WEB・モバイル2012.04.04

HUMANS OF NEW YORK

Dig It! NYC Vol.42
Dig It! NYC 藤井さゆり

ニューヨークと言うと、みなさんはどんなイメージを持つでしょうか。 ブロードウェイミュージカル、タイムズスクエア、自由の女神、5番街、高層ビル…など、きらびやかなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

「世界中どこを探しても、ニューヨークみたいな所は他にない」 ニューヨークでよく聞く言葉です。

きらびやかなイメージもニューヨークの一つの顔ですが、それ以外にも様々な面があります。中でもマンハッタンは、山手線内にすっぽりおさまる大きさしかないにも関わらず、この小さな島に、民族、文化、宗教、富、貧困などあらゆる要素が凝縮されています。

それが「ニューヨークみたいな所は他にない」と言われる理由なのでしょう。これらの要素を作っているのは“HUMAN”すなわち人になるわけですが、このニューヨーカーと呼ばれる人たち、実際にはどんな人たちなのか想像がつきますか?

3000枚ほどのニューヨーカーのポートレートと50のストーリーで綴るHUMANS OF NEW YORK(以下HONY)。ここでリアルニューヨーカーたち、現在のニューヨークを見ることができます。HONYを見たとき、私がニューヨークだと認識していたことはほんの一部分だったのだ、と気付かされました。

写真を見て行くと、なんだかニューヨーカーはクレイジーな人ばかりに見えてきます。地下鉄に馬が乗っていたり、顔全面にタトゥーを施していたり、クリスマスには両足がない笑顔のサンタがいたり、夏はいい年のオッサンが噴水で人形と遊んでいたり、酔っぱらった空手の先生と出会ったりするんですから!でも、これがリアルニューヨーカーなんです。

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まぁ、HONYでは、そんなクレイジーな部分だけではなく、宗教による習慣の違いや異文化、社会的な側面から見た、まじめなニューヨークもフィーチャーされています。

ユダヤ人の伝統的なお祭り「プーリーム祭」(一般のニューヨーカーにも知られていないお祭り)で仮装する子供たち、チャイナタウンでの黒人の若者によるストリートファイト、サイオン・フレアと名乗るドラッグクイーン、毎年11月第一日曜日に行われる「ニューヨークシティマラソン」で最後列を走り続ける義足ランナーや息の上がった高齢ランナーなど。

いずれもニュースや新聞などではあまり取り上げられないような、B面ニューヨーカーたちですが、改めて自分は、多種多様な人、異文化、社会についてすぐ近くで学べる環境にいるんだんなー、と実感しました。

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そもそもHUMANS OF NEW YORKは、一人のアメリカ人男性、ブランドン・スタントンさんによるプロジェクト。ブランドンさんは街を歩いて、めぼしい人に「写真を取ってもいいですか?」と声をかけて撮影します。写真を撮らせてもらった人に「ビューティフル!HUMANS OF NEW YORK.com、写真は今日の夜か明日近々に掲載されるよ。サンキュー。」この間わずか数分です。

マンハッタンにはオシャレな若者の街「ソーホー」、アフリカ系アメリカ人が多く住む「ハーレム」、ギャラリーも多くゲイエリアとしても有名な「チェルシー」など、数多くのエリアが存在します。

このブランドンさんのプロジェクトは自分の写真をアートとして発表することが目的ではなく(そういう一環もあるのかもしれませんが)、各エリアに「どんな人がいるのか」が一目でわかるニューヨークエリアマップ ービジュアルで見るニューヨーカーの分布図ー のようなものを作ることが目的なのだそうです。

※THE MAP参照 これなかなか面白いアイディアだと思いませんか?

同じニューヨークで、各エリアごとにこれだけ違うスタイル、キャラクターを持つ人々がいることに驚きます。エリア別に写真を見ていると、その街のニオイや音が自然と感じられるのが不思議です。

また、HONYはフェイスブックでグループを持っており、その効果もあって、どんどん拡大していっているようです。2012年4月現在で40,000人以上が「いいね!」と言っており、フェイスブックユーザーによるグループ内での投稿は25,000件以上にのぼります。

私もHONYの存在を知ったのはフェイスブックなのですが、今後もフェイスブックを通じてどんどん広まっていくでしょう。こういう草の根的な活動をするには、フェイスブックを初めとしたSNSの存在は欠かせないですね。継続するためのモチベーションにもつながります。

「世界中どこを探しても、ニューヨークみたいな所は他にない」 私もこの意見に賛成です。ところで、人が街を作っているのか、街が人を作っているのか、どっちなのでしょう?にわとりが先か、卵が先か、みたいになってしまいましたが、私の結論としては、ニューヨークの場合、その両方、人が街を作るし、街も人を作る、ということにしたいと思います。

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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