WEB・モバイル2012.05.11

世界で最もクリエイティブな国、日本。アメリカは?

Dig It! NYC Vol.43
Dig It! NYC 藤井さゆり

すでにネットのニュースなどで目にした方も多いと思いますが、日本、そして東京は、世界で最もクリエイティブと思われているそうですよ!!

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上記は2012年3月30日~4月9日に行われたアドビのレポート“state of create study” によるもの。調査対象国はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、そして日本。

これは日本人としてとっても嬉しいことですよね! さらに、各国別に見るとちょっと面白い(?)結果が出ています。フランス、イギリス、ドイツは日本が最もクリエイティブだと答えており、日本とアメリカはアメリカが最もクリエイティブだと答えています。日本人の謙虚さも気になりますが、ほぼ半数が「アメリカが最もクリエイティブであーる!」と言ってしまうアメリカ人の自信満々さも興味深いところ。

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また、都市別に見ると、日本以外の国、満場一致で「東京が一番クリエイティブであーる!」という結果となりました。日本だけ東京よりもニューヨークのほうがクリエイティブだと思っているようです。やっぱり日本人は謙虚、というか、自信がない?

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「自分がクリエイターであると認識しているかどうか」では、 70%以上のアメリカ人は「自分はクリエイターであーる!」と認識していますが、反対に、日本人の50%以上は「自分はクリエイティブではない、あるいはわからない」という結果に。

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また「自分が作ったものをシェアする時、自尊心を感じる」と答えたのはアメリカ88%、日本53%と大きく差が出ていました。日本人は共同作業、シェアが苦手なんですかね。

もう1つ、面白い結果が。「クリエイトするために、あなたの能力を妨げる障害は何ですか?」で出た自由回答なんですが、

アメリカから出た回答: 「いくつものアイディアがすでに使われている。自分が新しく、オリジナルだと考えたアイディアは過去に出たものということがありうる。インターネットは自分たちのクリエイティビティを迷わせていることが多いと思う。」

日本から出た回答: 「収入が不況により減ってしまった、そして今、精神的な余裕もなくなってきているので、素晴らしい能力を育てることが難しすぎる。」

アメリカの回答は、常に新しいアイディアを求めているクリエイターさんにとって「なるほど~、あるある!」とうなずけるだろうし、「ネットによる情報過度が却ってクリエイトするために障害になりうる」というのは鋭い意見です。しかし、日本の回答はシビアですねぇ。いや、その状況、とってもわかりますけどね。でも、これはクリエイティブに限った答えではないような…。日本とアメリカ、とても違う観点で書かれてあって、これまた興味深いです。

あと「日本人だな~」と思わざるを得なかった回答がこちら。

「クリエイトするために最も大きな障害は何か?」 ・時間がないこと:アメリカ52%、イギリス46%、ドイツ52%、フランス52%、日本:34% ・お金:アメリカ54%、イギリス42%、ドイツ33%、フランス46%、日本38% ・個人的な拘束(プライベート):アメリカ29%、イギリス24%、ドイツ32%、フランス25%、日本:13% ・年齢:アメリカ13%、イギリス18%、ドイツ16%、フランス12%、日本30%

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アメリカは半数以上が、時間とお金が最も大きな障害と答えています。日本は他国と比べ、プライベート優先という働き方ではないのか個人的拘束はそんなに障害とならず、年齢を障害と考えている人が多いという結果。 年齢を気にしすぎるところはあるとしても、他国も認めるクリエイティブな国であり、日本人のアイデンティティである、謙虚さが現れた結果だと思うのですが、みなさんはどう思われますか? 反対に「どーして、アメリカ人はそんなに自信満々なの?」と聞いてみたくなります。

そこで、アメリカ人クリエイター(ライターさん)にこのレポート結果について質問してみました。

私:アメリカ人がアメリカが最もクリエイティブだと考える理由は何だと思いますか? アメリカ人クリエイター(以下ア):アメリカが世界的に最もクリエイティブかどうかはわかりませんが…。アメリカにいる人々はクリエイティブだと思います。このレポート結果で出ているのは、アメリカ人というより、アメリカにいるクリエイター、ということだと思います。 アメリカの歴史的な背景と関係があると思いますよ。アメリカにはたくさんの移民がいるので、他国から移民として生活することはすでにその次点でリスクがあること。もうすでに移民としてのリスクがあるから、ハイリスクな仕事であっても積極的に取りにいくのではないかでしょうか。そうすることにより、自分に自信も持つし、よりクリエイティブになり、クリエイターとしての自負につながるんだと思います。

私:なるほど。それでは、ニューヨークはやはりクリエイティブだと思いますか? ア:確かにそう思います。ニューヨークのクリエイターは、特に自分を強く持っている人が多いです。強過ぎる傾向もありますが(笑) 調べたことはありませんが、ニューヨークにはかなり多くのデザイン会社や組織、団体があることは確かだと思います。そのデータを各都市で出してみれば、ニューヨークがどれだけクリエイティブかどうかを図る尺度にはなるのではないでしょうか。

私:それはより明確な結果が出そうですね。ところで、アメリカでは何かをクリエイトするのに年齢が妨げになることはありますか。 ア:それはないと思います。経験を積んで年齢が高くなるにつれてもっと大きい仕事、チャレンジをするようになるので、アートディレクターやクリエイティブディレクターなどの役職に就きます。 また、クリエイティブを理解すること、クリエイティブを作ることは別の能力だと思います。若いときはクリエイティブを作ることが中心ですが、それが実際の現場で機能するかどうかわからなかったりします。しかし、経験を積むとそれがわかるようになる=クリエイティブを理解する、ということになっていくと思います。個人的には年を取るにつれて保守的にはなりましたけどね。

こうは言っていますが、このクリエイターさんにとって、年齢はもちろん、保守的になることはネガティブな要素になるとは思っていないようです。アメリカでは仕事の募集広告でも年齢制限が出ているのを見たことありませんし、履歴書にも年齢を書くことがありません。

つい最近のニュースで、京都にお住まいの木村次郎右衛門さん(115歳)が、男性長寿世界一になられたとのことでしたし、日本は世界トップクラスの長寿国であるにも関わらず、年齢を気にし過ぎるのは少し残念な気がしませんかねぇ?

そこで次回は、日本人としてツイッターのフォロワー数がナンバー1であり、ニューヨーク在住、現在79歳!のあの方について書きたいと思います。この方、この年にしてすごいクリエイティブ!ということでまた来月。

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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