと思いますが、CMの世界が今後どんな風にシフトしていくのか楽しみです。

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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