決め台詞を言いたい

東京
コピーライター
TOKYOそういえば日記 15
コジマカツヒコ

みなさん、決め台詞は何ですか?

 

「ドーン! 」 笑ゥせぇるすまん / 喪黒福造

「海賊王におれはなる!!!」 ONE PIECE / モンキー・D・ルフィ

「月に代わっておしおきよ!」 セーラームーン / 月野うさぎ

「お前ははもう死んでいる‥」 北斗の拳 / ケンシロウ

 

私は仮面ライダー1号の「出たなショッカー!」です。

 

自宅の向かいに小学校があって、仕事の合間に一息ついていると

稚魚を放流するみたいに校門からワラワラと下校する小学生が出てきます。

その男子小学生のお話です。

 

男性、もとい元男子のみなさんはわかってくれると思いますが、彼らの頭の中を

けっこうな割合で占めている欲求が「あの決め台詞を言ってみたい」です。

 

村上龍のエッセイで、男の一生のうち女から自由になれる時期は

母親から離れて(乳離れをして)、次に女の子に興味を持つまでの

ほんの2-3年くらいだと。そんなことを書いていたような記憶があります。

この「男子成分100%の季節」は小学校3年生くらいまででしょうか。

決め台詞を言いたいピークも、自分の恥ずかしい過去を思い返せば確かその頃。

 

通学路の横断歩道、朝のあいさつ、休み時間、頭の中はいつだって

昨日テレビで観たヒーローのことでパンパンに膨れ上がっている。

“あの必殺技を早く 練習しなければ”

“あの決め台詞は絶対に俺が最初に言うのだ”

本当にしょーもない。けれど

そういうことでとても忙しいのです男子は。わりと本当に。

 

ただ、日本は(今のところ)まろやかで平和です。

私の「出たなショッカー!」の頃もそうだったのですが、

普通の日常にショッカーはまず出てこない。絶対に出てこない。

 

颯爽とカッコイイ俺をお披露目するシーンがない。どうしよう。

 

この悶々とした夢と現実の乖離の果てが、

かなり無理矢理で唐突な決め台詞の暴発を引き起こします。

 

いつだったか。

校門で別れた友達を振り向かせようと叫ぶ男子の声。

 

「おい、おーい!  山崎~ぃ!   俺はな、」

 

山崎くんが振り返ると、キリっとキメた顔で彼はこう言いました。

 

「 俺はな、 焼ける男だぜ! 」

 

眺めていた私は5秒ほど考えてある仮説を思いつきました。

「燃える男」と言いたかったか?

 

 

そういえば昔、ダウンタウンの松本人志がハガキで質問のコーナーで

鯉のぼりを付ける棒を何というのですか?  に答えたのが

「あれは“鯉のぼられ”ですね」

 

そう考えると「燃える男」だって傍目から見たら「焼けている男」だし。

彼の鮮やかな視点移動、クリエイターの素質に一本取られた気になりました。

ただの言い間違いだとしても。

 

以前書いたカラオケの歌本や、江ノ島の詐欺ポスターもそうですけれど

大人の頭を一撃でもみほぐしてくれる子供の言葉って

いいものですね(ごくたまに。大抵はうるさいけど)。

それにしても「燃える男だぜ」って誰の決め台詞なんだろう。

 

対して女子は、決め台詞ではないけどシニカルに笑わせてくれる気がする。

女子A「ねぇ、千葉のほうが広いのにどうして東京に来たの?」

女子B「…広けりゃいいってもんじゃないのよ」

 

これ住宅のCMにそのまま使えそうじゃないですか? 

 

プロフィール
コピーライター
コジマカツヒコ
30数年前、マスコミ電話帳を片手に「使ってくれませんか?」の電話勧誘を繰り返し「ゆ」のページに書かれていた制作会社に潜入。流通やメーカーのハウスエージェンシー、広告代理店を経て独立。得意領域は流通小売・メーカーの広告や販促ツールいろいろ。趣味は水泳と愛猫の育成、お酒と無駄話。お仕事のご依頼は kojimakatsu@icloud.com までメールくださいませ。

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