「貼るだけ日記のすすめ」

第68話
電通第5CRプランニング局 クリエーティブ・ディレクター/コピーライター
Akira Kadota
門田 陽

三度目の緊急事態宣言。日本には三度目の正直という諺もあるし、イソップのオオカミ少年も三回目までは信じてもらえたし、最近の世の中はバツ2くらいまではセーフの範囲と思えば頑張れるのかもしれません。

 

確か去年の今頃も「我慢のゴールデンウィーク」いう言葉が盛んに叫ばれていました。

最初の緊急事態宣言の真っ最中。世の中全体に自粛ムードで多くの店舗や施設は休業して学校も大半は休校。飲食業も時短できびしかったけど、ただ開いている時間帯はお酒は飲めましたよね。因みに去年の今日4月25日は土曜日で僕は夕方くらいに近所のパブでステーキ(1,848円)と白ワインを注文(ワインにはこだわらない性格でして笑)、料理が物足りなかったのか帰り道にセブンイレブンで焼き鳥炭火焼きと豚バラ焼きとレモンサワーを2缶購入しています。

 

コロナの前はどうだったのか。2年前の今日2019年4月25日は木曜日で仕事で遅くなり21時過ぎにセブンイレブンで冷やしとろろ蕎麦と牛肉豆腐と野菜スティックと男梅サワー1缶を買って帰宅。3年前の今日2018年4月25日は水曜日で仕事で遅くなり22時過ぎにセブンイレブンで冷やしとろろ蕎麦(あれ?2年連続同じ日に食べている!)とレバニラ炒めとトリスハイボール1缶を買って帰宅しています。もっと遡ると10年前の今日4月25日は月曜日で福岡に出張。仕事のあとにスタッフと飲んでそれから一人でバーに行って強めの酒を飲んでいます。20年前の今日4月25日は水曜日で当時僕は地元福岡の会社に勤めていてこの日は東京出張でした。福岡空港でお土産の菓子折りを3点購入。夜は品川の居酒屋で深い時間まで飲んでそのあとローソンでからあげクンレッドとポカリスエットを買ってホテルに帰っています。

 

さて、なぜ僕は毎年4月25日のことを覚えているのでしょうか。特に今まで誰からも聞かれたことはないですが、もしいつの日か「あなたの座右の銘は何ですか?」と問われたなら「のんべんだらり」と答えてしまう僕ですから当然日記をつけるなんて几帳面なことをするはずがありません。もちろん記憶力に自信がないことは断言できます。種明かしはいたって簡単。僕は毎日もらうレシートやクレジットカードの控えや劇場の切符の半券などを必ずノートに貼るようにしているからです。1日1ページ。お金を全く使わなかった日は白紙のまま空けて次のページに移りますが、白紙の日は一年でせいぜい2~3ページしかありません。レシートを1、2週間ためることはしょっちゅうです。セロテープでペタペタ貼るだけなのでラクチンな作業。ノートはA5サイズの分厚い(ツバメノートの100頁)もので、全部貼るとパンパンに膨らみます。

 

今、押入れから出してみたのですが、段ボールに4箱分ありました(※写真①)。開けて確認すると25年以上続けていることがわかりました。1ミリも頭を使わない極めて単純作業ですがこれが意外と役立ちます。レシートを見ると、たとえばレストランや居酒屋の場合は人数も記されているので、誰とどこに行ったのか等その日のことが甦ることが多いのです。1995年1月14日のページには東京福岡間の飛行機の搭乗半券が貼ってあります(※写真②)。今はなきJASのチケットです。座ったのは5Gの席。禁煙席です!そうでした、当時の飛行機はまだ喫煙席があって禁煙席と喫煙席の間には全く何も境はありませんでした。いや~、その話だけでももう1本コラムが書けそうです。翌15日には福岡天神のカメラのキタムラで写ルンです24枚撮りを買っていますね。1,150円に消費税が3%で計1,184円支払っています。


写真①

写真②

そういえばその昔(2004年)、山口銀行の企業広告のコピーで、僕はこんなのを書きました。

あの頃の通帳は、あの頃の日記みたいに思えます(※写真③)。


写真③

 

ところで日本の諺には仏の顔も三度までというのもあるので四度目がないことを祈りつつ本日もうがい手洗いする話はまたの機会に。

プロフィール
電通第5CRプランニング局 クリエーティブ・ディレクター/コピーライター
門田 陽
電通第5CRプランニング局 クリエーティブ・ディレクター/コピーライター 1963年福岡市生まれ。 福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。 TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。 趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。

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