WEB・モバイル2019.11.10

拡散セヨ

東京
WEBクリエイター
日本文化×デザインあれこれ
いのうえ

コレは不幸のメッセージデス

拡散セヨ・・・・拡散セヨ・・・

以下ノ文章ヲ48時間以内ニ5人ニ拡散セヨ

サモナクバ・・・

アナタハ・・・

はい。物騒な書き出しでごめんなさい。今回は拡散をテーマにしたいと思います。

SNSやホームページ、ブログなどで手軽に情報を発信する事ができるようになりました。
ちょっとした投稿を瞬く間に世界中に拡散させる、なんてことも可能な時代です。

ではネット文化が栄える前はどうだったのでしょうか。日本とアメリカで面白い「拡散」が起こりました。
1970年、大阪万博が開催された年、日本では「不幸の手紙」大流行したんです。

「これは不幸の手紙といって沖縄から順々に私の所に来たものです。死に神です。これがカナダの大使が考えたものです。
貴方の所に止めると不幸がおとずれます」
同じ文面を書き写して50時間以内に29人に送るようにと指示されています。

こんなもの誰が信じるのか。

しかし実際不幸の手紙は日本中で大流行し、社会問題にまで発展しました。
得体のしれない気持ち悪さ故なのか、ゲーム感覚なのか・・・。

この不幸の手紙のルーツは何か。実は1922年にアメリカから渡ってきたチェーンレターとされています。
その後断続的に外国から日本に流入してたびたび日本に拡散されました。

ただ、日本とアメリカで決定的に違ったのは「幸」と「不幸」。
アメリカでは「幸福の手紙」として広められていたのです。

「これは幸福の手紙です。〇日以内に〇人に送ってください。
そうすれば貴方のもとに幸運が訪れます。ただし、チェーン(連鎖)を断ち切ると悪運が訪れます。」
といった具合に。

日本でも大正時代に流行った時は「幸福の為に」だったのですが、
昭和の時代には不幸として形を変えました。

「拡散すれば幸運を手にすることができるが、連鎖を断ち切れば不幸が訪れる」から「誰かに拡散しないと不幸が訪れる」
と、幸運の要素が抜け落ちています。

幸福よりも不幸に重きを置いているのが分かりますね。
この不幸が連鎖するという考え方、日本人への馴染みやさを感じます。

例えば、大ヒットしたホラー映画「リング」。
ビデオを見たものは、一週間後に命を落とす。助かりたければテープを複製し、誰かに見せなくてはいけない。といった内容の作品。ジャパニーズホラーの代名詞的な作品で、貞子といえば分かる人も多いでしょう。
呪いを信じない文化圏の人が観たら「???」かもしれませんね。

実際、不幸の手紙を拡散した人は不幸=生命に関わると捉えた人も多かったようです。

そしてネット時代になった現在。

拡散力を増した現在、「不幸の連鎖」だけではなく「歪んだ正義」、「通常ではあり得ないうまい話」など
様々なネタがネット上を行き交っています。手軽になった分、不幸を他人に押しやる事への罪悪感は薄らいでいるのかもしれません。
日本には、物に魂が宿る、言葉にも魂が宿ると考える文化があります。
また、丑の刻参りという藁人形を使った呪いの儀式もあります。
こうした見えない力を信じやすい民族性が不幸の連鎖を信じさせたのかもしれないなと思いました。

どうせ拡散するならハッピーなものを拡散しましょうね!

プロフィール
WEBクリエイター
いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング) サイトリニューアル、デザインの他、企業系大規模サイト制作・運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザインについて紹介していきます。

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