七転八倒!七転八起!編集担当からの「お題解釈」

Vol.27
株式会社フェローズ マーケティング セクション 兼 アニメセクション アドバイザー シニアプロデューサー
Yuoh Sekita
関田 有應

突然失礼いたします!「おやじプロデューサー」コラムの編集担当の和田と申します。
社会人2年目、関田さんとは親子のような年齢差で休日は推しのYouTubeに悶えている私が、
コラムを読みながらずっと思っていたことがあるんです。
「好奇心旺盛な関田さんが、もし最近若者の間で流行しているコトと出会ったら???」
という訳で、今回から時折、私からお題を出すことにしました♪

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クリエイターズステーションの担当編集者・和田さんから、いきなりこんなことを言われました。
「関田さん!はにゃ?」
はいぃ!!!なんですか!?
「今月のコラムのお題!テーマです!これで執筆をお願いします」
社会人2年生、我が息子・娘と同世代の編集担当者の和田さん!
それは!それは!あまりにも唐突なテーマの投げ方。
「あのぉ、確認なんですけど『はにゃ?』だけでコラムを書くのですよね!」
「はい。そうです。」

思わず「へけっ」と言ってしまった私!

そこまで言うなら、、、。
好奇心旺盛な私のやる気スイッチを良くぞ入れて下さいました。
とはいえ、「はにゃ?」聞いたことがない。
1983年(昭和58年)から1989年(平成元年)位まで、NHK教育テレビで放送されていた
「お~いはに丸」のはにわ王子の口ぐせが「はにゃ」だったなあ。
1970年(昭和45年)NHK教育(現・Eテレ)で放送されていた人形劇の登場キャラクターの口ぐせが「ほにゃー」でした。
タイトルが思い出せないのですが。
でも「はにゃ?」じゃない!「ほにゃー」です。

しかし、この時代の番組を、編集担当・和田さんが知っている訳がない!
だってまだご生誕される前ですから(汗“)

たとえばプロデューサーの視点で言うと、番組のテーマが「はにゃ?」だった場合、リサーチャーに「はにゃ?」調べて、とお願いします。
リサーチャーが最初に行うのがネット検索からの情報収集です。
今はそれが定番!です。
SNS、ネット検索は、情報を集めるためには非常に有効な手段です。
タイムロスも少なく、かなりの精度でのリサーチが可能です。

少し話がそれますが、番組制作のロケハン(ロケーションハンティング)シナハン(シナリオハンティング)ですが、SNSが普及する以前は、書籍などから情報を集めるか、ロケーションコーディネーターにお願いをしていました。その上で、現地に出向いてという段取りでしたが、今は、PC上で情報を集めることから始めます。
場所も、ストリートビューで見ることができますので、企画資料は現地に行く前に、以前より精度を上げた資料提供ができるようになりました。
無論、ロケハンは行くのですが事前準備の精度が上がっていますので、時間や費用面などでも効率化的な行動を行うことができるようになりました。
映像業界、制作ジャンルでもデジタルの恩恵を受けています。

加えて、地域産業活性化・地方創生などの国の施策を受け、市町村が無償の、ロケーションサービスを行い、
役所の職員の方がコーディネーターをお引き受け下さっています。
ほとんどが観光課の職員の皆様で、地元の方ですからよくご存じです。
駐車場、ロケ弁の手配先、キャスト・スタッフの休憩所、宿泊施設のご紹介など、制作担当(AD)が行う業務のほとんどのサポートを行って下さいます。
これはアナログ的だと思われがちですが、サイト上に全国のロケーションサービスのデータベースサイトがあり、
それを利用していますので、デジタルとアナログの良いところを上手く利用していると言えるのではないでしょうか。

話は戻って。
私はネットを利用することに抵抗はありません。
しかし、今回は、いきなり「はにゃ!」を検索する気がない。
今回に限っては、「お題 解釈」です。
なんだかんだ言って昭和生まれの私の思考回路はアナログです。
まずは辞書・辞典で調べてみました。
しかし、一切の記載がない!
書籍が2000年度版のせいでしょうか。
であれば最新情報をつかまなくてはならない。
すぐに書店に、と思いましたが、時刻は深夜2時を回っています。
地元の書店は営業していない。
コンビニの書籍コーナーで立ち読みも考えましたが、こんなおやじが深夜のコンビニで立ち読みしている姿を想像すると、
怪しさ胡散臭さ満載!
徘徊(はいかい)か!と思われるのも嫌だし。

そんな葛藤の末、自問自答、自分に言い言い聞かすように自分に問いかける自分。
「使えるデジタル手法は使う。SNS、検索エンジンで調べることは恥ずかしいことではない。
なんでそんなにアナログにこだわるの?」
結局なんだかんだ言って、ネット検索を選びました。

最初は「はにゃ!」だけ入れてGoogleでググってみました。
私はGoogleで検索することを「グーグル先生にお願いする」と呼ばせて頂いています。
グーグル先生!ググったヒット数!なんと約42,900,000件!
圧巻です!
グーグル先生、流石です。
トップに上がっていたのが、ラジオ関西トピックス・ラジトビのサイトで、10代の
若者に流行っているらしい「若者言葉」で紹介されていました。
芸人さんネタで「とぼける時に使う言葉」だと。
また困った時にも使うと書かれていました。(※1)

さらにニュースサイトでは
JC・JK流行語大賞2021上半期のコトバ部門、女子大生・女子高生トレンドランキング
2021年上半期言葉部門で1位にランクイン

したと紹介されていました。
そもそもが「あれ?」の進化系のような言葉で、主に疑問を感じた時に使用するそうだという解説で、やはり芸人の方がSNSで広げたとのこと。(※2)

なるほど。
いかに今のZ世代?がSNSを利用し、また影響を受けているのか。
メディアの多角化が、言葉の文化に一役かっていること。
また今の若者が、どのようにして情報を集め拡散しているのか。
メディアの出口の多角化により、多くの情報が発信され、それが流行語になる。
毎年、多くの流行語が生まれ、そして時代の流れに合わせて消えていく。
それが文化なのでしょう。

日本語は、季節、情緒、感情表現を行う上で、他の言語より多くの表現があります。
「雨」を表現する日本語の名詞だけでも「小ぬか雨」「小雨」「霧雨」「五月雨」「長雨」
「雷雨」「氷雨」「長雨」「豪雨」「時雨」「梅雨」「春雨」「緑雨」「秋雨」「秋霖」など。
季節や、その時の状況を叙情的な単語表現で伝えることができます。
動詞でも「ザーザー」「ぱらぱら」「ぽつぽつ」「ぽつり」など。
日本語という言葉の文化は、日本文化の伝統、歴史が創り上げた美しい表現です。
流行語は、そのような日本文化から生まれてくるのではないかと思うくらいです。

言葉は文化であり、またひとつの伝達・表現方法です。
想いを伝える。
でも、言葉だけでは伝わらないこともあります。
だからこそ、絵・音楽・デザイン・映像など、クリエイティブ領域でのたくさんの表現が存在します。
言葉だけでは表現できないこと。
言葉だけでしか表現できないこと。
だからクリエイティブの楽しさがあります。

では、自分が高校生だった頃の流行語は何だったのだろうと思い出してみました!
「ナウい」=英語のNOWが語源らしく、ベトナム戦争時の「freedom now」のスローガンから「フリーダム」が消され、
「ナウ」だけが使われるようになった。
印象深い、今でも覚えている当時の流行語です。

その時代の出来事やトピックスが、その時代を象徴する言葉になり、流行語として共有される。
流行語は、その時代を象徴する言葉であったり、新しい言葉の表現であったり。
それが日本の文化であり、若者世代のカルチャーですね。

今回のお題解釈「はにゃ?」
それに対して「へけっ」と言った私。

「ハム太郎」を見ていた子供たちは「へけっ」って言って遊んでいました。
大好きなハム太郎君の口ぐせをマネして楽しんでくれた子供たちです。
若者言葉・流行語というより、子供中心に広がった流行り言葉ですね。

実はこれ、「はにゃ?」と同意語なんです。
言葉の時代が大きく違っていたけれど、和田さんに「はにゃ?」と言われた時、私は「へけっ」と正しく答えていたことになります。
何という奇跡!

時代が変われば文化が変わり、言葉が変わる。
和田さんが私くらいの年になった時、流行している言葉は、何の言葉か?楽しみですね。

ここまで読んで頂き有難うございました。
それではまた次回。

※「へけっ」びっくりしたり、「なに?」と おもった とき
 ―小学館①テレビ超ひゃっか「とっとこハム太郎」より引用

出典:
※1 ラジオ関西トピックス・ラジトビサイト
※2 Yahooニュース

 

プロフィール
株式会社フェローズ マーケティング セクション 兼 アニメセクション アドバイザー シニアプロデューサー
関田 有應
大学を卒業後、テレビ局直系制作会社に入社。
アシスタントプロデューサーを経て、プロデューサーに昇格。企画、番組制作、イベント映像、PV、VP制作を行い、その後CM制作を中心に実写業界でのキャリアを積み、その後大手出版社グループでデジタルコンテンツ系の映像・音楽制作会社の設立を機に転職。
設立メンバーとして映像制作・音楽制作を中心に、子供向け作品、テレビシリーズ・OVA・劇場版・音楽制作・マーチャンダイジングと、キャラクタービジネスの世界で製作プロデューサーを行う。代表作は、平成の名物キャラと言われる主人公がハムスターのアニメ作品。
その後、株式会社フェローズにてアニメセクションの立ち上げをお任せ頂き、現在はマーケティングセクションにて全国の映像系学校でのセミナー講師を始め、人材育成、映像業界へのご就業を希望される未来のクリエイターの皆さまに向けたキャリアアドバイザーを行っている。
息子も大手広告代理店直系の制作プロダククションのPM「親子鷹」である。
無類の音楽好きで、40年ぶりに大学時代のバンド復活!活動中!

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