ほしいものが、ほしいわ。2020

東京
コピーライター
TOKYOそういえば日記 9
コジマカツヒコ

祝、全面解除。

 

—————    ※この原稿は5/18に書かれたものです。—————  

 

みなさん、ほしいもの、いらないもの、変化はありましたか?

 

5月18日、月曜日の11時。新宿にいました。

 

ホームステイ、いや、ステイホーム。

この日、東京都はまだ特定警戒都道府県のまま。

しびれを切らした街の飲食店などがおそるおそる店を開けては“自粛警察”の

嫌がらせを受けてニュースに取り上げられたり。そんな息苦しい雰囲気の中、

大手百貨店のひとつが1か月半の休業期間を経て営業再開へ踏み切ったのでした。

 

プレスリリースには、生活必需品を中心とした営業再開であること。

化粧品や呉服、宝飾品などの売場は引き続き休業させていただきます、と記されていました。

 

その百貨店にはお世話になった人が何人かいます。

さて開店時間、どんな風景になるのか。遠巻きに正面玄関を見つめていました。

 

果たして、詰めかけたお客さんで混雑する事はなく、自粛警察の人々も

抗議に現れず、とりあえずほっとした次第です。

 

ネット上では「ハンドバッグは生活必需品じゃないだろう」等の意見もあったけれど、

たとえば新社会人はバッグ、欲しかったでしょう。就職記念のバッグを持って仕事を頑張るぞ! とか。

要るものは、想像するほどに、人それぞれ。

 

 

そんなことを考えていて思い出したのが、この新聞広告。

 

出典  www.flickr.com 

 

1988年の西武百貨店。糸井重里さんのコピーです。

 

ボディコピーが見えづらいのでテキストで記します。

 

 

  ほしいものが、ほしいわ。

  ほしいものはいつでも

  あるんだけれどない

  ほしいものはいつでも

  ないんだけれどある

  ほんとうにほしいものがあると

  それだけでうれしい

  それだけはほしいとおもう

  ほしいものが、ほしいわ。

 

 

「消費って何だろう」の源流探検を遙かに越えちゃっている素敵なコピーです。

 

 

どれくらい越えちゃっているかというと、

ためしに「ほしいもの」を「好きな人」にちょっと書き換えてみます。

 

 

  好きな人はいつでも

  いるんだけれどいない

  好きな人はいつでも

  いないんだけれどいる

  ほんとうに好きな人がいると

  それだけでうれしい

  それだけはほしいとおもう

  好きな人が、ほしいわ。

 

 

ね。すごいでしょう。

ふわっと引き込んで芯は骨太。モノの話のフリをして、そうではない。

 

なんというか野球のピッチャーに例えると「スローだけど重い球」ってやつですね。

 

 

 

インターネットが手のひらに乗る時代になって、広告はいよいよ娯楽や哲学を提供する

役割を終えた。そんな風に言われてきました。その通りかもしれません。

 

そこへ来て、今回のコロナショック。

 

「コロナの時代」の空気感がどんなものになるのか、今はまだよくわからないですけど、

ひとつの予感として、久しぶりにこの「重い球」が求められるような気がします。

 

演じるようなライフスタイルも気分がアガるし楽しい。でも、もうちょっとこう、

人に見られなくても自分の奥底から本当にうれしいコト・モノって何だろう?  とか。

 

がんばろうっと。

 

 

 

ちなみに、私の「ほしいもの」と「いらないもの」のお話。

 

ほしいというか、もう買っちゃったんですけれど、無印良品の薄い財布です。

 

[無印良品]ポリエステルトラベル用ウォレット 990円(税込)

https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550002547783

 

クライアントがテレワークになって打ち合わせで人と会う機会がめっきり減ってしまいました。

撮影スタジオも「密」への懸念から休業続きで、ここ2カ月くらい仕事がなかなか進まない。

資料やノートを連れ出すシーンがない。

 

10万円の給付金で新しいカバンを買おうかしらん、とネットを物色していたものの、

いや待てよ、せっかく暖かくなってきたし、そうだ「手ぶら」がいいんじゃない!?  と。

 

決めた。今ほしいのは、手ぶらライフだゼ。

 

財布に入れるものは家のカギとデビットカード、それから紙幣が2~3枚。

1センチを切る薄さでパンツのヒップポケットにすっきり収まって、実に気持ちいいのです。

 

自粛が解除されたら、仕事とプール通い以外でカバンはもう持たないかも知れません。

 

 

拡大

ひらくとこんな感じ。お札入れには間仕切りも有り〼

拡大

「オトコの手ぶら3点セット」

拡大

桂花もやっと営業再開。ターロー麺の大盛り食べてきました。げふっ。

プロフィール
コピーライター
コジマカツヒコ
33年前の5月、なつかしのマスコミ電話帳を片手に「使ってくれませんか?」の電話勧誘を繰り返し「ゆ」のページに書かれていた制作会社に潜入。流通やメーカーのハウスエージェンシー、広告代理店を経て独立。趣味は水泳と愛猫の育成、お酒と無駄話。目下最大の心配事は、プールはいつ再開するのか?

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP