古典から紡ぎ出される異国情緒

東京
ライター
来た、見た、行った!
かつらひさこ

秋もますます深まる中、じっくり読書を楽しみたい方におすすめしたいのが、誰しも知る紫式部の「源氏物語」。

とはいえ原文ではなく、1925年にイギリスの東洋学者・アーサー・ウェイリーが翻訳した「ザ・テイル・オブ・ゲンジ」を、俳人の毬矢まりえさん、詩人の森山恵さん姉妹により日本語に再翻訳された「源氏物語 A・ウェイリー版(左右社)」の方なのです。

 

簡単にいうと、「源氏物語」を英語版に訳した書籍を、その美しい世界観を残した形で日本語に再翻訳しているのです。

ややこしくなってきた方もいるかと思いますので、始まりの一文をご紹介。

 

「いつの時代のことでしたか、あるエンペラーの宮廷での物語でございます。」

 

学校で習った「いづれの御時にか~」という源氏物語の始まりがこのように訳されただけで、よく知っているはずの物語が別の話に見えてきませんか?

 

桐壺帝は「エンペラー・キリツボ」ですし、桐壺の更衣は「キリツボのレディ」。光源氏は「シャイニング・プリンス」と称され、葬式のシーンでは源氏が喪服でロザリオを唱えていたりします。

 

骨格は確かに源氏物語なのですが、なんとも異国情緒溢れる不思議な物語になっており、筆者はその魅力にすっかりはまってしまいました。

 

秋の夜長には温かい物やワインなどをお供に、魅力的な本とじっくり向かい合いながら過ごしたいもの。週末の夜更かしに、こちらの本はいかがでしょうか。

プロフィール
ライター
かつらひさこ
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、6年前からライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズと人間観察。

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP