WEB・モバイル2012.08.01

グッドデザインなTシャツサイト

Dig It! NYC Vol.46
Dig It! NYC 藤井さゆり

夏と言えばTシャツ。私はTシャツ大好きっコです。 今回は私のお気に入りの、おそらくデザイナーの方々にも興味を持ってもらえる、とってもイカすTシャツ満載のウェブサイト「Threadless Tees」をご紹介します!

Threadless Tees

Threadless Tees」は、Tシャツのオンライン販売だけではなく、Tシャツを着る人、作る人による、Tシャツを120%楽しむためのウェブサイトで、そのためのあらゆるメニューや機能が充実したウェブサイトなのです。その理由を5つのポイントに絞ってご説明します。

1) イカすデザイン、お手頃な価格

Threadless Tees

Threadless Tees」のデザインは、クール、ファニー、キュート、などさまざま。ナイスデザインが多く、種類もたくさんあるので、目移りします。だいたい1枚20ドル前後とお手軽価格で買え、セールのものだと半値までになり、10ドル以下で買えるものあります。

 

2) Tシャツとして採用するデザインはユーザーのスコアが基準に

Threadless Tees

他の人が作ったデザイン案に5段階評価でスコアを付けられたり、コメントを残せる

Threadless Tees」は、基本的にユーザーからのデザイン案を基にTシャツ制作、販売しています。もしあなたが「Threadless Tees」でTシャツを作って売ってもらいたいと思ったら、会員登録(無料)の後、デザイン案をサイト上で発表すると(デザイン案がサイト上で発表できるか否かの事前チェックがあります)、そのデザイン案を見た他のユーザーさんたちが5段階評価でスコアを付けます。スタッフはそのスコアによって「Threadless Tees」のTシャツとして制作、販売するかを決めます。ユーザーはTシャツデザイナーさんも多いので、その人たちからの評価や感想コメントが直に反映されますから、作る側の腕の見せ所。もちろん同様に、他のデザイン案を評価したり、コメントを残せたりもできます。

 

3) Tシャツだけでこんなにソーシャル

Threadless Tees

通常のSNSと同様、会員登録をすると自分のページを持つことができ、そこでブログを書いたり、お気に入りの「Threadless Tees」を着て写真を掲載したり、2)のように他の人のデザイン案のスコア決めやコメントを残したりと、Tシャツ好き同士で交流できます。

その他、オンライン上の交流だけではなく「Meet Up」という「Threadless Tees」が好きな人たちが集まるコミュニティが世界で459カ所もあります。

 

4) 企業やNPOとコラボしたTシャツコンテスト

コラボTシャツのコンテストだと賞金も出るので、ますます作り手のモチベーションが上がります。アメリカで人気のマペットキャラクターとのコラボや、東日本大震災支援のためのデザインコンテストも過去にあり、最近ではディズニーの「イッツ・ア・スモールワールド」の世界観を表現したコンテストや、The Children’s Brain Tumor Foundation(小児脳腫瘍基金)による、障害を克服するためのコンテストが行われました。The Children’s Brain Tumor Foundationのコンテストでは、Tシャツの売り上げの25%が基金に寄付されるとのことです。

Tシャツコンテスト

5) 素晴らしいマーケティング

2)~4)の機能は、全てTシャツを売るためだけのマーケティング、と言えます。2)で触れた、自分のお気に入りのTシャツを着て写真を掲載するとTee-riffic Photosという写真ギャラリーに順次アップデートされるのですが、もしデザイナーさんだったら自分のTシャツを誰かが着てくれたら嬉しいし、それによってまた誰かがほしいと思うかもしれません。また、写真を掲載すると1.5ドル分、その中でスタッフが気に入ったら15ドル分、商品購入時にディスカウントがもらえる、というおまけ付き。それなら写真掲載しないとソンでしょう!しかも、デザイナーさんやTシャツを購入するお客さん自らブログやツイッター、フェイスブックなどでどんどん宣伝してくれますから、スタッフは、しゃかりきになって商品のPRをする必要があまりないはずです(たぶん)。

お気に入りのTシャツを着た写真ギャラリー Tee-riffic Photos

お気に入りのTシャツを着た写真ギャラリー Tee-riffic Photos

この「Threadless Tees」、シカゴにあるskinnyCorpという会社が運営しているのですが、Tシャツ制作販売の会社かと思いきや、「テクノロジーカンパニー」なんですって。「クラウドソーシングのパイオニア」であり、eコマースビジネスモデルで高く成功している、と会社説明で紹介されていました。なるほど。Tシャツ販売会社だったら、ここまで徹底したウェブマーケティングは実現できなかったかもしれませんね。

skinnyCorpは、2000年に創業、以降めざましい成長を遂げており、アメリカで創刊されている起業家のための雑誌・ウェブサイト「Inc.」では、「アメリカで最も革新的な中小企業」と紹介されたそうです。

この「Threadless Tees」のマーケティングも素晴らしいですが、さらに顧客やデザイナーさん自ら商品をブログやSNS でPRしてくれることによりどんどん拡大しているんでしょうね。

ウェブがどんどん進化することによって、今後、もっともっと 面白いビジネスが出てくるんじゃないかと個人的にワクワクしています。

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
Foxylilly.com
facebook.com/foxylilly
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