WEB・モバイル2021.09.27

今さら聞けない解析ツール! 話題のGA4、Googleアナリティクス4とは。専門家3人の意見は?

東京
株式会社フェローズ アカデミーセクション シニアマネージャー
Mitsuru Koyama
小山 満

2005年以降、「Googleアナリティクス」(以下、GA)はアップデートを繰り返してきました。中でも昨年の2020年10月の大型アップデート「Googleアナリティクス4」(以下、GA4)は、今でも多くの話題を提供しながら、困惑を覚えている方も少なくないと予測します。

というのも、GA4は従来のGAと比較して、単純なアップデート? と捉えて使用してみると、かなりの仕様が異なっており、それが大きな誤解であることに気づくからです。

今回は従来のGAと新たなGA4について、筆者の感じたことを書きました。さらに弊社フェローズが開催しているクリエイターの学びの場、FCA(フェローズクリエイティブアカデミー)講師の見解も伺いました。 

 

従来のGAとGA4は、何が違うの? 使い方を徹底解説

筆者には記憶に新しいですが、GA4の前身は2019年8月リリースされた「アプリ+ウェブ プロパティ」という名称のベータ版です。

その名の通り、これまで別々に計測していたWebとアプリを横断してデータ取得ができるもので、当時はGAの計測の限界か? と噂になりましたが、ベータ版ということもあり、そこまで注目されなかった気がします。

しかし、昨年10月にアップデートで大きく改良され、正式版GA4という名称で満を持して(?)登場しました。

では、GA4が従来のGAと何が違うの? ですが、大きく変化したいくつかの中で、Googleの圧倒的意志を感じる2点を挙げます。

 

アプリとウェブをまたいだクロスプラットフォーム計測

これまでWebとアプリは計測するビューが分かれており、それぞれでレポート作成や分析を行ってきました。

しかし、GA4はベータ版の趣旨を踏襲し、WebやSNSやアプリを統合したクロスプラットフォームでの計測が可能となり、ページ中心ではなく、ユーザーの行動を中心としたデータ取得に移行しました。

これはブラウザが異なったり、デバイスが異なっても、同一ユーザーと認識する(してしまう)手法となります。

従来のGAでは、ページビューはPV、ファイルのDLはイベント、購入行動はeコマースなどと分かれていましたが、GA4ではそれがイベントに統一されました。

つまり計測の手法がセッション数中心からイベント数中心(ユーザーベースでの集計)になったのが、大きな違いの1点です。この変化は従来のPV概念が大きく揺らぐ一面もあり、筆者は解析世界王者のGoogle自らがパラダイムシフトを起こして来たのか! と感じたのを覚えています。

 

簡単に扱えるのが魅力! ユーザーの行動予測が可能なGoogleの機械学習モデル

次に、大きな変化はGoogleの機械学習を利用したユーザーの行動予測や分析が可能になった点です。

本来、AIなどを用いて予測モデルを構築するには専門性の高い知識や技術が必要になりますが、GA4ではこの機械学習モデルが、デフォルトですでに(かつ無料で)組み込まれています。

この計測(予測)には1000人以上のサンプルが必要になりますが、例えばユーザーが1週間後にどのくらい離脱するか、などの「予測指標」が可能となり、かつて専門家がデータを駆使してきたユーザーの行動予測の仮説検証を、GA4の機械学習を使うことで、容易に精度を上げることが期待されます。

ここも開発集団のGoogleの「熱さ」を感じざるを得ませんでした。なお予測指標を利用するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。

その他にも異なる点は多くありますが、まずはまとめます。従来のGAと新たなGA4の違いは、A→A+という進化したツールというよりも、AとBという計測手法の異なる別のツールと認識した方が良さそうです。そして使い方としてはイベント数中心(ユーザーベース)での集計と、ユーザーの行動予測に向いていると言えます。そのため、ひとまずはGAとGA4を併行使用しているケースが多いだろうと思われます。

 

専門家3人に聞いた! 2021年のアクセス解析、現状でGA4の導入はあり?

……と、ここまで書いたところで、まてよ、と思いました。

確かにGA4は従来のGAができなかった計測と予測を可能にしました。しかし一方で、これまでの計測を否定しかねない側面もあるような気がします。

例えば、PV中心で一喜一憂してきた私たちの考えは、今から変えるべきなのか? と不安になった担当者も多いのではないでしょうか。

今後どの立場(考え)で解析や分析をしていけば良いのか? GA4が解説された書籍もほぼ見当たらない現状(9月上旬時点)もあり、かつ正式リリース後も依然計測が不安定といった話も散見しており、例えば仮にGA→GA4への移行した場合のデータの連続性はどうなるのか? など、まだまだ見えない部分が多く、導入に懸念を感じている方も多いと思われます。

そこで、最後にFCA(フェローズクリエイティブアカデミー)の講師をつとめる「Googleアナリティクス」の専門家といっていい3人の識者たちが、GA4についてどういう見解をもっているのか聞いてみました。ぜひ参考にしてみてください。

(※当記事は『FELLOWS EXPRESS 2021年8月号Vol.06』掲載の記事を筆者自身が大幅に加筆したものです)

 

「もう少し機能の安定を見てから導入すべき」野田 収一氏

現時点では、GA4 導入による具体的レポーティングが進んでいる企業は、あまりないように思います。理由として、既存GAからの大きなインターフェイスの変化
 ・スコープの切り替えによる、ひとつひとつのデータの意味が充分に把握されていないこと
 ・レポーティング画面作成の手間
などからだと思います。

GA4 のアップデートは日々繰り返されており、機能の安定を見てから動くのが良いと思います。

現時点では、定番的レポートを3~5つ決めて、その変動値を既存GAと比較していきながら、レポーティング作業と分析をマーケティング部門で定着させるのが良いと思います。しかし「セグメント」の機能が、GA4では「オーディエンス」に変わっており、要注意。

「セグメント」が大事と言ってきた僕にとって、この改変は解せなく、GA4で一番使いにくい点だと思っています。

GA4 の移行に伴い、今後はユーザードリブン(※1)視点のMA(※2)ツールも注目です。CDP(※3)も同様で、MAもCDPもAIの面から活用が広がることも考えられるし、すでにオープンソース化も進んでいます。クッキー問題とあわせて注目すべきポイントだと思います。

※1:ユーザー視点でのプロダクト設計や考え方
※2:マーケティングオートメーション
※3:カスタマー・データ・プラットフォーム=分散した顧客データを統合する役割

野田 収一 氏

オルタナティブコンピュータ/Webプロデューサー/マーケター。最近は、ブロックチェーン技術の社会実装やサービス化に、もっとも興味を集中しているところです。間違った情報が流布するのが非常に歯がゆいです。

 

「GA4はライフタイムバリュー(顧客生涯価値)で分析するのに長けている」小垣 朗さん

ツールとして未成熟で、α版に近い GA4 を本格的に導入・分析している企業は把握する限りほぼない。

上場企業で、5%程度の導入率(※1)。現在もアップデートが著しく、まだ決まった数値を継続してトラッキングする段階にないため、タグだけを入れて各社情報収集をしている状況。新規にGAを入れると、GA4がデフォルトとなるため、知識のない会社はGA4画面を見ても、分析ができていない状況と思われる。

分析は UA(※2)で継続し、GA4 は基礎タグだけ入れてツールが成熟するのをまつべき。その間、公式ヘルプで情報収集を続け(Web記事は、公式を解釈したものが多い)、GA4は無料版でもBigQuery(※3)に接続できることから、BigQueryでの分析を前提としている可能性もある。今からSQLの学習を始めておくのも良いと思われる。

他のツールでは Google Optimize に注目している。GA4は、ユーザー刈り取り型の分析に適しているUAと異なり、LTV(※4)でユーザーを分析する設計になっているように思われる。そのため、今後、いつかは廃止されるであろうUAの代わりになるツールをもつ必要がある。Optimizeがその代わりになると考えている。

※1:https://sem-technology.info/blog/posts/00150/
※2:ユニバーサルアナリティクス=従来のGA
※3:GA4からエクスポートすることでビックデータの解析が可能
※4:Life Time Value=ライフタイムバリュー=顧客生涯価値

小垣 朗 氏

株式会社販促デザイン代表取締役。「HOME’S」「ぐるなび」などでサイト改善やマーケティングを多数実施。2010年独立。年間100超のセミナーと企業コンサルティングを展開。
https://www.priodep.com/

 

「GA4タグの設置を進め、従来のGAと並行運用を」高橋 洋平さん

ご相談いただくWeb サイトを見ていても、まだ未導入企業(UA(※1)のみ導入済)が大半を占めています。

現状では私たちが管理をしているクライアント企業のアカウントは、GA4タグの設置を進めており、UAと併行して導入をしています。しかし、新規でコンサルティング相談を受けていて、すでにGA4が導入されているサイトは、ほとんどありません。

GA4 は従来の UA とは全くの別製品。まずは GA4タグを設置し、UA と併用していきましょう。

アクセス解析は、データの蓄積が大切です。そのため、UAでの運用は継続しながら、GA4のタグを設置しましょう。

GA4のタグはUAとは別に「G-」から始まる測定IDをGTM(※2)で設定するか、サイト内にグローバルサイトタグを設置し、早く併行運用をしていきましょう。

ツールでは、必ずヒートマップ解析も同時に活用しています。ヒートマップ解析ツールは、視覚的にアクセス状況が確認できるため、必ず導入しています。これはページ内でユーザーが注目して見ている部分を色の濃淡で把握できるツールです。

クリックをしている箇所や、どこまで見られたのかも視覚的に確認することができ、デザインの改善に活用しています。

※1:ユニバーサルアナリティクス=従来のGA
※2:Googleタグマネージャー

高橋 洋平 氏

 

株式会社クライストアドヴァン/エブリデイサンデイ株式会社プロデューサー。
結果の出るサイトづくりを通じ、400サイト以上の構築とインターネットを活用した集客経路設計を行っています。
https://www.c-advan.co.jp

 

Webについてのセミナー紹介

【限定オンライン】Web解析の悩みを解決!GA講座

講師:高橋 洋平 氏
GoogleAnalyticsを使用し結果を出すためのサイトをつくる方法を学べます。
2021年10月07日(木)11:00-12:00
お申し込みは→ https://job.fellow-s.co.jp/seminar/detail/S-01384

 

【学生向け無料セミナー】小山塾塾長直伝「最新!Web業界がとにかくよく分かる」入門編

講師:小山 満 氏
クリエイティブ人材会社19年の門外不出の社内研修をオープン開催!就職迄に勉強しておくWebトピックスや、今後Web業界で狙っていくべき仕事についてもお伝え!
2021年10月26日(火)18:00-19:00
お申し込みは→ https://job.fellow-s.co.jp/event/S01438

プロフィール
株式会社フェローズ アカデミーセクション シニアマネージャー
小山 満
出版社で女性誌の企画・編集・制作に11年従事した後、水産系の企業でプロモーションに従事。主に広告宣伝と事業開発を担当。その後、株式会社フェローズでエージェントとして、クリエイターの就職・就業をサポート。 今までの経験、最新の知見を活かし、研修制度「小山塾」を主宰。主にWebとグラフィック分野の技術指導、専門性のスキルアップ指導のため、自社エージェント向けに定期開催中で、これまでの開催は100回をゆうに超えた。現在はフェローズクリエイティブアカデミーで、クリエイターのスキルアップのためのセミナー・イベント企画・運営を担当している。

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