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「一億襲名化計画」

とりとめないわ 第41話
とりとめないわ 門田 陽

平成最後のお正月気分が取れた頃、コンビニが今年は東北東だと叫び始めました。ノルマや廃棄など色々問題も指摘されていますが、また恵方巻の季節です。

日曜日の昼下がり。晴天に誘われて築地辺りを散歩していたのですが、ふと東北東が気になってスマホのコンパス機能を初めて使いました。東北東はどっちかな、とキョロキョロしていたら目の端に気になる看板(懸垂幕)が飛び込んできて二度見しました(※写真①)。内容は「銀座キャピタルホテル新館」がその名前を「銀座キャピタルホテル茜(あかね)」に変更したというもの。日々の暮らしには特に関係なさそうな看板ですが、僕は以前(10年以上前)福岡に住んでいたとき、出張でよく利用した愛着のあるホテルなので懐かしさもあり近付いて確認しました。

写真①

外観は変わり映えしません。以前のままです。玄関(入口)も名前のプレートだけは新しいですが他は同じように思えます。なぜ名前を変えたのだろう?その答えはすぐ隣のローソンをはさんだ出来たばかりのホテルの名前を見てわかりました。「銀座キャピタルホテル萌木(もえぎ)」とあります。もちろん系列グループです。大きな道路の対面側には銀座キャピタルホテル本館もあります。これまでは本館と新館の二つだったのがこの1月29日にもうひとつ新しい館がオープンしたのです。きっとネーミングに悩んだことでしょう。

「いや~、こんなことなら始めから1、2、3と数字にしておけばよかったな」
「ですね~社長。本館、新館ですから今度のは新新館ですかね?」
「なんだその行き当たりばったりは。第一ゴロが悪いし言いにくいだろ」
「では、今度のが新館で今までの新館は元新館でどうでしょうか?」
「それもややこしいな。それに何だか新加勢大周みたいだしイヤだな」
「それでは本館、新館、新館ネクストでよろしいかと・・・」
「う~む、横文字はしっくりこないなぁ、もっといいのはないか?」
「えッ!?そもそもキャピタルは横文字ですし・・・」
「黙れ黙れ、じゃこうしよう。新しいほうが萌木、今までのほうが茜。これで決まりだ!!」
「え~~~!?、何ですかその萌木と茜というのは??」
「かわいい孫の名前だ!!!」
こんなやり取りで決まっていたら楽しいのですが、そんなはずはないか(笑)

妄想ついでにもう一つ。僕はときどき寝る前に自分の名前を考えます。もし僕が相撲取りだったら四股名は何がいいか。もちろん空想の話ですが本気で考えてみます。全戦全敗で弱いけど憎めない「菜の花」とか、いやいやそれだと大喜利っぽいからまずは「門田山」。あれ?案外シンメトリーでいい名前だなとか幸せな気分になるとすぐ寝つけます。他にも、もし落語家だったら喬太郎の一番弟子で「柳家一太郎」、いや「一」は一朝一門だから「柳家小喬太郎」。立川流なら「立川冗談」、「立川ダンプカー」、「立川談末魔」・・・、ピン芸人だったら「アンパン三世」、漫才師だと相方にもよるけど「ハシビロコウズ」か「ドードー鳥」がいいなぁ、と夜は朝になっていきます。役者だったら、作家だったら、戦国武将だったら、江戸の浪人だったら、ミュージシャンだったら、イタリア人だったら、さらに屋号も考えます。ラーメン屋さん、焼き鳥屋さん、もつ鍋の店、中華、フレンチ、イタリアン、クレープ、タコ焼き、屋台、カレー屋さんはやっぱり「田島ハルの店」かなと続く夜。あ!東中野の駅前にある油そば屋の「油山」は僕が名付けました。わりとおいしいのでぜひ行ってみてください。いかんいかん、また逸れた。

さて、先日テレビで十三代目市川團十郎の襲名披露会見が行われているのを見ました。
いいですよね、襲名って。僕たち一般人も襲名制度があると面白いことになる気がします。
それぞれの姓に大きな名前があったりして。
佐藤家の止め名は「栄作」かな。鈴木家は「イチロー」で子ども時代は「福」かな。僕は生まれたときに親から「陽」という名をもらいました。その後、友だちから「かどちん」やら「ドカタ」やら「カドピー」「カボチャ」などのあだ名をもらいました。人から名前をもらうのはほぼうれしいです。今から35年前に萬流コピー塾で糸井重里さんから「重陽」という萬名(※写真②)をいただいたときも、今から25年前に師匠の仲畑貴志さんから句会で使う「上空」という俳号をいただいたときもうれしくてたまりませんでした。コピーライターも襲名があったらと考えると、仲畑一門は誰が「貴志」を継ぐのか。これは考えだすとちょっと恐ろしくて眠れません。

写真②

ところで、他店が大々的に恵方巻の中、まるで気にせず独自路線でビッグドッグ(※写真③)に賭けるミニストップが好きだという話はまたの機会に。

写真③

Profile of 門田 陽(かどた あきら)

門田陽

電通第5CRプランニング局
クリエーティヴ・ディレクター/コピーライター
1963年福岡市生まれ。
福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。
TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。
趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。

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