娯楽と芸術と解放感

東京
ライター
来た、見た、行った!
かつらひさこ

件のウィルスだ。

まさかマスクがこんなに長期間手に入りづらくなるとは思わなかった。

卒業式を間近に控えたこの時期に全国への休校要請、トイレットペーパーやティッシュなどの生活必需品がスーパーから消え、閉塞感は日に日に厚くなっていく。

各種イベントは中止や延期、美術館・博物館、テーマパークなどはクローズが相次いでいる。

映画館に行くことも躊躇してしまうし、こうなると、気晴らしでどこかに出かけたくとも、人が集まるのは駄目なんだっけ?誘うのも良くなかった?と、どんどん後ろ向きに考えてしまう。

 

さすがに心が欝々としてきて、前にもこんな状況があったなと思ったら、9年前の東日本大震災だった。

 

私自身も被災し、ライフラインの一部が止まった。

日本という国で何十年と生きてきて、まさか水に困ることになるとは夢にも思わず、どれだけ恵まれた環境で生きてきたのかつくづく実感した。

1週間ぶりに水道が復活して、久しぶりにゆっくりとお風呂に入れた夜のことは未だに忘れられない。

 

ちょうどその頃はテレビも自粛自粛だったが、たまたま見たら深夜のバラエティー番組が復活しており、それがとてもバカバカしくて楽しくて、久しぶりに大笑いしたら少し元気が出た。

笑いの力というものを実感した。

 

物語を観て、感動すること。

人と語り、楽しみ、笑うこと。

娯楽や芸術などで心を動かすことは、生きる上でどれだけ重要なことだったかを思い知る。

 

どうかどうか、できるだけ早くこの事態が収束しますようにと、心から祈る。

そしてせっかくなので、滅多にないこの機会の様々なことを、じっくり観察しておこうとも思う。

プロフィール
ライター
かつらひさこ
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、6年前からライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズと人間観察。

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