WEB・モバイル2021.03.10

春の和歌

東京
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日本文化×デザインあれこれ
いのうえ

暖かくなり桜の時期が近づいて来ました。 テレワークが続く中季節の移ろいに鈍くなっているのを感じます。 今日は春を感じる和歌をご紹介ます。 コロナ禍の現代にも当てはまるなぁーという素敵な歌がありましたよ!

東風吹かばにほひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな

(拾遺和歌集/菅原道真 ) 現代語訳: 春になって東の風が吹いたならば、その香りを私の元まで送っておくれ梅の花よ。 主人がいないからといって、春を忘れてくれるなよ。 (高校古文『東風吹かばにほひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ』わかりやすい現代語訳と品詞分解より引用) 菅原道真と言えば学問の神様や梅の花が有名です。 この歌は大宰府へ左遷される前に大切にしていた梅に語り掛けるように詠んだとされています。 遠く離れる主人の元へ春の香りを届けて欲しいと読んでいるのですね。 単純に「春を知らせて欲しい」と言っているようにも見えますが、お前が無事に咲いている事を主に知らせて欲しいと言っているようにも思えます。

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし

(新古今和歌集/藤原定家) 現代語訳: この世の中に桜というものが全くなかったなら、春を過ごす人の心はどんなにのどかである事でしょう。 (『世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし』 意味と文法・品詞分解より引用) 桜の季節を待ちわび、散り行く姿に寂しさを覚える・・・そんな人々の心情を読んだ歌です。

たれこめて春のゆくへもしらぬまに待ちし桜もうつろひにけり

(古今集春下/藤原因香) 現代語訳: 家の中にこもっていて春が過ぎてゆくのも知らない間に、心待ちにしていた桜の花も、散ってしまった (古典和歌Streamより引用) 病で家に籠っていた時に、風にあたらないように簾を下ろしていたらその間に桜も散りごろとなってしまったという意味です。 家に籠っている間に見ごろを逃したという気持ちは現代の私たちにも当てはまりそうです。 最近緊急事態宣言が延長されたばかりです。お花見シーズンは人の動きが活発化するかもしれませんが、どうなる事でしょうね。 このコロナ禍の心情を和歌で詠んでいる人がいそうな気がします。それは後世に残る貴重なものとなるかもしれません。

プロフィール
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いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング) サイトリニューアル、デザインの他、企業系大規模サイト、ECサイトの制作・運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザインについて紹介していきます。

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